北神戸 丹生山田の郷
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大地の成立ち 〜山田の大地の成り立ち〜参照リンク(*31)

学校で地層についてどう習ったか定かに覚えていないが、イメージとしては地層というのは布団を敷き詰めるようにいくつもの皮を下から積み重ねたもので、そこにいろいろな力が加わって斜めになったり波打ったりひびが入ったり、時々皮の下からマグマが突っ込んできて火成岩ができたり火山が噴火したり・・・という感じに思っていた。

今回本やHPを漁ってみて、上記の話もうそではないが局所的なもので、日本列島の土台は(長さ数100〜1000kmの)粘土の紐を横に並べて順番に横から押し付けて粘土の板を作っていくようなでき方をしていると知った。この粘土の紐に相当するものを付加体という。

粘土板に相当する日本列島を作った最大の工作機械は地震の解説でよく登場する海洋プレートで、赤道付近から年に数〜10cmのスピードで日本に向かう途中でプレートにこびりついたり降り積もったサンゴや生物の死骸、世界有数の急流の日本の河川によって削り取られ、海に流れ込んだ山のかけら(土砂)などで付加体を作り、プレートが日本の下にもぐりこむ時に日本列島になすり付けるという作業を繰り返してきた。

付加体には山口帯、舞鶴帯、四万十帯などの名前がついていて、山田の土台である付加体には丹波帯(丹波層)という名前が付いている。

実際の山田の表面は下の地図にあるように複雑に入り組んだ地層模様を作っている。どうやら、丹波帯という付加体の上で、火山の噴出物が積もったり、地層の下からマグマが突入してきたり、湖の底や河川に運ばれた土砂が皮の様に積み重なったり、100万年ほどの間に東西から挟み付けられて高さ1000mのしわ(六甲山〜淡路島)ができたりといろいろなことがあったようだ。

1995年(平成7)の阪神淡路大震災(関連リンク)も、この東西から挟み付ける力で六甲山を高くしようとしていたのだろう。地震により六甲最高峰の標高は931.13mから12cm上昇して(隆起ペースからすると120年分)931.25mとなった。

このページでは、神戸全体の地層の成り立ちを詳細に解説している神戸市教育委員会の「神戸の大地のなりたちと自然の歴史」のページから山田地区に関係する部分のさわりを紹介する。

地質図凡例
神戸市教育委員会提供のフリー素材
地層の形成過程

[丹波層群の生成] ペルム紀(2.5億年前)〜ジュラ紀(1.5億年前)

赤道付近の海山で生成された海洋プレートが数千Kmを数千万年かけて(年に数p)移動中に堆積した玄武岩(プレートを構成)、石灰石(さんご礁)、チャート(放散虫)が、海洋プレートと中国の大陸プレートの境に堆積する大陸からの砂・泥などが一緒になってプレート境界でこすりとられ、大陸になすりつけられるようにして生成された地層(付加体)。日本列島の骨格の大部分はこのような付加体によって形成されている。

これらの付加体は、裏日本から表日本に向かって順次「付加」されて行き、それぞれの帯には山口帯、舞鶴帯、四万十帯などの名前がついていて、山田の土台となっている付加体が丹波帯(丹波層)である。

山田の地層は、この丹波層群に後から新たな地層が堆積したり、地下から花崗岩が貫入したりして、複雑な地層模様を描いていると考えられる。六甲山地の丹波層群が後から貫入した花崗岩によって熱せられホルンフェルスという変成岩に変わっていたり、後から堆積した神戸層群、現在の川原、海岸のレキの中にはこの丹波層群の地層をつくっているチャートのレキがたくさん入っているのは丹波層群が山田の地層の土台となっていたことの現われと言える。

丹波層群は、山田では、泉台東下福地などに分布。

[丹生山地の流紋岩(有馬層群)と六甲山地の花崗岩] 白亜紀(7,500万年〜7,000万年前)

丹生山地を覆う流紋岩と六甲山地を形成する花崗岩の組成はほぼ同じであるらしい。白亜紀末期のころ(7500万年〜7000万年前)、地下のマグマが神戸付近の巨大なカルデラから地上に溶岩が流れ火山灰が降り積もったのが丹生山地を覆う流紋岩(有馬層群)で、地下でゆっくり冷えて固まったのが六甲山地を形成する花崗岩ということで、両者はいわば兄弟ということになる。ただし、この時代、まだ六甲山も丹生山系も隆起はしていない。

六甲山の花崗岩は、御影(みかげ)石の名前で石材としても有名。

山田では、有馬層群は、衝原坂本東下西下福地、原野与左衛門新田下谷上上谷上などの山田川北側および衝原湖南の丹生山系で、また花崗岩は原野下谷上上谷上惣山町、神戸北町付近の新興住宅街など六甲山系やその周辺に分布。

[古神戸湖に堆積した神戸層群] 新生代古第三紀漸新世(3,500万年前)

森林植物園の化石木

白亜紀から後の3,000〜4,000万年に起こったことはよくわかっていないらしい。

その後、今から3500万年前、新生代古第三紀漸新世には、神戸付近には大きな湖「古神戸湖」ができていて、凝灰岩、泥岩、砂岩、レキ岩などが堆積した。この地層を神戸層群と言い、丸山付近、塩屋から名谷、白川台、藍那鈴蘭台六甲山地丹生山地にはさまれた丘陵と、丹生山地を隔てて北側の淡河(おうご)、吉川(よかわ)、三田(さんだ)地方に広く分布している。もともとは神戸と三田の神戸層群はひとつながりの地層だったものが後から丹生山地が隆起して分断された(2,000〜3,000万年後?)。

神戸層群の中でも一番下の(古い)ものと考えられる塩屋、多井畑(たいのはた)でみられる地層には海でできたことを示す貝化石が見つかっていることから古神戸湖になる前には多井畑あたりまで海が進出していたのかも。

左上の写真は、森林植物園に野外展示されている神戸層群の化石木。神戸総合運動公園(関連リンク)の近くで発見された。

山田では、神戸層群は藍那鈴蘭台周辺以外に神戸北町付近(桂木、日の峰など)、筑紫が丘などに分布。

[丹生山系と六甲山系の隆起] 新生代第四期紀以降(180万年前〜)

白亜紀の説明で書いたように、丹生山地六甲山地の表層の流紋岩や花崗岩が形成された時点では、丹生山系も六甲山系も隆起の気配を見せてなかった。六甲山系が隆起を始めたのは新生代第四紀の100万年前頃からで本格的な上昇はほんの?50万年前位からと言われている(六甲変動と呼ぶらしい)。丹生山系の成立はそれ以前だが、古神戸湖底に堆積した神戸層群を分断していることから、神戸層群形成よりは大分新しいことがわかる。

日本列島全体で見ても山地・山脈が作られたのはほとんど新生代第四期紀以降(180万年前〜)で、その原因は約100万年前から東北日本〜西南日本全域にわたって強まった東西方向の圧縮力であると言われている。近畿でも六甲山地−淡路島、生駒山地、比良山地、伊吹山地などがほぼ南北に連なり、その間には京都盆地、奈良盆地、琵琶湖、大阪平野―大阪湾などの低地があるのは、この東西の圧縮力による。(丹生山系は?)

この東西の圧縮力により、六甲山の最高峰は100万年で932m(約1000m)上昇した。これは毎年1mmのペースに相当するが、阪神大震災のようなマグニチュード7〜8程度の地震を数100〜1,000年毎に繰り返し、その都度1〜2m程度ずつ上昇していった結果と言われている。

丹生山系が山地化したのは、六甲山地が隆起し始めるより早く、当時、現在の瀬戸内海から名古屋付近にかけての浅い湖であった古瀬戸内湖に丹生山系から河川が流れ込んでいた。その後、六甲山地の毎年1mmペースの上昇に対してこれらの河川が浸食を続けた結果が、天王川(有馬街道)や布引谷(生田川)などの深い谷地形(先行河川と言う)の形成であるという。

なお、同じ頃、海岸沿いでは、これら東西方向の圧縮力による地形変動に加えて氷期と間氷期の気温の変動による海面の上昇・下降によって海の侵入、海岸線の変化、段丘の形成などが進んだ(下記「山田の地層の成り立ち」参照)。新生代第四期紀は現在日本列島に見られる様々な地形を作りだした激動の時代であり、その変動は今も続いている。

山田の地層の成り立ち
地質年代 時期 山田周辺・神戸 日本列島
(地球誕生以前) 137億年前   宇宙創成(ビッグバン)






冥生代 46億年前   地球の誕生
海の誕生
始生代 38億年前  
原生代 25億年前   日本最古(20億年前)の岩石(片麻岩)
=岐阜のジュラ紀レキ岩層の原石
(以降、顕生代)


カンブリア紀 5.4億年前  
オルドビス紀 5.1億年前   日本最古の化石(コノドント、岐阜)
シルル紀 4.5億年前   中国などの東アジアは超大陸ゴンドワナ(南半球)の一部として赤道付近にあった。日本最古級の岩石(飛騨・北上山地・高知など)の生成場所もゴンドワナの一部?(4.2億年前)
デボン紀 4.2億年前  
石炭紀 3.7億年前   (超海洋パンサラサの赤道付近に最初の海山群誕生)
ペルム(二畳)紀 2.9億年前 丹波層群生成
海洋プレートの大陸プレートの下への沈み込み時に生成(上記地層の形成過程参照)

山田で紡錘虫の化石(三畳紀)
サンゴ・フズリナなどのリーフを乗せた海山が中朝地塊(中国北部〜朝鮮)に沈み込み日本最初の付加体「秋吉石灰岩」誕生(2.6億年前)


三畳紀 2.5億年前 (中朝地塊と揚子地塊(中国南部)が衝突合体し南アジア大陸を形成)
ジュラ紀 2.1億年前 南アジア大陸とシベリア大陸が衝突を完了しアジア大陸の原型が出来上がった。その東の縁辺で美濃・丹波・秩父帯など日本列島の付加体の多くが形成。飛騨外縁帯・南部北上帯などはゴンドワナから分裂して衝突・付加された(1.8億年前)
白亜紀 1.43億年前 有馬層群生成
神戸付近の巨大なカルデラから流れた溶岩がや降り積もった火山灰で、丹生山地などに流紋岩類からなる有馬層群生成(7,500万年〜7,000万年前、上記地層の形成過程参照)

六甲花崗岩貫入
約7千万年前に六甲山地の大部分をつくっている六甲花崗岩が地下から貫入し、地下数千メートルで冷えて固まった(7,500万年〜7,200万年前、上記地層の形成過程参照)

(2006年、北区の25Km北方、丹波市の白亜紀前期の泥岩層(篠山層群)から大型草食恐竜ティタノサウルスの化石が発見された)
日本列島は未だ中国・九州の一部を除いて大部分が大陸沿岸部の海中にあった。この浅海中で現在の中央構造線に沿って太平洋側が北へ大きく横ずれした。横ずれ運動以前は中央構造線より太平洋側の北海道〜九州中部は九州北部(ほぼ現在と同じ位置)より南にあった(1.3億年前)

アジアではインド以外の地塊の集合が完了。現在の太平洋岸を除く日本列島の多くの部分は大陸の東縁の陸地となり海洋プレートによる四万十帯の付加開始。中央構造線西側では活発な火山活動が始まり地下には花崗岩が貫入してきた(7,000万年前)





暁新世 6500万年前    
始新世 5500万年前   この頃、東北海道の付加体を持つオホーツク地塊がアジア大陸に衝突 
漸新世 3800万年前 古神戸湖
六甲山地北の三田盆地を中心に湖ができ、亜熱帯から温帯性の植物が繁茂したが湖はやがて消滅。その湖成層が神戸層群(3,500万年前、上記地層の形成過程参照))
 



中新世 2400万年前 第一瀬戸内海
現在の瀬戸内海から中国山地にかけての細長い海。神戸南部はこの海の一部 (1,500万年前)
2,500年前にアジア大陸の縁で(大陸と現日本列島の間に)地溝帯(南北の細長いへこみ)ができ、これが1,700年前に日本海となって拡大し1,500年前に拡大が完了。この間、西南日本は時計回りに45°東北日本は逆時計回りに25°回転
鮮新世 510万年前 古瀬戸内湖
現在の瀬戸内海から名古屋付近にかけて浅い湖。神戸の南部と垂水区から西区にかけての地域はこの湖の一部(300万年〜150万年前)

丹生山系は山地の形に六甲山系隆起始まる(丘陵)
丹生山地から古瀬戸内湖に流れる川で押部谷から西区の西部に扇状地形成

大阪湾の進入

上昇していた六甲−淡路の手前の長田区や中央区まで何回か海が進入(120万年前)

明石海峡を越えて海が進入
明石海峡付近にできた谷に沿って播磨平野に海が進入。六甲山地の上昇が本格化し現在の山地の姿を整えてきた(50万年〜20万年前)

最終氷期前後の海面変動
最終氷期前の間氷期の温暖化で海域は現海岸線にほぼ平行に1〜3km入ったところまでおよんだ(12万年前)
氷期の最も寒冷な時期は海面が100m下がり、播磨灘・大阪湾の大部分が陸地化。六甲山地から大阪湾に流れる河川で各所に扇状地形成(2万年前)
本州に丹沢海嶺(伊豆・小笠原弧の高まり)衝突。西南日本は概ね陸化し大陸とも地続き(500万年前)


更新世 180万年前 200万年前より日本海の海洋底が東進し日本列島は東西に圧縮された状態となり山脈が隆起。
1万8,000年前の氷河時代に海水面が120m低下し、日本は大陸と地続きに日本海は閉じた海になった。
現在の日本はまだ強圧縮状態にあり山地の隆起が継続中。
海岸の平野は縄文時代(6000年前)に一時期海水面が上がって堆積層ができた後、河川による堆積が広がっている。
完新世 1万年前 現在の海岸線へ
1万年前から気温は急速に上昇し海面は現在より4mほど高くなってほぼJRの線路のあたりまで海で覆った(6000年前)後、現在の海岸線まで後退
(参考)地質年代
地質年代 時期 トピックス 状況






冥王代 46億年前 地球の誕生
海の誕生(40〜38億年前)
40億年前 生物の誕生
始生代 38億年前
光合成生物の増殖により酸素が増加、温室効果ガスのCO2・メタンの減少で地球は冷却
27億年前 光合成生物の誕生
原生代 25億年前 最初の氷河時代
(24〜22億年前、全球凍結、平均気温マイナス50度)

CO2濃度が現在の数100倍になり、温室効果で氷が解け、その後平均気温摂氏50度まで上昇

氷河時代(8〜6億年前、全球凍結)
21億年前 真核生物の誕生
12億年前 多細胞生物の誕生
(以降、顕生代)


カンブリア紀 5.4億年前 三葉虫出現
魚類の誕生、植物・節足動物の上陸
三葉虫の時代・無脊椎動物の時代。
海洋では四射サンゴが栄え大きなサンゴ礁を造っていた。
このころの日本列島は、陸地であった事が少なく国内で見つかる化石の殆どが海の中の生物。
オルドビス紀 5.1億年前
シルル紀 4.5億年前 クサリサンゴ・三葉虫の化石
デボン紀 4.2億年前 鱗木の化石
石炭紀 3.7億年前 サンゴの化石
ペルム(二畳)紀 2.9億年前 紡錘虫の化石
フズリナ・三葉虫の絶滅
恐竜の誕生


三畳紀 2.5億年前 恐竜などのは虫類やアンモナイトが栄えた時代。
このころの日本列島はまだ出来上がっておらず、海洋プレートの沈み込み による付加帯として日本列島の原型が出来上がってきた。
ジュラ紀 2.1億年前 魚竜の化石
哺乳類・鳥類の誕生
白亜紀 1.43億年前 フタバスズキ竜・アンモナイトの化石アンモナイト・恐竜の絶滅





暁新世 6500万年前 恐竜の絶滅 恐竜・アンモナイトが絶滅し地球上の生態系ががらりと変わった時代。
動物では哺乳動物が栄え、植物では裸子植物に変わり被子植物が栄えた。
また地球の地殻変動が激しく、大きな造山運動が有った。
現在の日本列島の原型はこの時代になってやっと出来た。
始新世 5500万年前
漸新世 3800万年前



中新世 2400万年前
鮮新世 510万年前


更新世 180万年前 ナウマン象の化石
人類の出現
10万年前頃に現在の人類の先祖がアフリカで生まれ世界各地に広がる
完新世 1万年前  

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