旅先で出会った旨いもの
旅先で出会った旨いもの。さて、何から書こうか。

いつも思うのだが 旅の想い出 って改めて思い浮かべてみると遊びと出会いと食い物に尽きるような気がする。勿論感動した忘れる事の出来ない景色も沢山ある。スキーに行って見た樹氷や霧氷、大きな山吹色の月。山登りで眺めた雄大な景色、伸ばせば手が届きそうな満天の星空。海釣りで拝んだ神々しいまでの日の出。恐ろしいほどの迫力で砕け散る波。
これらはいつも遊びの中で出遭った景色なんだよな。どうもツアーなどの旅ではスリルと感動とか心の奥底にいつまでも残っている何かってのが少ないような気がしてならない。

最近の私の旅といえば釣竿を担いでの貧乏旅行に尽きる。行く先々の食堂や居酒屋ののれんをくぐり、この土地ならではの食い物。未だ喰った事の無い食い物を求めるようにしているのである。

話を本題に戻そう。今何となく思い出しながら考えているが、少しずつ想い出書きから始めてみよう。

 1、甘えび

まずは、遠い昔の忘れられない味、そしてこれほどもう一度喰いたいと思った事は無かった味。
それは今から三十二、三年前の話である。知り合いの人から北陸の旅に誘われて、飛騨高山〜山代温泉(泊)〜日本海を走って東尋坊〜帰りのコース。この東尋坊の少し手前(北寄り)で民宿と食堂をやっている店を見つけて昼飯を食う事になった。時季は多分十一月だったと思う。甘エビが解禁になったという事で注文をする。私はエビ、カニには目が無いのである、貝類も大好きである。その頃は甘エビも地元では喰っていた。塩焼きが旨いとか言って。そのもっと旨い甘エビが喰えると思っていたのだが、出てきた甘エビを喰ってビックリ!。エビ、カニというものは普通プリプリ感とかシコシコ感とかの歯ごたえがあって、何とも言えない甘みがあって・・・・と考えていたのだが。口に入れたとたんにとろりと溶ける。甘くて旨い。カルチャーショックだった。

清水に帰ってからも忘れられず、汽車に乗って喰いに行こうかと何度も思った。
その頃よく行っていた寿司屋のオヤジさんが 北陸の甘エビなら手に入るけど一キロ単位で仕入れなければならない、高いよ!。と言われたが、汽車に乗って行く事を考えれば安いものだと思って取り寄せてもらった。そして喰ったが歯ごたえがあって全然違った。これではない!。と意地を張った。

それから二、三年後の事、北海道の苫小牧へ転勤になった 新婚の友人の家へ一週間程転がり込んだ時に その甘エビを見つけた。

友人は新婚さん。三交代勤務で仕事の帰りが夜中の十二時。帰って来るまで新妻と二人で居るのはまずいという事で、毎晩一人で苫小牧の繁華街を飲み歩いた。昼間パチンコで稼いだハイライトを たちんぼのねえちゃんに巻き上げられながらも ひとりはしご酒を楽しんだ。
友人夫婦へのおみやげに毎晩蟹寿司をぶらさげて帰った。この寿司屋であのトロリとした甘エビを見つけたのである。
喰った!。この世の喰い納めであるかのように喰った!!。
一皿に五、六尾しか乗っていないので、ツルッと五、六回で喰ってしまう訳だから十皿位はわけなく喰ってしまう。それも毎晩、四日間。寿司屋の親父も呆れ顔だった。いやあ、満足だったなぁ!!。

仙台〜北海道〜東京と飲んで喰って。簡易保険から借りられるだけ借りた三十三万円が家までのタクシー代を払ったらタバコ代位しか残らなかった。今ではとても出来ないなぁ。
若き良き想い出のひとコマであった。


 2、田螺の味噌汁

二十歳の頃だったと思う。勤めていた会社の慰安旅行で山梨の石和温泉へ行った。
結構豪儀な社長で 泊まった旅館も大きくて立派!。総勢十八名位、むさ苦しい男供ばっかりの旅。
旅館に着いて皆が温泉に行った時。
社長「はぐれ君(勿論その時は本名)ストリップでも呼ぼうか!」
オレ「えぇぇーっ!、いいですねっ!!」
社長「フロントへ電話しろ、おまえにまかせる」
早速フロントへ電話を掛ける。
オレ「お座敷ストリップ、できますか?」
フロント「はい、大丈夫です。どのコースに致しましょうか?」
オレ「どんなコースがあるんですか?」
フロント「花電車、レスビアン、外人、etc・・・・・」
オレ「花電車ってどんなんですかぁ?」
フロント「ごにょ、ごにょ・・・・・」
オレ「外人ってのは?」
フロント「ごにょ、ごにょ・・・・・」
オレ「あっ、それがいいな、外人!それがいい。お願いしますっ!」
ってな事で宴会後の設定完了!。
オレ「社長!外人で決まりましたっ!!」
社長とオレだけの秘密。あとでみんなビックリ!。
いつもこまごました仕事をやってくれている七十歳のおじいさん、照明係御指名!。恥ずかしそうにニコニコ顔。
そして夕方、宴会、大広間に十八名の男供と芸者さん達で大騒ぎ!。
♪甲斐のぉー山々ぁー日にぃはぁえぇてぇーっ。と三味線で武田節。そう、ここは武田信玄の国甲斐!。
宴会の最後にはお膳をどけて相撲大会をやる始末。もうガチャガチャ!。
宴会の後、お座敷ストリップを見て、今度は夜の街へと繰り出した。
屋台が並んでいる。先輩と二人で「酒くれ!」と暖簾をくぐって座り込む。
ここで見つけたのが田螺の味噌汁。たにしと言っても普通の田螺ではない。竹串でグリグリと引っ張り出すと らせん状に小さい子供田螺がいっぱい付いている。口に放り込むとシャリシャリと子田螺の歯ごたえ。これが何とも旨い!。先輩と、もう一杯、もう一杯と四杯ずつ喰ったらタネ切れになってしまった。
バカの三杯汁ーー!!。とか言ったら、四杯もお代わりしたのはお客さん達が始めてだよ!。って屋台のネエちゃんに言われてしまった。
しかし旨かったなぁ!。あれっきり喰った事が無い。今度探してみようかな。
子持ち田螺っていつ頃なのだろうか???。