終章  Some Day I‘ll Be Back












 

Jeahと別れ、一旦宿に帰った後、俺はすぐにアユタヤを目指した。

1っ箇所くらい、観光地にも行ってみようと思ったからだ。

バスに乗り、着いたバス停ででガイドが声をかけてきた。

600B(1800円)で観光名所を半日かけて6箇所回ってくれるという。

そのあたりが相場なのかな?

客は俺一人だった。そのガイドに任せることに決めた。

特に感動するものもなかったが、お決まりの場所でお決まりの写真を撮った。










同じポーズを決めてみる


















一人ストリートファイターU.さびしい・・・



















なんとなくムンクの叫び






























象に乗って20分ほどの周遊にガイド料とは別に400バーツとられた。

象の養育費に当てるそうだが、どう考えても高すぎるだろ!!

どうやら、ここは観光名所であるらしい。

日本人のツアー客が、ニコニコ顔で次々と象に乗る。

象はめっちゃ臭く、頭には毛が生えていることを知ったことだけが収穫だった。


くさい







何とかという遺跡に行く。

見学料を払うため、受付(?)にいく。

誰も人がいないので「Hello」と呼ぶ。反応はない。

「サワディー」ともう一度呼んでみる。

さもめんどくさそうな態度と期限の悪い顔のババァが出てきた。

お金を払うと、お釣りを乱暴に返し、またどこかに消えていった。

この受付の態度の悪さは、他の遺跡でも目に付いた。

 













またとある遺跡の階段で・・・

自分の上ににいる若い日本人女性数人のグループが

「mぇr8*P(&DT$#“&」と何か言ったのは分ったが、

聞き取れなかったのでそのまま上っていくと、すれ違いざま


「止まってって言ったのに!!」

いやみを言われた

どうやら写真を撮りたかったらしいが、

この混雑してる中で常識がなさすぎはしないか?

仮に「写真を撮るので少しだけ待ってくれませんか?

聞こえたならそれを無視することまではしないが、こっちは聞こえてなかったのだ。


相手に伝わらなければ、言ったことにならない。


その上、お願いしている立場、「嫌です」といわれても文句は言えないはずだ。

それを、さらに逆恨みして嫌味を言うとは言語道断

ものすげーそいつ等がブスに見えた。
最近愚痴っぽい。年かなぁ 笑)

 








無事コースを終了し、ガイドのおっちゃんと握手した。

チップを要求されたが、金を渡すのは嫌だった。

おっちゃんのガイドには好感が持てたので、

俺はタバコを数本差し出した。

握手して、俺たちは別れた。

 





ガイドのオッサンと俺












遺跡なんて、正直おれはよくわかんないし、

撮った写真も遺跡好きからしたら「罰当たり」かもしれない。

でも、俺にもはっきりわかったことがある。

観光地では日本人は完全に「お財布」と思われていることである。

受付職員どものあのナメくさった態度にそれがよくあらわれていた。

 









アユタヤにて。
手前に小さく座ってるのがワタクシ。





























帰りのバスの中、どこかの大学生がすいている車内でわざわざ俺の隣に座った。

悪いことだとは思わないけど、なんか必要以上になれなれしい

お互いの旅の話をした。

「熱いですねぇ」「いい経験してますねぇ」を彼は連発した。

・・・

武兄が「俺はパッカーじゃない」といった理由が、ほんの少し分った。



























 

バンコクのバスターミナルに着いたのは午後5時過ぎ。

何とか先日の雪辱で、海老を釣りたかった。時間はなかった。

群がってきたタクシー運転手達に海老の絵を描き説明した。

一番反応がよかった運転手に狙いを絞り、

「トッ・クンレストランを知ってるか?時間はどれくらいかかる?」

綿密に聞いた。

すぐ近くだ、9時までには釣って、食ってここに戻れる、と彼は言った。

先日のこともあり、何度も、何度も念を押した

そして俺はそいつのタクシーを利用することを決め、そいつの車へと歩き出した。

が・・・・

「なんで助手席に女が乗ってんの?」



俺は急いでいるということは何度も伝えたのに、

その運転手は女と俺を乗せたままどこか店の前で停車し、

明らかな私用を30分近く行った。

それでもって、その女(運転手の友人だという)を先に家まで送っていく、という。

しかも、客の俺が乗ってるのにそいつら二人は大声で話しまくり、ものすごい耳障りだ。

挙句の果てに

「レストランまでは片道1時間半以上はかかり、

レストランの値段も1500バーツはする」

などといい始めた・・・俺はキレた。



「30分で着くといったやろうが!もういいわ、カオサンにおくってくれ!」


すでに6時半をすぎていた。だが先に女を送っていくという。


俺はわめき散らした。


「早く戻れ、ファッキン野郎!!」


そのうえ、助手席バカ女は更に俺の神経を逆撫でした。



I want to sleep with you.I want to sleep with you. Give me money






もう我慢がならなかった。

そんなにお望みなら、そのムカつくツラを切り落として、

そっちから突っ込んでやろうか?と思った。


クソ女を家の前で降ろしたあと、ボケ男はようやくカオサンを目指した。

俺は言った。


「お前は嘘をつき、俺の時間を無駄にした。

本来のバスターミナル→カオサンまでの100バーツしか払わない」


ターミナルからカオサンまでの料金相場は知っていた。

「トゥーハンドレット、トゥーハンドレット」

クソ野郎は頑固に言い張った。

俺はわめき散らした。

絶対に折れてはいけないと思った。

10分ほどして、終にヤロウは「150B」と妥協を示した。

だが俺は100バーツを譲らなかった。

話はまとまらなかった。

「もういい、降ろせ」といったが、奴は鍵を開けなかった。


終にタクシーはカオサンに着いた。


こんな奴と同じ空気を、俺はこれ以上吸っていたくはなかった。


「テキトーなのはお国柄?」

そんな領域を、こいつははるかに超えていた。

もういい。

俺は150バーツを運転手に投げつけ、タクシーから降りた。

たかだかあと50バーツ、150円くらいどうでもよかった。

だが、自分がナメられたのが許せなかった。

 











今日一日、散々だった。

タイでの最後の1日に、ムカつくことはすべて凝縮していた。




 

宿に帰り、荷物をまとめると時刻は9時を回っていた。

11時までに空港に着かねばならない。

どう見積もっても30分はかかる。

もう、夕飯を食うだけの時間しか残されていなかった

「最後の食事、何を食うか?」

と宿を出ると、漢字の並ぶ店が目に付いた。

ラーメン、カツカレーなどがメニューに並ぶ。

「外国の日本料理店は不味い」

おれは自分の舌で試してみることにした。

何事も好奇心であるからね。

俺はしょうゆラーメンを注文した
(ま、これが日本料理かといわれると微妙ですが)

で、出てきたものは・・・普通のしょうゆラーメンだった。

不味くなかった。1ヶ月ぶりの懐かしい大豆醤油だからか?普通にうまいと思った。

「アローイ、チンチン」
(アローイ=美味しい、チンチン=本当に)

何百回と言った言葉、この言葉を使うのも最後だろうと思うと切なくなった。

俺は店を出た。





 

旅のはじめに出会ったゴルフに電話してみる。

実は、今まで何度かかけたのだが、つながることはなかった。

きっと俺に教えた番号が間違ってるんだな・・・。

再会したかったけど、それはかなわなかった。




 

宿に戻って荷物を担ぎ、俺はトゥクトゥクを探した。

やはり、最後に乗るのは、いかにもタイらしいこいつだろうと思った。

料金交渉、はじめ200Bと吹っかけてきたものの、

向こうは150Bで粘り、俺は100バーツを主張した。

さっきのバカタクシーの件が頭をよぎる。

結局120Bでお互いに妥協し、おれは乗り込んだ。

予想外に道はすいていた。

俺はすっかり定番となったLM(タバコの銘柄)をふかした。

1本、2本、3本・・・ケチることなく、豪勢にすいまくった。


ドライバーのおっちゃんは、ライターの火が消えないよう、

タバコに火をつけるときはゆっくり走ってくれた。

その小さな心遣いがうれしかった。

空港に着いた。金額を確かめた親父が、少し驚いた様子で俺をみる。

「マイペンライ!」

俺は150バーツを支払った

値切っておいて、言い値を払う。


ドライバーのオヤジは「してやられたぜ!」という顔をした。

俺もオヤジもニヤリと笑った。

先ほどあれほどもめた50バーツを、今度は気持ちよく支払った。

「サバーイ、サヌック、コップンカッ!!」
(快適で楽しかったぜ!ありがとう!!)

使うのも今日で最後だ。俺は知ってる限りのタイ語を並べてみせた。
























 

搭乗手続きを済ませた俺は、ADDYに電話をかけた。

「72センチ、4キロオーバーをつったぜ!7キロの魚もばらしたよ!」

「そりゃよかった。よくやったな。楽しかったか?」

「当然楽しかったぜ!」

「幸せか?」

「幸せさ

いつものように、ADDYは「EnjoyHappy?」と単純な質問をした。

そして・・・・

「タク、次はいつくるんだ?」





















 

旅に出て、この地に来て、本当によかった。

「金がたまったときかな?」現実的に俺は答え、そして思う。

釣れなかった魚にリベンジするとき、日常が嫌になったとき・・・

そして何より


“釣旅を通して出会った人々に会いたくなったとき”


「いつだっていいさ、来たくなったらまた来るよ。」















 

LMを1カートン買い込み、

俺は飛行機に乗った。

バングラディッシュ人のねーちゃんがコーラを持ってくる。

窓からは転々と街灯が見える。飛行機は助走を始めた。















当初予定していた開拓の釣りとは少し違う旅だった。

半分以上、先人達のフンドシで相撲をとった旅だった。


それもまた、いいじゃない。



ウボンラットの「未知」への挑戦も、

カオレムでの「釣果」へのこだわりも、

釣堀でのオオナマズへの「力勝負」の充足も・・・・



すべてを楽しもうとおもう。


全部楽しかったよ!!


























いろんなことがあったなぁ。ほんと。





































野に咲く花のように、風に吹かれて

野に咲く花のように、人をさわやかにして

(ドラマ、裸の大将エンディング曲)














今回出会った人々の目に

僕はどんな風に写るのかな?








































いろんなことがあったなぁ。ほんと。







































いろんな人に出会えた。いろんなことを考えた

ADDYも、フェンも、Jeahも、

遠い土地で、同じ時間軸を生きている。

全く違う価値観、全く違う毎日を乗せ、そして地球は回る。

俺は帰る。一生あせることのないモノを持って。



明日からの日常も、少しは違って見えるかな?













飛行機はユーラシアの大地を飛び立った。












































また、旅に出ようと思う




























譲らず、媚びず、



















でも柔らかく。

























 

コップンカッ、タイランド!

コップンカッ、お世話になった皆さん!!
















そして、俺にだまされた魚たちへ。













迷惑かけてホントごめん!!

 









































でもまた迷惑かけにいくよ!

























Someday, I’ll be back















































おしまい