(2004/06/07完成)


「だーまーされーたー」
レプリロイド用のビールグラスをテーブルにたたきつけるエックス

「なにがだ」

「やっぱり変だよイレギュラーハンターって
 世間のイメージと全然違うじゃないか」

事務作業を残業手当がつくまでこなした後
イレギュラーハンター17部隊の平隊員ゼロとエックスは
2人で飲みに繰り出していた

レプリロイド用の酩酊効果のあるエネルギー飲料などというものは
普段のエックスならけっして口にする品ではなかったが

ゼロが一見感じのよさそうな店にエックスを連れ込んで
適当にだましてエックスに飲ませたというのが現状だった

ゼロの予測は正しかった
エックスは起動して数年たつというのに
この手の液体を摂取した事がなかった

「(こいつ・・・飲むと性格変わるな)
 いや おれにしてみるとなんでおまえみたいな奴が
 イレギュラーと紙一重のヤバイ連中の巣窟にすすんで入隊したかがわからん」

「イレギュラーハンターの求人募集映像を見て」

「やっぱりな おまえが入隊した年の宣伝映像はなかなかよく出来ていたよ
 そうそう オレが起動する2年前からあの手の映像に出てくるハンターは
 芸能プロダクション所属の売れない俳優だといううわさだ」

「どうしてそんなことがわかるんだよー」

「おれもいろいろな支部に始末書を出しに行ったが
 映像に出てくるようなハンターを見たことは1度もない」

「だーまーされーたー」
レプリロイド用のビールグラスは頑丈に出来ていた
もちろんハンター本部から半径1キロメートルの店のは特に・・・・

その後 エックスの愚痴を適当に聞き流しながら
ゼロは非合法すれすれの液体をエックスにすすめ続けた







5日後 意識を取り戻したエックスは
『自室にどうやって戻ったか記憶がない』
という実に貴重な経験をしていた

そして青い胸部装甲には1枚のメモ書きがテープではりつけられていた
『やっぱりメットの下は回路むき出しだったか』

「クソッ やられた!!」

そしてエックスは爆音と悲鳴に満ちた戦場へ駆け出していった

「ゼロ 君の髪を三つ編みにするまでオレは君を許さない!!!」

しかし 彼はまだ上司の反乱と
その直後に起きた職場内の粛清の嵐から
奇跡的に逃れる事ができた事実を知らなかった

いつか彼は気づくのだろうかライト博士の願いを
遥かかなたに去っていった兄弟達の想いを
そして自らの体内に秘められた無限の可能性を


いや それ以前にエックスよ!
 お前は三つ編みの編み方を知っているのか!!!!


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