朝の空気。日差しが部屋に差し込む。

ぼんやりとした意識が覚醒に向っていく。


「うぅ〜ん」


膝の上に柔らかい感触、艶かしい声……声!?

ガバッとばかりに跳ね起きたい所を辛うじてこらえ目を向ける。


「すぅー……ん……」


そこに居たのはタマモと同い年ぐらいの少女。身体の発育ぐらいならややコチラが上か。

シロの着ていた着物が辛うじて身体を包んでいる状態の……腰までの長髪の美少女!?

しかも着物の下は!?


 

「誰? て言うか……シロ!? んな馬鹿な!?」


シロはもっと小さかった筈……大体、男の子じゃなかったのか!?

混乱する俺にシロの寝返りが追撃する。


「あぁっ、シロ! そんなカッコで寝返り打ったら着物の裾がぁ……ぶっ


せっかく回復したのに、また血が減ってゆく……が俺はサムズアップを決めつつ


「大きくなっても未だ子供だね……シロ……」


そう言って鮮血に染まった俺の顔は満足げに微笑んでいた。




GS横島

 第二夜  その4 〜タマモとシロ(後編・後半)〜 




  

多分、人狼の超回復能力と俺の霊気、この状況がシロの身体を急成長させたんだろう。

と言う結論が出たのは俺が気が付いてから暫し後。

俺の前にはタマモと成長したシロが座っている。タマモには匂いでシロだと判ったらしい。

結局混乱したのは俺だけか。まぁれば判るんだけど……不意打ちは……ねぇ。

色々、勘違いしていた部分も在ったし……と、この事は置いとくとして。

とりあえず犬飼への対策は考えたが、今すぐと言うわけでもないし。


「これから、どうするの?」

「どうするってもな〜。まだ本調子じゃないしな」

「拙者は大丈夫でござるよ」


先程の出血はともかく、俺の方は傷は塞がってはいるが本調子には遠い。

そんな俺に、頼りにしてくれとばかりにシロが笑いかけてくるが――。


「馬鹿犬、ヨコシマが本調子じゃないって言ってるのよ」

「犬ではござらん狼でござる。女狐こそ大人しくして居れば良い。拙者が横島殿を御守りいたす」


タマモの一言から始まった口喧嘩に俺は溜息をつく。

そんな事してる場合じゃ無いと思うんだが。


「一寸でかくなったからって威張らないでよね」

「……女狐は小さいままでござるからなぁ」

「……何処見て言ってるのよ……」

「身体でござるよ」

「………………」

「………………」


険悪になり始めた雰囲気に俺が口を挟もうとして――。


「早かったな……」

「「!?」」


俺の呟きに二人が素早く反応する。

結界の歪み……強引な侵入者……来たか。

俺達は顔を見合わせ立ち上がる。

家の中より外の方が……正確には庭の方が戦い易い……いや、逃げ易い。

これが俺達が出した結論。

俺達では勝て無いだろうと言う事。

シロは急成長したものの未だ身体の感覚がつかめていないだろう。

タマモは幻術で撹乱かくらん出来るが決定打に欠ける。

今のタマモの狐火ではわずかな攻撃力しか望めない。

俺に至っては避けるだけの体術なら兎も角、妖刀の能力を防ぎきる自信は無い。

多少の霊力は有っても使い方を知らない俺は、オカルト戦に関しては素人に近い。

見えるだけでは無理。しかも体調は万全ではない。

だから逃げる……それでも難しいだろうが。

俺達は気配を消しながら移動する。どうやら相手は気付いていないようだ。


(これなら……)


内心呟いた俺に……驚愕が走る。


「な……何!?」


一瞬にして近づいて来たのは……犬飼!? しかしその姿は……


「フェンリル……」


シロの震える声が俺の甘さを認識させる。

その姿は、すでに人よりも獣の姿に近い……しかし凶悪な程の力を秘めた姿。

俺の体調が万全で無かったとしても、敵の戦力を見逃すとは。

反射的にシロとタマモを庇う。


「ヨコシマ!?」

「横島殿!?」


これは俺のミスだ……俺が出来る事を怠ったから。


「……逃げろ」


脚が震える。正直死にたくは無い……が。


「しゃーねぇな」


諦めるつもりは無いが腹は括った。何とかして二人を――


「!?」


二人が俺にしがみ付く。


「お前ら!」

「ヨコシマを放っていけない……よ」

「拙者、横島殿を……先生を見捨てては行けませぬ」


俺達の様子に犬飼は口元を笑いの形に歪めながらゆっくりと近づいてくる。


「覚悟を決めたか……当然だな。今、俺は伝説の狼王フェンリルとなった。

今の俺なら神々とさえ戦う事が出来るだろう。

貴様らは俺の……『ポチ・フェンリル』の最初の生贄となるのだ!

そして人々は俺の名を……『ポチ・フェンリル』の名を恐怖と共に魂に刻む事になるのだ!!」


「ポチ……?」

「ポチって言うな!!」


俺の呟きを犬飼の言葉が遮る。


「………………」

「………………」


妙な沈黙……だが状況は変わらない。

ポチ……『ポチ・フェンリル』は巨大な狼の身体をゆっくり動かし、俺達の前に立つ。

(逃げられないか)

俺は、それでも最後まで目を逸らさず『ポチ・フェンリル』を見る。

死のあぎとが俺たちに向かって……










止まった。

俺たちの背後に現れたのは知っている気配。

芦家の結界を通り抜け、現れた『ポチ・フェンリル』を止めた者達。


「優華……ルシオラ……それに美智恵さんに、ひのめちゃんまで……」


ついでに西条もか。

俺は急に解けた緊張から遠くなる意識の中、現れた知人達に疑問と肯定が脳裏に浮かんだが……


「ルシオラ……優華……『両方』殺すな……」


それだけ言って俺は意識を手放した。







気を失った横島の側に二人の少女――『タマモ』『シロ』と横島が呼んでいた――が寄り添っている。

ちらりとシロとタマモとを一瞥して、ルシオラが薄く微笑む。


「相変わらずか。一寸、目を離した隙に……」


味方である……正確には横島の敵ではないのは見れば判る。

少なくとも横島は彼女達を庇おうとし、彼女達も横島を助けようとしていたのだから。

彼女達が、何故横島に懐いているのか……それは取り合えず後廻しだ……先ずは。


「……兄さまを傷つけた」


ルシオラの隣に居る優華がボソリと呟く。

先程から沈黙していたのは目の前の相手に静かな眼を向けていたから……凍りつくような視線を。


「そう……先ずは……横島を傷付けた事を……」


「「後悔……させる!!」」


ルシオラと優華の声が怒りを内に秘め、告げた。






「お兄ちゃんを……よくも!!」

「だめよ、ひのめ……簡単に殺しちゃ……もっと苦しめなくては……」


美神親子は暴走気味……兄さまの言葉が聞こえた筈だから殺しはしないだろうけど。

優華わたしは口元を僅かに上げて薄く笑いながら思う。

でも言ってる事は同意できる……殺さなければいいのだから。

目の端に――確か『西条』と言った――男が震えているのが見えた。

美神親子のキレ具合に驚愕しているのだろうか。

ルシオラの戦闘力を前に怯えているのだろうか。

それとも私の霊力に驚いているのだろうか。

美神親子の事は兎も角、普段の私とルシオラは出来る限り力は抑えてある。

知っているのは極小数。

美神親子と横島の両親、芦家の一部とオカGでもほんの僅かの筈。

能力的に多少高い『西条』にも、基本能力が違う私達は脅威としか映らないだろう。

そして、いずれ恐れるだろう……この男は、普通の人間は。

兄さまの様に受け入れてくれる存在は希少なのだから。

だから……傷付けた事が許せない。

傷付けたモノが許せない。

傷つけさせた……自分が許せない。

だからコレは八つ当たり、自分の怒りの捌け口。

……なのに兄さまは殺すなと言う。

『両方』殺すなと言う……『刀』と持ち主を。

私達なら殺さずに止められるから。

不満は残る。

でも、だからこそ兄さまらしい……ルシオラもそう思ってる――だから。

















「「「「生まれて来た事を後悔させる程度に虐めてあげる」」」」




その日、某芦家の別荘に悲惨な鳴き声が響いた。

現場に居たはずの西条氏は「恐ろしいモノを見た」との印象しか残っておらず、

精神的なショックによる一時的な記憶障害と見られる。

尚、現場に居たとされる女性達は黙秘しており事件は迷宮入りと――。




「――てな感じだったんだよなぁ……」


ふと思い出して苦笑いする。

結局、俺が意識を取り戻した時には『妖刀』の件は片付いていた。

妖刀を手放し元の姿に戻った犬飼は、憑物が落ちた様に大人しくなっていた。

……何故か刀と女性に異様に怯えていたが。

因みに全治6ヶ月(人狼の回復力でも)の重傷だった。

妖刀八つ房は、美智恵さんがオカGの権限において保管することになった。

人狼の里の方も今回の不始末が里の責任も有る事から比較的すんなり行った。

西条は、何か白くなって固まっていたが、暫くすると再起動した。

しかし白くなってた間は覚えていなかった……なんか怖いモノでも見たんだろうか。

俺の居場所についてはタマモの事で……これは美智恵さん達が居る事にも関係する。

きっかけはオカルトGメン関係、つまり追っていた殺生石の妖弧が急に消えた事。

しかも追っていた黒服へんしつしゃは撃退されていた事――が、直接の理由。

黒服へんしつしゃの証言から『俺』の事を推測、優華達に連絡、合流。

後は力を合わせて追跡に掛かったと言う訳だ。

まぁ通常の霊的検索では見つかり難い場所、強力な霊的スポットで且つ俺が逃げ込めそうな場所、

黒服の証言に、俺の予想移動速度、その他諸々………最後に女の勘でココにたどり着いたそうだ。

とりあえず、タマモが俺に懐いている(?)事と今回の件、芦家によるフォローと美智恵さんの働き等で、

芦家に従う事を良しとしなかったタマモが何故か俺預かりの立場になったらしい……謎だ。

それでも『九尾』であるタマモの立場は微妙なものだったので、様子見という事で行動に制限がついた。

しばらくの間は芦家の関連施設……この別荘等に範囲は限られるが自由にしても良いと決まった。

タマモとしては不満そうだったが、『いずれ許可がおりるから』という美智恵さんの言葉に納得したみたいだった。

そのとき美智恵さんがタマモやシロに何か言っていたようだが……気にしないで置こうと思う。

気にしても多分、無駄だと思うし。今の俺では美智恵さんの策略に勝てるほどの力はないし……な。

ひのめちゃんが来たのは驚いたが、夏休みの間、こちらの方に遊びに来る予定だったらしい。

で、ついでとばかりに俺の追跡に参加したそうだ。

……西条はオカGのバイト中だったと言っていた。

シロは付いて来たがったが里の事や親父の事もある……一応親父は死んでなかったらしい。

シロの親父はかなりの精神的ダメージで酷く衰弱していた。

なにか有ったのだろうが、親父は何も語らなかった。

ただ理由を聞いたとき酷く辛そうな顔をしたのを憶えている。

シロは親父に『身体は大きくなったが未だ子供だ』と、そう言われて里に帰る事になった。

あれからシロは何故か俺の事を『先生』と呼び始めたので聞いてみた。


「先生には、武士としての心構えや生き方の何たるかを教えられ、しかも自らを盾にして拙者を庇い、

尚且つ命を奪おうとしたモノにさえ心を砕かれて居られた。拙者はそんな先生に感動いたしました。

ですから拙者の師、先生でござる」

「甘いだけだ……」


俺の自嘲的な呟き。

皆によく言われる事。

いつか命取りになるかもしれない、それでも変えられない俺の……。


「それも……その甘さも先生でござる。それに拙者はソレを『甘い』とは思わ無いでござる。それは『優しさ』だと思うでござる」

「ヨコシマの良い所だと思うよ……」


横からタマモが囁くように呟いた。それを見てシロの眼が――。











「そう言えばあの頃からシロとタマモは、よく口喧嘩するよな」


仲が良いのか悪いのか、判らんが。


「コンビネーションは良いと思うんだよな〜」


(第二夜その2からの)長い回想から帰ってきた俺は誰ともなしに呟いた。

鼻血(番外1〜3参照の事)による血の海より生還を果たした俺は今、タマモの膝枕とシロ布団――

もといシロが覆い被さるような体勢で心配そうに見ている。

二人とも心配してくれるのは良いが――。
















「何故、二人ともナース服なんだ? 幻術の続き?」

「これは本物の服よ」

「自前でござるよ」

「何故? WHY?」

「「横島(先生)が喜ぶと思ったから(でござる)」」


クリーンヒットです。

ばっちりです……てゆうか、こんなカッコ誰かに見られたら……
















ドバキィ

グハッ


―――キラッ―――

殺気より早く、音よりも速い衝撃で俺は星に成りました。


「……今の一撃、音速超えてた……がくっ」


ああ……やはり、こういうオチか……。






「はぁはぁはぁ……何やってんのよ! アンタは! 誰よ、その娘!」

「美神さん……横島、気絶してる」

「……兄様……いつも通り……くすっ」

「もぉ……おねぇちゃんたら……あっ、タマモちゃん、シロちゃん。久しぶり〜」

「……ふぅ、何時もの事ながら素直じゃないんだから」

「………………(何故、横島君の周りには……羨ましい不可解だ)」

「ママ、何か言った?」

「相変わらずって言ったのよ」


顔を真っ赤にして美智恵に文句を言う美神。

美智恵にしてみれば中々素直になれない娘が可愛くもあり、もどかしくもあるのだろう。

優華とルシオラはいつも通り横島の看護に就いている。

美神がシバイて優華達が看護するのが何時ものパターン。

優華達が美神を止めない理由の一つ。

西条は横島を見て羨望と嫉妬を浮かべながら、血まみれでぐったりした様子に何処か嬉しそうだった。

西条本人は気付いてないだろうが顔に出る分、案外正直な男である。

ひのめとシロタマは久しぶりの再会に喜んでいた。


「お久しぶりでござる、ひのめ殿。元気そうでなにより」

「久しぶりね」

「うん! シロちゃんもタマモちゃんも元気そうで良かった。でも、お兄ちゃんも居るとは思わなかったけど」

「先生は、偶々こちらに来られたのでござるよ」

「折角だから修行の成果を見て貰ってたの」

「……どんな修行なのかは聞かないで置くけど、そっか……だから血の海な訳ね。ナース服なのは、その為?」

「タマモが先生の為に必要と……」

「前に服を買いに行った時に、要るかと思って」

「………………次は誘ってね」


三人が目と目で会話し、サムズアップで合意する。


「ところで、何の用でひのめ達が来たの? 私、ちゃんと大人しくしてるわよ」

「拙者はアレから、こちらで修行をしていたのでござるが……何かあったのでござるか?」


二人が首を傾げていると美智恵が美神をからかうのを止めて近づいた。


「あら、ちゃんと用事は有るわよ。まぁ、ひのめが会いたがっていたのも有るけど……」

「ちょっと、ひのめ。アンタ、この二人と知り合いなの?」


前は居なかった為、ちょっと疎外感を感じて美神が尋ねる。

居たらポチの命は無かったかも知れないが。


「前に……ちょっとね。お姉ちゃんはGS試験の勉強やバイトで忙しかったし、あの時も偶々居合わせただけだから」


かなり確率の高い偶々ではあったが……勿論ひのめは余計な事は言わなかった。


「……ふぅ〜ん」

「令子……もう良いわね?」


納得しかねるような娘の口を止め、美智恵は鞄から数枚の書類を取り出した。


「以前から言っていた『人間社会での生活及び活動』だけど、この度ようやく許可が下りたの」

「え……じゃあ……!」

「せ……拙者もでござるか?」

「ええ、そうよ。タマモちゃんは芦家とオカルトGメンの、シロちゃんは人狼の里とオカルトGメンの許可が下りたわ。

二人の背格好なら……横島君の一つ下ぐらいだけど」


それを聞いたシロタマの表情が嬉しいような残念なようなものになる。

なにせ二人の希望は『横島(先生)と同じ』だったのだから。

シロも容姿的には厳しいがタマモの方が容姿的には幼く見える。

が、シロは外見より中身が幼く、タマモは中身より外見の方が幼い。

対抗意識のある二人を分けるのは得策では無く、妥協点が『一つ下』であった。

ひのめは少し残念そうだったが、直ぐに嬉しそうに笑った。学年は違えども同じ学校になるのだ。

ひのめにとって二人は友達であり、好敵手ライバルでもあるのだから。

美智恵はにっこりと微笑み、直ぐに顔を引き締めて二人に告げる。


「許可は出たけれど、二人とも横島君預かりに成ってる事を忘れない様にね。

何か有ったら横島君の所為になるのよ。くれぐれも……」

「なによ、それ! どう言う事よママ! ちゃんと説明してよ!」


聞き逃せないセリフに動揺する美神。

それに対して予想通りの反応を見せる娘に美智恵はにっこりと笑う。


「芦家も人狼の里も『横島君なら大丈夫』って言って許可が出たの。

つまり決定事項なの、くつがえらないの。それとも令子が二人の面倒を見るの?」

「なんで私が!」

「じゃ、文句無いわね、決まりね、OKね。よかったわ〜すんなり事が運んで。

初対面の令子が二人に何か言うのかと思って一寸心配しちゃった。

何せ、二人とも人間社会には不慣れでしょう……横島君達だけじゃなく、

出来るだけ多くの人に助けて貰いたかったのよね〜。令子が手伝ってくれるなら安心だわ〜」

「ちょ……ちょっとママ……私は……」

「何? ひのめも嬉しそうだし、優華ちゃんやルシオラさんも承知してるし、六道学園の許可も有るのよ。

それに二人とも六道学園に編入する為に猛勉強したのよ。一般常識に、少し疎い所が有るにしろ努力はして来たのよ?

その上で現状では問題が無いと判断されて許可が出たの。

他の学校では兎も角、六道学園は数が少ないとはいえ人以外も入学出来るのよ、知ってたでしょ。

住居はうちか、横島君の所か、ルシオラさんに成ると思うけど。それ以外に何か有ったかしら……」

「……もぉいい……」


畳み掛けるような美智恵の返答にガックリと項垂れて美神は撃沈された。

反論しないのは、今までの経験と、これに反論する事は自分の内情をばらす事に成りかねないから。

勿論、美智恵はそれさえ承知の上ではあるが。

ひのめはホッとした様な表情を浮かべたが直ぐにシロタマと、これからの事を話し出す。

嬉しくてたまらないといった風情の娘とドンヨリ曇り空な娘に微笑みと苦笑を交互に浮かべた美智恵は

優華とルシオラの方、正確には彼女達に看護されている横島に向けて呟いた。


「ますます面白くなりそうね……私ももう少し若かったらなぁ」


小さな呟きを聞いた者は居なかった。
















「横島君……何故君の周りには女の子が集まるんだ……」


愕然とした表情のまま西条も呟いた……誰も聞いては居なかった。







西条再び御免よ(挨拶)

後半です。いかがでしたでしょうか。

横島、意識無く終わるのが続いています……何故だろう?

次回は優華さん辺りに逝こうかと思ってます。


?:「何が『逝こうか』だ。変な所でボケおって」

ああっ! 貴女はオリジナルキャラ(予定)の夜さんじゃないですか。どうしたんですか?

夜:「どうしたもないわ。貴様が長々と書いてきた御陰で第二夜が随分長くなってしまったではないか。収集が着くのか?」

大丈夫です。優華の話は半分ぐらいは書いていた筈です。何故ルシオラが……の話は考えていますが書こうか迷ってます。

夜:「戯けが!何が『筈』で『迷っています』だ。大体、私を出すかどうかも考え中なのだろう?」

そのとおり!……ぐゃっ……

夜:「……ふぅ……戯言ばかりほざきおって……私がいつ出るかによって話を考えねば成らんのだろうに……」

………時期的にはシロタマ篇の後、入学前か、六道学園入学後にするかですぅ……

夜:「……まだ意識があったか……しぶといな。まぁいい、で、私が活躍する……と。

……出なければ活躍も何も……ごりゅ

夜:「まぁ……私は呼ばれれば出演するのはやぶさかではないが……読者の反応待ちだな」

……………………………………

夜:「どうした? ぐったりして。早くゾンビの様に起き上がって続きを書くが良い。

貴様のような駄文書きにも数は少ないが待っていると思われるだろう人々が居る筈だからな……」

……………………………………

夜:「おおっ白目向いたままカクカク不自然な動きで立ち上がりおもむろに歩き出したな。良し良し、流石は……」

…………かゆ……うま…………

夜:「まぁ、コンナ感じで次も行くらしいと言った所で締めだな。こんな奴だが見捨てずに居てやってくれ。では、サラバだ」


……フォローしていけよ……


夜:「――というのが、ほぼ掲載時の原文あとがきだ」

いや、久しぶりに編集してみると大変です。

夜:「己の未熟さ加減が身にしみるからか?」

………相変わらずですね。既に第三夜で出番確定の夜さん。

夜:「うむ。久しぶりすぎて愛用の釘バットを忘れてしまったくらいだ」

どうりで夜さんと一緒なのに、久しぶりに痛くない後書きだと……てゆうか、必需品ですか!?

夜:「当然だ」

即答ッすか!? しかも断言してるし……。

夜:「当たり前の事を聞くな。それより補足をするのだろう?」

当たり前ッすか!? ……補足はですね、ルシオラ編はあります。

夜:「他にもあったはずだが?」

一応、ここで初めて読む方のためのお楽しみという事で……。

夜:「なるほど。ところで私とあるじ殿との仲についてなのだが……」

ネタばれ的な会話は駄目です。という事で、この辺で……。

夜:「貴様! また誤魔化す気か! やはり釘バットは必要――」

――作者は逃げ出した。夜は追いかけた。そして作者は捕まった。後は命運を祈ってください。――




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