第1章 前夜祭
2004年8月5日、仙台市は花火大会であった。
夕方が近づくにつれ、浴衣姿がちらちら。
ロマンチックな夜である・・・。
って、まいあがってんじゃねーよ!!
俺たち無人島前半メンツは5人で手分けして、
20個のポリタンクを運んでいた。
アベックで縁日のように混雑する駅前を、
4つずつポリタンクをぶら下げた自転車の一団が通る。
周囲の痛すぎる視線が気持ちいい。
明日からのメシの保証はどこにもない。
俺達は松屋で食いだめをすることにした。
俺は豚丼大盛を2杯食った。
帰り道、黄色い歓声が響く。
空で炎色反応実験が始まりやがった。
黄色い花火が上がる
「ナトリウムやでぇー」
ヒュウーーーーー、ドカン。
緑の花火が上がる。
「バリウムじゃ」
俺たちはシケきっていた。
「大和男児たるもの、浮ついていてはいけまへん!!」
俺たちは思い思いに決意を高め、乾杯した。
なぜ明日を出発に決めたかって?
「花火大会まで何があるか分らんから、現代人としていたかったの!!」
これは参加者全員の意見である。
当然のように全員の淡い希望は夏の夜空に花と散ったわけである。
全員 黒星スタート。
獣になれない負け犬たちは、ホントの獣になるべく、
翌朝、仙台を、文明社会を後にしたのである。