・・樹種無指定と粘土団子植林法による自然林こそ治山治水の原点・・
再造林放棄地への格安の植生再生手法「粘土団子工法」
今、日本の山野は大変なことが進行しつつあると言われています
戦後の復興期、木材の重要はまさに天井知らずに拡大を続けま
した全国の山林所有者は自分の山を伐採し一斉に杉や檜を植えました。
そして森林組合や、役所に管理部局が生まれました。40年ばか
り経った今、そうした樹木は収穫期に入ってきました。
ところが、建物の多くは主として鉄骨を用い、木材の利用は減
り、しかも外国から安い木材が大量に入るようになり、これま
で間伐など、大変な手間を掛けてきたにも関わらず、伐採し、
搬出するだけでさえ採算割れという事態になりました。
それでも、これまでの手間を掛けて育ててきた木ですから、「
採算よりも、折角育てた木、せめて目の黒い内にお金にかえた
い」と多くの林業者は考えられ、伐採されておられます。そし
て、「林業はもう無理、跡を継ぐ者もいないし、金のかかる跡
地の再植林などとてもとても」と考えられ、多くの伐採跡地が
禿げ山として放置される例が全国で爆発的に増えはじめ この
僅か数年で200万ヘクタールに達したとされています、500万ヘ
クタールになるのももさほど遠くないことでしょう
こうして放置されてしまうと、土地の保水力が下がり、集中豪
雨には激流そして洪水の危険性が生じることは明らかです、
(先日の梅雨の長雨では数百億円と人命の損害がありました)
そこで植林の費用は国が出し 、数十年後の収穫の時には、山主
と利益を分け合う「分収造林」が考えられ実施されてきました。
しかし山主の取り分の少なさ、又、自治体や国に膨大な赤字
が生じたこともあって、分収造林も限界となってきました。
しかし森林法のみは生きた法として、皆伐された跡地の所有者に
「杉・檜、黒松・赤松・椚ほか地域で一般的に造林がされる高木
性広葉樹の一年生の苗木をヘクタール3千本を植林せよ」と命令さ
れています。
仮に、杉の人工林を造林して育てる各作業に必要な経費はヘクタ
ール三百万円掛かります、しかも苗が鹿に食べてしまわれる危険
性は非常に高いのです。
勿論応じなければ罰金、さらには代執行により造林し、費用を請
求するぞと脅すケースもあると聞きます。
数千万年をかけて低木をはじめ多様な樹木そして多様な動物、菌類が
繁茂し、土壌が作られてきました、
「高木をヘクタール当たり3千本」という高密度植林は、例えれば、
茶碗一杯の砂山に楊枝を100本刺すようなものです。その楊枝が
順調に生長して、鉛筆の大きさになったらどうなるでしょうか?
林間は必ず昼なお暗い状態になります、低木や下草など到底繁茂で
きず、従って土壌生物や腐朽菌も限定されてしまうでしょう、
土壌は造成されず、土壌空隙も少なく、水源涵養能力は出ず、雨で
表土が流出するでしょう。頻度の高い間伐択伐などが期待できない
以上、高密度植林はまさに環境破壊の元凶と言うほかありません
高木性の広葉樹は1本で20平方米を占めるケースが普通です
ですから高木広葉樹は、命令の1/5則ちヘクタール6-700本もあれば十
分であって、水源涵養の為にも生物の為にも、表土保護の為にも、高
木同様低木や雑草も植えるべきと考えています。
次に植林命令では、「一年生の苗木」とも指定しています。自然林は
最低80年を要するというのに、どうして たったの1年を急ぐのでし
ょうか、種と苗の価格差は百倍どころではありません。しかも空地に
植えられた苗は鹿にとっては格好の餌なのです。こうした植林方法を
指示している以上、鹿の食害対策も含めた支援策を示すべきです。
現状であれば普通の林家なら再植林をする気は到底起きないでしょう
植林に厳しい条件をつける理由は、森林生態に無知なのか、山野を生
産基地と考える慣習なのか、総ては管理されているべきだとする行政
の考え方か、行政の優位性確保の為なのかも知れません。
規制の結果として、殆ど再造林はなされず、日本の山野は荒れ果て 、
ひいては 大洪水の危険さえ増大することになるでしょう
統べて国が仕切っていた食管法が新食糧法に切り替わったのと同様、
今の森林法は抜本的に修正すべきです。ドイツのように極力自然に任せ
た、広葉樹を含む自然林への回帰を指向すべきではないかと考えます
(高知広島など自治体により、強度間伐し広葉樹植栽に向けて動きだし(br)
ています)
林野は放棄されてしまわない前に規制を緩和し人々が利用できる場所
にすべきなのです。
林野に人々が立ち入るようになってはじめて山村は活性化し、関連従
業者の仕事も確保され、土壌の流亡などもなくなるはずです。
次に、とびきり安価、多分1/100以下かも知れません、粘土団子工法と
いう植林技法があります。独立行政法人森林総合研究所の水谷完治氏は
足尾銅山跡地の荒廃地を蘇らせる森林再生技術として、日本森林学会誌、
88巻2号2006年4月号に於いて、概略以下のように報告しています。
「粘土団子工法は学術的な検証がなされていないため、森林再生技術
として普及が進んでいない。そこで、足尾松木沢における荒廃地の森林
再生を目的として、粘土団子種子の適応性を調べた、試験の結果、従来
播種工法では平米当たり1万粒の播種密度だったのが、60-200粒でクロマ
ツによる森林再生の可能性を示せた。このように播種密度を大幅に減らせ
れば、荒廃地周辺で採れる種子を用いることもでき、現地に適応した荒廃
地森林再生方法と考えられた。------------
森林総合研究所報告
この粘土団子工法は砂漠緑化に功績があったとして創始者にマグサイサイ
賞が贈られました。
先る4月末教育テレビでこの工法について30分番組がありました。
この工法で緑化することは治水に有効な事は勿論、国家の財政にも大変有
益であることは明らかです。尚杉、檜より落葉広葉樹の方が水源涵養能力
や地盤安定に有効であることは既に常識です。
緊縮財政が要求される時代です。タイムラグは僅か数年に過ぎず、またた
ったの1/100のコストで植林できる「粘土団子工法による播種も植林」と
して、これを認知し、積極的に推進すべきかと考えます。
NGOは日本への材木輸出国へ 粘土団子植林を啓蒙すべきでしょう(br)
最後に独立行政法人森林総合研究所は年間予算100億円余の法人です
為政者必読のサイト
水源の森講議
本物の森とは
粘土団子植林
参考サイト
森林問題を議論する掲示板
再造林放棄地
第159回国会 平成十六年三月三十日農林水産委員会
林業掲示板
植林の真実
伊予福岡氏の自然観
砂漠緑化本間裕子
サーチエンジン用語彙集
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