第3章 親切な人と危険な国
さて、ポケットに入っていたマルボロを吸い尽くした俺は、とりあえず動き出した。
作戦はこうである。
@釣り人の集まる場所へ行く
Aそこにいる人と仲良くなる
B情報収集&釣具店の場所を確認
C釣具店で更なる情報収集
(D仲良くなってちゃっかりと釣り場まで連れて行ってもらう 笑)
俺は宿を決め、その後空港から10キロぐらいの距離にある海辺の港に行くことにした。
付近にいた人にバス停を訊ね、とことこ歩き出した。
と、後ろから声をかけられた。
「どこへ行くんだ?」
「港まで行って、その付近のホテルに泊まろうかと」
「自分たちもそっちの方面に行くから連れて行ってやるよ!安いホテルも教えてやるよ!」
「コップンカップ!!」
(タイ語で「ありがとう」)
タイでの癖が出た。
「エヘ (笑」
俺はトラックの荷台に乗り込んだ。
トラックの荷台にて。南国のトラック荷台はやっぱりイイ!!
途中、市場に立ち寄った。
芋や、バナナや、いろんな野菜を売っていた。
真っ黒な肌&真っ赤な口の人々
後述するが、「ブアイ」という嗜好品の影響で人々の口は真っ赤に染まっている。
正直、結構怖い
魚や肉は売っていなかった。
少し向こうで人々が騒いでいる。
バナナの山から顔を出した毒蛇をカマで刻み殺していた。
「気ぃつけよ、マジで。」
カオカオと呼ばれるサツマイモを売る人々。
お口が真っ赤ではじめはかなりビビった!
今は慣れたけど。
ホテルに連れて行ってもらった。
安ホテルですら2重の門、相当数の警備員。
「結構マズイいんじゃね?この国・・・汗」
お値段も最低ラインで144キナ(1キナ=当時約37円)ほど。
1泊5000円以上
今回持ってきたお金でこの先1ヶ月この国に滞在することを考慮してみた。
宿代すら足りねーじゃん!!!!
数年前に書かれた紀行文とは情報が一変してた。
まずいプー(既に崩壊 汗)
狼狽する俺
するとトラックに乗ってた女性が助け舟を出した。
「よければ家に安く泊めてあげようか?
ダンナも無職でひましてるから、いろいろ案内してくれると思うわよ。」
やったプー(安堵で崩壊 笑)
ってなわけで、PNG人のキャリー親父とフィジー人のミタおばさんの家庭にご厄介になることになったのである。
いやはや。
キャリー親父とミタおばさん。
5月1日new
翌朝、ブナおばさんと子供達を送り出したあと、
キャリーおじさんと俺もでかけることにした。
家を留守にするのは危険なため、近所の方に留守番をお願いしての出発。
俺達は情報収集と、戦うためのルアーをそろえるため、この国唯一(らしい)釣具店へ
NET SHOP。釣具屋、というよりは漁師のための店。
空港から近い。店長不在で雇われ店員しかおらず、
情報は得られなかった。
この国の庶民の経済水準を考えると、この店の商品は超高級品。
村田さんのビデオにも出てきたオーストラリアの
「MARUKO」じゃなくて「HALCO」を買う。
(この辺のギャグは魚種格闘技戦、PNG編を観るとわかります 笑)
その後、空港に移動。
イヤ村への航空券を買うためだ。
首都ポートモレスビー→ルダ島→イヤ村
とりあえず行きの航空券をかう。
ミタおばさんは偶然にも空港内の観光局の職員であり、
空港内で働く人とは顔なじみ。
たいした苦労もせず、チケットを手にすることができた。
(手持ちの金が足りず、空港の銀行もしまっていて、
いったん都市部の銀行までもどり両替してこねばならないというアクシデントはあったが)
ここで新事実判明!
イヤ村へは週に1便しか飛行機がない!
ということは2週間以内の日程ではイヤ村にたどり着くことすらできなかったということだ。
幸いにも今回、1ヶ月も時間がある
自分の暇人具合に苦笑い。
この日は月曜日。
ルダ島への移動は明日。
ルダ島→イヤ村への便は土曜日だから
ルダ島では最低3日の足止めである。
楽園は遠いのぅ
(楽園かどうか知らんけど)
俺はPNG製のKooLをふかした。
空はどこまでも青い。
・・・なーんてかっこつけた文章書いてる場合じゃない事件がこの日の午後に起こる!!
それは空港で飯を食った後のこと。
自分とキャリーおじさんはおじさん宅の電気代を払うべく
繁華街(?)のスーパーへ来た。
この国では、お金を払うと、その分だけ家に電気が流れ込む
俺達はある程度の電気、「パワー」を買い、
自宅へ戻るためバス停へと歩いていた。
あれ、なんかおかしいぞ!!
さっきまで陽気に話しまくってた親父が無口になっていた。
いつもより早歩きだ
・・・・・・・
追われてる?!
振り返ると、20メートル後方に雰囲気の異常な3人組が。
たとえるなら、
チビのレイ・セフォー
&
ジャンキーのホースト(2人)
更に歩くスピードを上げた
連中はどんどん近づいてくる
もう疑いようがなかった
連中は俺を狙っている
チッ、クソが。
ポケットをまさぐってみたが、武器になりそうなものはレザーマンはおろか、鍵すらない。
せめて鍵くらい持ってればを握りこめるのだが・・・。
キャリーおじさんも細い路地に入ったり、
急に曲がったり、まこうと必死である。
そんな中、俺は逆に冷静だった。
というか、現実逃避の妄想してた。
「古武術の先輩に薦められた特殊警防、持ってこりゃよかったなぁ。」
「勘弁してくれよ、まだ2日目だっつーの」
「木刀があれば全員相手でも問題ねぇのにな。」
「さすがに激しすぎるネタじゃのぅ」
「でもヤっちゃったら日本に帰れなくなるだろうなぁ」
「そもそも事件になったら釣りどころじゃねーぞ」
「あーーーーー、めんどくさっ!」
・・・・・・
チッ、クソが。
が、また重要なことに気づいた。
レイセフォーの腹が奇妙に膨れている
こいつ等、何か仕込んでやがる!!!!
もう連中との距離は10メートルをきっていた
バスに乗り込んだ
連中も乗り込んできた
「だめだ、降りたとたん、
人ごみの少ないキャリーさん宅近くで襲われる!」
強盗ども(現地ではラスカルと呼ばれています)が最後部座席に座り、
他の乗客が助手席を倒したその瞬間、
こうもあろうかと乗降口付近に座っていた俺達はバスを降り、
道の向かいのファーストフード店にかけこんだ
連中も降りてきて、その店の出入り口に座り込んだ
待ち伏せですか?
出てきたところを襲うってか?
あぁん?!
上等だ。コラ。
アライグマごときがなめ腐ってんじゃねーぞ!
(ラスカル=あらいぐま・・・だったっけ?)
正直ビビりまくっていた。
が、どこかで非現実感があった。
これは夢か幻か?
そして何より、この状況にキレていた。
めんどくせぇな。
動揺しまくってるキャリー親父の分も、俺がしっかりせねば、と思った。
恐怖も限界を超えれば怒りに変わる。
タクシーを呼ぶか、ケーサツか?
キャリー親父の顔は青ざめ、血の気が引いていた。
さっきまでの青空とは少しちがう青だった。
チッ、クソが。
・・・・どーしよ(泣)