踏み台寄稿文>>太田志津香さんへのコメント

「”同期”から出演者へのコメント」



しいちゃんが電話をくれた  横田栄司(俳優 文学座)

 しいちゃんは異常に”おとなしい”。しいちゃんと共演した先輩が
「一ヶ月で三回喋った。」と言ったのを聞いたことがあるが事実だと思う。
 そのしいちゃんが電話をくれた。十年来の同期で二回目の電話だ。
一回目は僕から掛けた。
つまり、しいちゃんから掛かってきた初めての電話だった。
電話をくれた時、僕は由里ちゃん(北村由里=同期)に何かあったのかと
思うぐらいびっくりした。 この原稿の依頼だった。
 見た目は”ねむそう”だ。本人に尋ねたことがあるが、実際ねむいらしい。
 研究所の発表会で、テネシー・ウィリアムズの『バーサよりよろしく』という
短編をやった時、しいちゃんは売れなくなった売春婦バーサを金髪の
カーリーヘアーにスリップ姿で、けだるくいやらしく色っぽく、ねむそうに演じた。
マリリン・モンローと武田久美子を足して割らないその風情は、
見ていてドキドキした。牛久に住み、おとなしいハタチのしいちゃんの、
内臓の一番深いところに潜む、愛憎や執念、怨念、
強い意思と覚悟がにじみでていた。
 久しぶりに聞いた電話口のしいちゃんの声は、相変わらず寝不足の、
蚊の鳴く様な声だった。また電話してね、しいちゃん。十年以内に。



>> よさんから、太田志津香さんへのコメント。
横浜のホテルで「これから書きます」といっていたものでしょう。
よさんの文章、そこはかとない面白みが…非常にいい味っす♪

演技の表現はさすがですね。
しかし、
「しいちゃんが電話をくれた」って…天真爛漫だなぁ〜よさん(笑)

この文章は、りんどうさんから情報をいただきました!!
いつもありがとうございます!