沢釣り                         H17,4/3(日)


「きたっ!、きた きたぁーーー!。また釣れたぁーー!!。」


谷間に響き渡る声!。
本当はそんなにデカイ声ではないのだが ・・・・・。
オレの心臓にチクチクと突き刺さる声である。
「これで5匹目、大した淵じゃぁないのになー!。」
Uちゃんの この余裕をかませた話っぷり。
面白くない、オレはまだ一匹も釣れていないのである。
このまま行くと Uちゃん20匹、オレボウズで終ってしまうかもしれないぞ。
どおぉーーーーーしよう。
これから先 頭が上がらなくなってしまうぞぉー!!。



4月2日の土曜日、鮎の会合で酒を飲んで会長の家に泊めてもらう。
いつも会合の日は ウメちゃん家か会長の家に泊めてもらうのだ。
この不景気に 5,000円からの代行料はバカにならないのである。
ただ、会長の家に泊まると 奥さんが朝飯の支度までしてくれるので恐縮し
てしまうのだ。
今回はそのあたりも含めて 何にもしてくれないようにと頼んだ。


4月3日 日曜日、朝6時頃奥さんが枕元へそっとお茶を運んでくれた。
ごちそう様!。
6時20分、Uちゃんから携帯に連絡が入る。
「行くぞー!。」
実は、昨日 釣りに行く約束をしていたのだ。
「お世話になりましたー!。」
挨拶もそこそこに会長の家を飛び出す。
Uちゃんとコンビニで落ちあい弁当を仕入れる。
本流は望めないから 今日は支流へ入る。ここは初めての場所かな?。
沢だから公表はしない。
前回は先行者の後を歩いたためか 6匹しか釣れなかったからなぁ。


道も無い雑木林を、そして崖だらけの急斜面を、 二日酔いが二人して
よたよたと危なげに沢まで下る。二日酔いの身体にはとても辛い行動であ
る。
釣り始めは9時頃か、10時半になってもまだ一匹も釣れていないのであ
る。
そんな時、オレのすぐ下の淵で竿を出していたUちゃんが釣り上げた!。
「おぉーー!。いいねぇ!。 よしよし、魚が居る事は解ったな。希望が見え
てきたなぁ!。」
Uちゃんに声を掛ける。
云っているうちに2匹目を、オレもにこにこ。そして3匹目、おいおい、焦らす
なよ!。4匹、5匹と釣り上げる。
釣り上げるたびに 隣にいるオレの心臓がチクリと痛む。
別に競争をやっている訳ではないのだが 人より沢山釣り上げたいというの
が釣り師の心情というものである。
2匹先行はまだ許せる、それが5匹6匹と離されてくると いかに呑気なオレ
でもチクチクと心臓が痛むのである。
それを知ってか知らずか ひと淵でチクチクチクチクと、よくもまあ・・・・。
オレはまだボウズ、今日はオレだけ1匹も釣れないかも知れないぞ!。
と 思ってしまう。



12時、弁当を広げるまでに、Uちゃん7匹、オレようやく小さいのが2匹、
もう小さくても魚篭に入れたくなってしまった心境だったのである。
それでどうにかボウズを免れたのである。(悲しい!。)


ま、オレの場合はいつもこんなもの、午前中はいつも釣れないのだ。
何故なのだろうかねぇ?!。


昼食後、少し遡ると河原の砂がかき回されている、何だろう?。
良く見ると熊の足跡のようである。左岸へ渡ると そこにもかき回した跡が
ある。沢蟹でも取った跡かな?。まだ新しい!!。近くに居るのかも知れな
いぞ!。
そのすぐ上に良い淵がある。そぉーっと餌を入れるとすぐに魚信、よしよし。
隣のポイントでもう1匹、よしよし。 後ろを振り返る、何度も何度も振り返っ
て確認する。熊のオヤジが居ないだろうな、と。
目印を追っている間も 後ろから襲われた時の想像をしている。
淵へ落とされたら リュックの中のカメラが壊れてしまうなぁ、とか。
自分の身体より 安物のカメラの心配をしてしまっている自分が 哀れであ
る。
名残惜しいが この淵はこのあたりで諦める。
熊対策に大きな音を立てて歩けば良いのだろうが、それではあまごが釣れ
なくなってしまうだろうしなぁ。


それにしても今日は暖かで良い天気である。天気予報では 雨が降るでしょ
う。とか云っていたが Tシャツで充分の暖かさである。
もうすっかりと春である。ふきのとうは咲いてしまっている、山の桜も咲いて
いる、つくしも出ている、そしてなんと蕨までもが出ている、そういえばヘビま
でも見たぞ。



3時頃 堰堤の高巻きをする。足元が悪く大変な思いをするが この後が良
く釣れた。
両岸が岩肌になっている廊下状のポイント、右岸の2.5m程の岩の上から
竿を出す。下は覗けない、釣竿の穂先だけを見ながら魚信を待つ。
糸の流れが止まった所で そーっと糸を張って聞いてみると ククッ!と
魚信が、竿の中程を握っての合わせ、気持ち良く竿がしなる。
竿を立てて抜き上げると ビビビビッ!と身体を震わせながら 20センチの
あまごが岩の間から上がって来る。
何とも小気味良い。自然と顔がほころんでしまうぜ。


5時、次の堰堤である、Uちゃんは右岸へ、オレは左岸へ入る。
Uちゃんは次々と上げる、オレは1匹で止まりである。
ここで本日の打ち止めとする。
数えたら二人とも19匹、大漁である。
こっそり白状すると オレの魚篭には放流サイズが何本か入っている。
始めの頃あまりに釣れなくて 情けないが魚篭へ入れてしまったのだ。
この心情、解ってもらえるかな?。


細糸と小鉤のUちゃん。オレも変えて行かないとダメなのかなぁ ・・・・・。
考えさせられてしまった今回の釣行であった。


 だが、楽しかった〜〜〜!!!。