ぬるりと口腔に忍び込む軟体は最早馴染みのものだ。
幾度も噛み切ってやろうと考えてはその度に膝を折らされ―――頬を撫でる手のひらの体温を感じながら青年は下らないと笑う。
どうしてだか面白くて仕方なかった。
落ちぶれてもなおプライドを捨てられない自分が、そんな男に固執する子供が。
そして憎悪を腹の底に秘めながらも愛の営みとやらを交わす自分たちが。
・・・全ては嘲笑の対象だ。
あの男が見たらなんと言うのだろうか。
そう思っては止め処なく湧き上がる笑いを殺すこともなく、青年は子供の首にそっと腕を回す。
その途端、子供の体温は勢いよく離れていった。
間近で見る翡翠の瞳は不愉快を貼り付け、忌々しそうに歪んでいる。
「犯されて楽しいの」
憮然とした子供には微笑を。
そして青年は片腕だけでも残っていたことに心からの感謝を捧げつつ、子供の体を抱き寄せて下肢を擦り付ける。
雄であることを忘れられない自分は疎ましいと同時にこの上なく愛しかった。
所詮こんなものだと鼻白んだのはどちらだったのか。