『ピーナッツ』2013.9

(1)

 チャーリー・ブラウンがテレビを見る時に座っているというか、沈んでいる椅子がある。

 気持ちよさそうなので、どんな椅子か気になっていたら、ピーナッツ エッセンス第十巻『何かあったら』34頁で、ルーシーが「ビーンバッグチェア」と言っている。

 調べてみたら、大人の場合は、普通に腰掛ける椅子だった。せいぜい六歳くらいまでの子供でなければ足を延ばしたままで、椅子の中に沈むのは無理っぽい。

 話していることが大人なので、子供が主人公だということをつい忘れてしまう。

 もともとの主人公がチャーリー・ブラウンでスヌーピーじゃないのを知ったのは、子供のころテレビでアニメを見たからだ。

 二十世紀の終わりごろに、まだ連載が続いていることを知った時には、少し驚いた。


(2)

 チャーリー・ブラウンは、ホントはすごい男の子なんじゃないかと思う。

 身体をすっぽり包んでくれる椅子の中に収まっていても、全然堕落していない。

 妹は椅子の中でジャンクフードを食べ続けて、すっかり太ってしまう。怠惰になって椅子の中から出られないという感じだ。日本なら、冬休み中、こたつの中でみかんを食べていて、何もしなかったというところだろう。

 ルーシーは、イライラがつのるほど椅子の中に深く沈んで行って、ついに沈没してしまう感じだ。

 チャーリー・ブラウンは、全然ストレスなど感じていないふうで、ふわふわの椅子を適度に楽しみつつ、それに溺れることもない。適度に酒を楽しんでけっしてアル中にはならない大人になりそうだ。 


(3)

 毎朝同じ時間に目覚ましが鳴るようにしている。鳴った瞬間すっきり目が覚めている時と二度寝に入りそうな時に無理やり起こされる時がある。後の場合は「今日は、タイミングが悪いな」と思う。

 「タイミングが悪い」を日本語で言うとどうなるの?

 「間が悪い」だろうか?「時機が悪い」か?

 「あの人はいつも間が悪い時に話しかけるね」とか、「結婚するには時機が悪い」ならタイミングと同じ意味になりそうだ。

 でも、間が悪い目覚まし時計は変だし、毎朝のことに時機は大げさだろう。もっとも、間が悪く鳴る電話のベルならアリだ。

 子供の頃、縄をぐるぐる回している中に入っていくのは、苦手だった。中に入るタイミングがつかめない。この状況に似ているかもしれない。

 「丁度の時」か?「今日は丁度悪い時に鳴った」「今日はタイミング悪く鳴った」 

 『ピーナッツ』の訳は、『ピーナッツ エッセンス』、『スヌーピー全集』は、谷川俊太郎さんが、『スヌーピーブックス』は、さくらももこさんがやっている。短い文章でそんなに違いがでるの?と思ったが、結構でるのかもしれない。


(4)

 公園に散歩に行くといろんな犬に会う。

 大型のコリー犬を見ると「あ、ラッシーだ」と思い、すごくうれしい。

 おとなしそうだけれど大型犬だからか、綱を短く持ってゆっくり歩かせている。

 思いっきり走れなくてつらくないのか?と思ったが、犬ならどんな犬でも走りたがるものなのかとも思う。例えば自分なら全然走りたいと思わないし、現実に、信号が赤になりそうな時しか走らない。

 そういえば、何十年も全力疾走をしたことがない、今どのくらい走れるんだろうと思い、試しに走ってみた。

 初めは身体が重くて全然楽しくない。徐々にスピードを上げてみた。結構楽しい。公園内にマラソンコースがあるので、ランニングしている人も多い。

 徐々にスピードを上げて何人も追い越した。こっちは長く走るつもりがないので、大抵の人は追い越せる。普段、歩いているときに後ろからすごい勢いで追いぬいていく人がいて、落ち着いて散歩もできないと感じていたので、今度はこっちが横をすごい勢いで走って追いぬいたらどうだろう。

 明日やってみようか、ほとんど喧嘩を売ってるようなものだ、と思ったところで、「あ、自分はルーシータイプだな」と反省した。


(5)

 最近『オズの魔法使い』を読んだせいで、「あ、トトだ、やっぱり、かわいい」と思う犬を見かける。毛足の長い黒い小型犬でテリア種だと思う。

 トトがどんな種類の犬か作者が決めたのか?最初に挿絵を描いた人が決めたのか?

 スヌーピーは漫画の中で「ビーグル」とでてくるが、それらしい種類の犬を見ても「あ、スヌーピーだ」という気には全然ならない。

 『スヌーピーの50年』で、1950年代初めのスヌーピーを見ると、普通に犬小屋に入っている。この時のスヌーピーは斜め正面の顔で、犬らしい。それでも実際の犬よりふっくらしてかわいい感じだ。

 真横から書いてスヌーピーが誕生したのだと思う。


(6)

 図書館で『漫画スヌーピーの25年』を借りた。大判でカバンに入らないので携帯用袋を取り出した。

 携帯用袋にスヌーピーの絵が付いていることに気付いて、「いい年してスヌーピーに、はまっているのか」と図書館の人に思われそうで、居心地が悪い。一応、漫画を通してアメリカを勉強しようと思っている。

 最近、エコバックを持つ人が多いので、景品で携帯用袋を貰う機会が多い。このスヌーピーの絵入り袋は生命保険会社から貰ったもので、ミッフィーとキティちゃんがついた袋も別のところから貰っている。大人向けのものだと思うが、キャラクターグッズが好きな大人が多いのか?それとも多いと思われているだけなのか?自分としては、アール・ヌーボー系の方が好きだ。植物の絵柄なら、日本の伝統的唐草模様の風呂敷の絵柄でいいんじゃないだろうか。あまり趣味に走ると「そんなのが好きなの?」と思われるのがいやで、タダでも貰わない人もいるのかもしれない。

 万人の流行りだと、持っている人の趣味が疑われる恐れがなく無難だからかもしれない。




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