(2004/06/09完成 以降少しずつ変更)

開戦から3521日目
ユプシロンからの定期連絡が来ない
もしかして・・・・・・
悪い可能性が120パターン思い浮かんだ段階で
思考を中断した

「ラストナンバーさん お疲れ様ダス」
「患者に自己修復プログラムを入れておくから様子を観察して
 何もなければ3時間後には全員目を覚ますはずよ」

北部戦線からの負傷者10体の修理を終え
46時間ぶりに研究室を離れた私は台所に向かった
まったくコアが無事だったからよかったものの
新品のロボットを作るのと同じ手間がかかってしまった

もはや人間が1人も居ないこのDr.ライト研究所にも
台所は残されていた
冷蔵庫の中身は薬品とエネルギー缶のみで
人間用の食料は何一つ残っていなかった
今は人間が毎日のようにやってくるのだが
用件をすますとすぐに帰ってしまう
昔はライト博士の友人が訪ねて来た時のために
客用寝室まで用意されていたが
いつのまにかその部屋は研究論文の置場になっていた
記憶を検索してみるとどうやら私が起動する前の変化のようだ

私は冷蔵庫からエネルギー缶を取り出すと
ダイニングのイスに腰をおろした
エネルギー缶を冷やしても私の体には何も影響はないのに
たしかこの変な習慣を教えてくれたのは・・・
・・・誰だったか??・・・・この部屋に関する情報を検索してみるか
目を閉じて 頭部記憶装置にアクセスを開始した








「ラストナンバー エネルギー缶は冷やして飲むとおいしいんだよ」
「そうなんですか? アイス兄さん それは始めて知りました」
「あー ラストナンバー アイスマンのウソは信じないほうがいいぞ
 やっぱりエネルギー缶は熱燗だぜ」
「ひっどーい ボンバーマン
 そんなことしたらエネルギー缶の中身が蒸発しちゃうよー」
「わかってないなー 微妙な温度調節が必要なんだよ」
「たのむからおまえ達 エネルギー缶の加熱は研究所の中ではやらないでくれ」
「はーい 博士」「はぃ! 博士 外ならいいんですね」




ああ あの時だ そういえばこの記憶は圧縮して保存した後
1度も解凍したことがなかった
冷えたエネルギー缶をすすりながら
私は検索を続けた







「ねえカットマン 最近仕事の方はどう?」
「いい仕事が入ってきそうなんだ
 200年前に建てられた宗教関係の建物を直すらしいぜ
 なにしろ木の柱の太さが住宅用の3倍あるんだ!!」
「木の柱かよ そんなんで大丈夫か??」
「わかってねーなガッツ 1000年くらい前は 木の建物で人間は生活していたんだぞ」
「オイラにはついていけねーな やっぱり建物の基本は鉄とコンクリートだ!!」
「まあまあ 兄さん達 完成したらみんなで見に行きましょうよ
 私 木の製品は家具より大きな物は自分の目で見たことがないんです」





これは私の記憶ではない
ファイルの日付から判断するとどうもユプシロンの記憶のようだ
それにしてもいっしょに写っているポニーテールの少女型ロボットは誰だろう??





「おかえりー エレキマン 半年ぶりじゃない?」
「夏場は電力需要の予測がつかないから どうしても帰省は冬場になりがちだな」
「まったくおまえのとこの原子力発電所は必要な時だけ回せないから不便だね」
「いたのかファイヤー」
「オレんとこの工場は3年前からおまえの会社に電力を売っている」
「廃棄熱を再利用しているだけだろうに しかも社内で使っているエネルギーはオレの会社からの電気だろう?」
「やられたね そのとおりだよ」
「みんなすごいよね 君達の働いている会社
 無事故日数の記録で競争しているんだよね」





ああ ロック兄さんが写っている





「シンフォニー 君の所3つ子が生まれたんだって?」
「そうなんだよリズム かわいいんだよーーー
 最近ハイハイができるようになったから手が3本欲しいくらいさ」
「オレんところは5つ子が3ヶ月後に生まれる予定だから
 5本必要になるのかな?」




「ねえ アンダンテ 病院の仕事はどう?」
「やっぱり夜間の仕事が多いね 
 夜勤の時はオレがロボットであることに感謝するよ
 懐中電灯ナシでも寝ている患者の様子がわかるんだから」
「でもナイチンゲールはいつもランプを持っていたんじゃなかったっけ?」
「そうなんだよなー あんな火のついた道具を持って 患者の寝室内を歩き回るなんてなんでだろう?」




「メロディー 君の所受験生がいたんじゃなかったのかい?
 試験前のこんな時期にここにメンテナンスを受けに来て大丈夫?」
「ふ ふ ふ よくぞ聞いてくれました! 一番上の子が
 ローバート工科大学の推薦入試に通って 通常より1ヶ月はやく入学許可が出たんだ!!」
「すっごーい ねぇ お祝いしなくちゃ」




ロック兄さんが居る映像の中では兄さん達はよく笑っている
D.R.N009以後の兄達は音楽関係の名前をもらって
全員が家庭用もしくはそれに近い用途で作られた
・・・・・・・・それなのに私が起動してからは


左8時の方向から電話のベルが鳴り響いた
急いで検索を中止する

「通信回線オープン!
 こちらDr.ライト研究所 私はラストナンバーです」

音声は雑音のみ 立体映像は単純な光のパターンだった
キングが世界中のネットワークを破壊して以来 復旧が終わった後も
重要な情報は暗号化されて送られてきた

光のパターンは 青い光が1秒 2秒置いて赤い光が1つ 2つ 3つ
何てことだ!!

「了解! 通信回線クローズ」

飲みかけのエネルギー缶をテーブルに残すと 私は研究室に走った

最初の
青色の光は 『D.R.Nに関する情報』
黄色の光は 『D.R.N以外のロボットに関する情報』

青か黄色の次に赤い光が続いた場合
1回は「自力で帰還可能だが修理必要」
2回は「帰還後すぐに修理が必要な状態のため待機せよ」
3回は・・・・・・・

「ライトット!! 3番ベッドのロボットを開いている15番に移動して!!」
「どうしたんダスか? 修理を終えたばかりじゃ・・」
「忙しいの!! 
 それと10分以内に4番と13番の機械を3番ベッドの隣に配置して!!」
「4番と13番ダスね」
「そう それと準備をするから5分間私に声をかけないで」
「わかったダス」

人間が見た時に恐怖感をあたえないように私は
通常の修理の際には、私は人間用に作られた服を着ていた
しかし私の予想が正しければ次の修理はこの服では危険だ

人間用の服を脱いで研究所の奥にあるカプセルで全身用アーマーを転送した
1分でアーマーのプログラムを調整する

アーマーの色が変わった事を確認すると
室内のメインコンピューターを使って
修理用プログラムを20パターン作成した
もし私の予想が正しければ・・・次の患者は・・・・

「ライトットこちらは準備完了 そちらは??」
「大丈夫ダス 次にどうします??」
「待機していてね すぐに戻るから」

研究室から出るとヘリコプターの音がかすかに聞こえた
こちらに向かっている・・・しかし目では見えない
地球が丸い事を呪わずにはいられなかった
目で確認できるようになった時ヘリコプターの種類が判別できた
何てことだ!! 予想は正しかった!!

「警備ロボット達!! 全員外に出て!!!
 東北東2時15分の方向からこちらに向かっているヘリコプターは
 味方です そして 患者が1名以上乗っているから緊急性の高い患者から
 研究室に搬入して!! 私は研究室で待機しています」

そう あのヘリコプターは私が調整したものだ
あの音を発するヘリは世界に1つしかない 大きさも記憶と一致する
E国最大の原子力発電所所有の最速ヘリなのだ・・・・

研究室に戻ると修理装置のプログラムの調整を開始した
・・・・兄さんが帰ってくる
 ・・・・兄さんが帰ってくる
  ・・・・兄さんが帰ってくる 

10分後警護ロボットが3体かけこんできた
1体目はバラバラになった部品を持っていた
2体目はちぎれた右手を持っていた
3体目は・・・・・・

「エレキ兄さん!!」

20個作った修理用プログラムの内
最も使いたくなかったプログラムを使うこととなった

青色の光の次に赤い光が続いた場合
1回は「自力で帰還可能だが修理必要」
2回は「帰還後すぐに修理が必要な状態のため待機せよ」
3回は「機能停止もしくは大破 こちらでは修理不可能なためそちらに移送する」

兄さんの意識が停止しているため動力炉が暴走を始めていた

私の頭部コンピューターと兄さんの脊髄を髪の毛を使って接続しながら
(私の床まで達する長い髪の毛は通信ケーブルとして使うこともできる)
私は警護ロボットの方に顔も向けずに怒鳴りつけた

「警護ロボット01から05は 眠っている患者を出来るだけ遠くに運びなさい!!
 残りの警護ロボットは周囲1キロメートルの 人間とロボットを退避させなさい!!」

「シカシ ワレワレニハ ソノヨウナケンゲンハ アタエラレテオリマセン
 ソノタメニハ シチョウノキョカヲ・・・」

「それでは間に合わないわ!!
 いい! よく聞くのよ! 人間に命令するのではなく 人間に警告を与えればいいの
 そうすればロボット3原則に違反することにはならない
 周囲の人間とロボット全員に
 『Dr.ライト研究所のラストナンバーさんが
  周囲の住民に避難を要請しています
  モバイルパソコンと人間とロボットとペットを連れて
  3キロ以上離れた地点に避難してください』と言えばわかるわ!!」

ここまで言わないとこの警護ロボットは理解できないのだ

「ワカリマシタ」

私が起動してから11年・・・
ライト博士の指示で
空いた時間を使って研究所近くの住民の所有する機械のうち
機械技師がなおせなかった機械を片端から修理した私は
ある程度の信頼を勝ち得ていた 
最後には周辺の修理工が私に壊れた機械を持ちこむまでになった
おかげで私はロボット以外の機械も修理できるようになった

警護ロボット達が全員研究所を離れた事を耳と体に感じる振動で確認すると
エレキ兄さんの意識を入れた

「エレキ兄さん 私がわかる?」

「ああ ラストナンバー 首から下の感覚がないんだ 動力炉は大丈夫か?」

「ええ 私の方から制御しているから大丈夫」

大丈夫どころではなかった 私が兄さんに入れたこの動力炉は
本来エックスのためにライト博士が開発したものだった
「心」の動きに反応して出力を調整できるという
この動力炉のしくみを私は完全に理解できてはいなかった





「ライト博士 この動力炉はなぜエックスにしか使えないのですか?」
「ラストナンバー この動力炉はロボットには使えないのだよ」
「なぜですか? 私達にも「心」はあるはずですが」
ライト博士は私の言葉に反応してとても残念そうな表情を浮かべた
「エックスは違うのだよ 
 もし研究が間に合っていればおまえにもこの動力炉を入れられただろうに
 私にはもう時間がないのだ・・・・すまない・・・・・」





私の手でエレキ兄さん用に調整したはずの動力炉は
私でも完全には制御できない状態だった 
もう止めることもはずすこともできない
もしこの状態で兄さんが絶望したり激怒するようなことがあればこの動力炉は爆発する
その結果を知っていたから私は周囲の住民を避難させたのだ

私は情報処理能力の半分を兄さんの動力炉の制御にまわして修理を始めた

「兄さん 派手にやったね で? 勝ったんでしょ」
そうでなければ兄さんを運んできたヘリは壊れていただろう

「2人倒したよ クイックマンとスパークマンだ」

「ああ これで残されたD.W.Nはキングだけね これでもうすぐ戦争が終わる」

「どうしてそう思う?」

「だって電子空間にダイブして調べてみたら
 最近キングの基地のコンピューターの様子が変よ 防御壁の更新が鈍ってきたもの」

「まったく そんな無茶はしないでくれ
 今のちぎれたネットワーク上で迷子になったらどうする 
 もうD.R.Nはオレ達しか残っていないのだから」

「やだ兄さん 戦争が終わったら他の兄さん達も 戻ってくるよ」

「?」

「どう? 左腕の回路をつないだから動かしてみて」

「さすがだな 今回の戦闘記録を保存しておいてくれ」

「ええ 10秒待ってね・・・・・・・・・・完了しました」

「これで この動力炉の実地テストも完了した もうこれで心残りはあと一つだ」

「ええ まだキングが残っているもの 
 兄さんの修理が終わったらキングの基地に本格的にハッキングをかけてやるつもり」

「それでどうする?」

「戦争が終わったらみんなで遊びに出かけましょ
 ねえメロディー兄さんのロボット用クッキーを持って行きましょうよ
 シンフォニー兄さんの調合したエネルギー飲料 もう長い間飲んでないね」

「・・・やはり故障していたか」

「えっ???」

「おまえの兄達はもう戻ってこない」

「!! ウソ!! だって・・・この研究所で機能停止した兄さんはいないはず
 ・・・みんな私がなおしたじゃない・・・みんな出かけて行って・・
   ・・・戻って来てないだけじゃない・・・・・」

「そうだ! 参戦したD.R.N.はすべてここで修理され 強化され 旅立った
 そしてもう戻って来る者はいない」

「何があったの!! 私達はロボットじゃない!!
 壊れたらなおせばいいし 
 コアさえ残れば新しいボディはいくらでも作れるじゃない
 帰って来るたびに 私の記憶装置に 
 バックアップデーターを残していったのはなんのためなの??」

「・・・・・・未来のためだ 自分達のためじゃない!
 さあ ラストナンバー 思い出せ おまえの作られた目的はなんだ!!」

「兄さん達をサポートするためじゃないの??
 10年間そうしてきたじゃない!!」

「それは違う! オレはおまえ達を設計図の段階から知っている
 おまえは最後の弟のためだけに起動した」

「私が起動する前のことなんてどうでもいいじゃない!!
 ねえ! みんなはどこに行ったの? なんで戻ってこないの??
 私の記憶装置のバックアップデーターはなんのためにあるの?
 コアが壊れたのならバックアップデーターを使ってみんなを作りなおせばいい
 そのために残したんだから!!」

「バックアップデーターは使ってはいけない
 忘れたのか!! 思い出せ 壊れる前に思い出せ!!」

「なぜ? 私は忘れる事は出来ないはずよ!! そういう設計なんだから!!」

「戦争が始まる前 002からおまえまでのすべてのD.R.Nが誓いをたてたのだ
 コアが壊れた時が我々兄弟の「死」だと 去って行ったD.R.Nを
 バックアップデーターから蘇生させてはいけない」

「なぜ? いつそんな約束を! だって私達はロボットじゃない
 ロボット3原則3項に抵触するそんな事誰が決めたの!!」

「・・・・ロールの遺志だ」

その時「ロール」に関する情報が頭部の記憶装置の中で解凍されはじめた
「D.R.N002 ロール」 私が起動する前に壊れたロボット
なぜこんな大切な情報が記憶装置の奥に見整頓で圧縮されている???
なぜ私はロール姉さんを今まで思い出そうとしなかった???
ああ 最後の1つのファイルが暗号化されている・・・・

「ロール姉さん 私には・・・
   そんな 誓い・・は・・・まもれない」

「やはり記憶を封印していたんだな」

「なんで? だれが私の記憶を封印していたの?」

「ライト博士も含めて だれもおまえの記憶を封印できない
 メインプログラムを書きかえることもできない そういう設計だからな 
 しかしユプシロンだけはおまえのサブプログラムに干渉できる」

「どうゆうこと?
 ユプシロンとは10年近く私は会っていないじゃない」

「ユプシロンとおまえ どちらかが残らなければいけなかった
 おまえが研究所に残る事が決まった時 D.R.Nの皆で決めたのだ 
 『このままではラストナンバーはいつかロールのように壊れる
 それを防ぐために何か手をうたなければいけない』
 ユプシロンは何も言わずにやってくれたよ
 おまえのサブプログラムの1つに退避行動を教えたんだ
 『記憶を忘れる事は出来なくても封印することは出来る』と」

「たしかに最近 圧縮して保管したデーターが重くなってきて
 だんだん 『思い出す』回数が減ってきた でもなぜ?
 そんな退避行動を入れたら私の機能を制約するだけじゃない!!」

「おまえを壊したくなかった 一部の記憶が封印されても
 おまえのリペアラーとしての能力には影響はしなかった
 我々の目的を果たすためにはおまえのリペアラーとしての能力は必要だった
 我々はおまえを利用したんだ」

「何を言っているの! 私は工業用ロボットじゃないの
 兄さん達をなおすのになんの問題があったの?」

「我々は ロックマンと共に戦えなかった
 かつて 人間に武器を向けた我々を人間達は恐れた
 弟達は 家庭用として作られたのに ロックの遺志を継ぎたくても
 人間達はそれを許さなかった それ以前にライト博士がそれを許さなかった
 おまえは兄達の罪の代価を支払うために作られ 
 その身で代価を支払いキズ物になった後でも 我々はおまえを利用し続けた」

「私はそれでもよかった 
 兄さん達の望みをすべてかなえられたのならそれでいいじゃない!!」

「この戦いはオレ達だけでかたづけなければいけなかった
 過去にとらわれた者達の戦いに
 未来のために作られたおまえを巻き込んではいけなかった
 おまえが壊れる可能性が高い事を知りながら
 我々は最後までおまえを利用しようとした」

「なぜ? 私は壊れにくく設計されているはずよ」

「たとえどんな高性能のロボットでも
 プログラム内に予測されていなかった事が起きたら対応できない
 おまえの心は兄弟の「死」を認めたくなかった
 コアが壊れてもバックアップデーターは残っている
 おまえはデーターからオレ達をよみがえらせる事が出来る
 しかしロールとの誓いを守らなくてはいけない
 それでは兄弟の「死」を認めることになる
 しかもロールとの誓いに反論しようと悩めばおまえは壊れる
 あの時ロールは完全に壊れていたのだから
 悩んで壊れる事を避ける為には
 普通のロボットならいやなメモリーを忘れることができる
 しかしおまえは忘れる事ができない
 ユプシロンが居なければおまえをなおすこともできない
 おまえには兄達の「死」に関する情報を封印することしか逃げ道はなかった」

「なんて事を言うの!! まるで私が故障しているみたいじゃない
 いつから知っていたの? みんな知っていたの? 」

「口には出さなかったが 皆それぞれの方法で理解していた」

「なぜ今になって私の記憶を戻したの?」

「もうこの戦いは終わる 
 記憶を封印し続ければ 長い時間をかけていつかおまえは壊れる
 ユプシロンが消息不明の今 最後に残されたオレがおまえを解放する 
 オレ達は過去に去らなければいけないが 
 おまえ達は未来に進まなければいけない
 おまえが偽りの名前から解放されて
 すべての記憶を持って未来に進むのが オレ達すべての望みだ
 いや すべては我々のわがままだった」

「兄さん達も一緒に行こうよ エックスの居る未来へ」

「もうオレは助からん
 この動力炉を移植することをおまえに頼んだ時から覚悟は決めている」

「どうしてあきらめるの! 故障したらなおせばいいじゃない」

兄は残された左腕で私の髪を切ると私をサンダービームで突き飛ばした

「ライトット 妹を連れて逃げろ!!」

「はなしてよ ライトット!! その動力炉は私が作ったんだ 私が・・・・・・」

その瞬間
 私の体内センサーすべてが計測可能範囲を超えるエネルギーを感知した


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