2002年に1stアルバム「Water Colors」をリリース。それから3年の歳月をかけて作られた本作は、ゆっくりとした歩みの中にも着実に成長を遂げている彼女の姿があります。

　その中でもシングルカットされた３曲には、一貫した強い意志が感じ取れます。本人が転機となった曲と語る「はなびら」、人が抱える本質的な寂しさと向かい合った「I Will」、細い糸を手繰るような願いを綴った「僕たちのTomorrow」。前作でまだか細さを残した声は力強さを増し、透明感と存在感がバランス良く織り交ざり、確実に彼女の想いを伝えてきます。

　BPMは70〜90がメイン、やや早めのテンポのバラードが心地よく響きます。そのテンポ感を象徴しているのがTrack.8「そっとキスをしよう」。BPM=104という数字ながらしっとりしたバラードにまとめあげているセンスは秀逸。

　バラエティ系の１ｓｔアルバムから少しずつ方向性を持ち始めた彼女の確かな１歩が感じとれる作品です。

　2004年シングル「Rie Who!?」でデビューしたRie Fu、安定した歌唱力とスピード感あふれる発音が魅力の1stアルバム。ひたすらクールな歌いまわしですが、ときおりみせる美しいファルセットに詰め込まれたやさしさに加えて、アコースティック中心の音作りがヴォーカルを引き立たせます。

　そして、何気ない歌詞には彼女の感性が垣間見えます。Track.1 笑って恵みのもとへ･･･「避けられぬ孤独隠すために同じことで笑いあったりするの」、Track.8　雨の日が好きって思ってみたい･･･「君のことを好きって思ってみたい、だけど今はちょっと頭が痛い」。

　bpmは95と115が中心で聴きやすいテンポにまとまっています。この構成は宇多田ヒカルと似ていますが、雰囲気はもっとドライで軽い感じ。1stアルバムながら佳曲に恵まれた完成度の高いアルバム、文句なしお勧め。