今年の夏はとびきり暑いようですね。短い梅雨が終わり、日差しが出ると、気分も明るくなります。エアコンも適度に使いながら、無理せず少しずつ体を夏モードに慣らしていきましょう。
心(しん)
東洋医学では、夏は五臓の「心」と関係の深い季節と言われています。心は全身に血を巡らせるポンプのような働きをしています。また、睡眠、舌、汗、顔面、喜びなどと関係が深いとされています。一年の中で一番気温が高くなる夏は、暑さで体力を消耗しがち。私たちの体は、汗を出して体内の余分な熱を逃がし、体温を調節します。一方で体の水分が減ることで血はドロドロと流れにくい状態になります。心は流れにくい血を運ぶためフル回転して、オーバーヒートしやすくなり、不整脈、動機、息切れ、不眠、動脈硬化などを引き起こすと言われています。また、汗は水分だけでなく、エネルギーの元となる気も消耗してしまうので、元気が出ない、疲れやすいなど、夏バテなどの一因にもなります。
(※心とは、西洋医学の「心臓」とは異なります)
<夏におこりやすい症状>
夏バテ 熱中症 動機 息切れ 不眠
疲労 動脈硬化 冷え 食欲不振 消化不良 食中毒 など
夏に摂りたい食材
夏は「からだの余分な熱を冷ます食材」を摂るようにします。キュウリやスイカなどのウリ科の野菜をはじめ、トマトなど旬の夏野菜や果物は水分たっぷりでみずみずしく、身体のほてりを冷まし、汗とともに失ったミネラルも補充してくれます。やさしい甘さで気を補ってくれる「トウモロコシ」、美肌食材としても優秀な「トマト」もおすすめです。
【野菜】 きゅうり トマト ゴーヤ みょうが オクラ ししとう ピーマン とうもろこし 枝豆 レタス モロヘイヤ らっきょう
【果物】 すいか メロン 桃
【タンパク質】 アジ カツオ 豚肉 納豆
【体を温める薬味】 ねぎ しょうが しそ ニンニク
夏の食養生
夏に注意したいのは、冷たい飲み物や食べ物の摂りすぎです。注意していても、意外とお腹が冷えている方が多いのがこの時期の特徴です。胃腸が冷えると、消化能力の低下から、食欲不振、疲労、だるさなどを招き、これも夏バテの一因となります。暑いからといって、サッパリした食事や麺類、また夏野菜はいいからとそればかりを摂っていても、これもまた胃腸の冷えの原因になります。バランスの良い食事が基本です。夏野菜は加熱調理もおすすめです。からだを冷やしすぎず、マイルドにクールダウンしてくれます。また、「ねぎ、しょうが、にんにく、しそ」などの「体を温める薬味」をほんの少し添えるのもバランスが良くなります。さわやかな香味は食欲を誘い、抗菌作用もあるので食中毒の予防にも役立ちます。
夏は、からだのほてりを鎮めながらも、胃腸は冷やしすぎないようにすることがとても大切です。 果物はぜひ桃をいただきましょう。桃は夏の果物にはめずらしく、からだを温める作用があり、血行を促進して胃腸の働きを高めてくれます。甘くてジューシーな、夏のハッピーフルーツです。
★ ポイント ★
夏野菜の力を借りてクールダウン
常温で食べたり、スープにしたり、炒めたり
加熱調理して食べることも からだを冷やしすぎさないコツ
「からだを温める薬味」をプラスするのもおすすめ!
夏こそ血流改善・冷え性対策
汗で体内の水分が失われる夏は、血がドロッとして血の流れが悪くなります。生理痛や肩こり、腰痛がひどくなる。肌の新陳代謝が低下して、くすみや肌荒れを招いたりすることも。また、血流の悪さは、冷えの原因にもなり、夏なのに冷えの症状が現れます。もちろん、冷房のかかった部屋に長時間居ることも、冷えの原因の一つです。暑い夏こそ、あたたかい湯船につかる、あたたかい食事を摂るなど、「血流を良くする」「からだを冷やさない」ことが大切です。
祥雲堂鍼灸整骨治療院 鍼灸師・栄養士 野中友恵
参考文献:ひとりごはんの薬膳レシピ 鳥海明子(誠文堂新光社)
春夏秋冬ゆる薬膳 池田陽子(扶桑社)
女性力を高める薬膳ごはん 鳥海明子(マイナビ)
からだに効く和の薬膳便利張 武鈴子(家の光協会) 他