『続・時をかける少女』2013.8

 著者は石山透。筒井康隆の『時をかける少女』の続編だ。NHKで『時をかける少女』を原作として放映した『タイム・トラベラー』の続編の『続・タイムトラベラー』の脚本を書いた石山透が小説にしたものだ。

 題名を変えて放送していたので、原田知世主演の角川映画が同じ小説を原作としていることにずっと気がつかなかった。気がついたのは内田有紀主演のテレビドラマが放映された際だったと思う。気付いて、NHKのドラマの内容をよく覚えていないので、原作を読んでみた。ここで、続編部分は原作の小説にはないことがわかった。

 今回、復刊ドットコムで続編を読んだが、末尾に「本書の文中に、今日の人権意識からみて、不適切と思われる表現が散見されますが、作者に差別を助長する意図がないことは明らかで、また本書の時代背景ならびに作者が故人であることを鑑み、すべて底本のままといたしました。」とある。

 読み終わって、どこが人権侵害的表現だったのか、全く思い当たらない。読んでいて全く引っかかるところがなかった。自分自身の人権感覚に自信をなくした。

 よくよく考えてみて、「気違い」では?と思う。

 筒井康隆の『時をかける少女』の方には「キチガイ病院」とある。この言葉を話したのは、二十七世紀の人間だ。

 子どもの頃SFを読んでいてよく思ったのは、科学技術が随分今と違っているのに、精神面の価値観などが、書かれた時代と同じものがほとんどということだ。SFは空想科学小説だから仕方がないのかもしれない。

 ただ、SFは未来小説だと思っていたので、経済、法律、社会制度が今と違っていて(自然科学の面だけではなく人文科学の面でも今より進んでいる)価値観や先入観というか一般常識というか社会通念が今と全然違う小説があってもよいんじゃないかと思っていた。今の人が読んでも理解できないかもしれないが。




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