人形遣い修行記
- 平成17年度 -

2005.7.10
7月10日、八王子車人形の西川古柳さんのところで第二回の練習を実施。
この日は足使いをメインに行う。
女形はほぼ見学。
膝立て、振り返りなど男人形とはその動きが異なる。

座り、立ち上がり、歩き・・・難しい。
見ている分には簡単に見えるが実際の遣いでは思ったようには動いてはくれない。
主遣いもやってみる。
手のひらで人形を支えなくてはならない。手のひらが真っ赤になった。たこができるくらい練習しないと公演は難しいだろう。。。
右差し、左指しをする。

2005.7.18
この日もひたすら足遣いの練習。
ねじ切り(方向変え)も習う。
女形を習う。
指差し、髪の直し、跳ね上げ、帯の直しなど女性らしいしぐさを人形で現す。難しい。。

2005.7.23 郷土史研究会の訪問を受けました。
ここで自己紹介。
突然の事でびっくり。。
かしらを前に宇吉さんの説明がありました。
実物のかしらをこんなに沢山見るのは初めてです。
練習用ではなく実際にこの人形を持たせてもらいました。
約20キロを片手、手のひらで支えます。人形を遣うには高さが必要で、その重さを支え続けることはかなりの苦労です。数分で腕がしびれました。

←右の女形は11月の演目“朝顔日記”に使われるものです。
現在新しいかしらを製作中。
この日午後から衣装を作ってくださる方々の訪問もありました。やはり実際に目にすると感嘆の声が上がるものです。
明治時代に作られた手作りの衣装は刺繍が取れたりと痛んでいますが当時の苦労が想像でき手の込んだものです。

2005.9.2 地元での練習開始。
夕飯もそこそこに人形保存会へ。
演目となっている“朝顔日記〜宿屋より大井川の段”の大阪文楽をビデオ鑑賞。
のち、20年程前の山中湖公演の時のビデオを見る。
文楽の方はこれでもかって位大きく動いている。
舞台後方からも分かるようにするにはこれくらいがちょうど良いんだろうな。。。
地元の公演は地味な動きだった。
んっ課題が出来た。(先輩を差し置いて通るかどうかは疑問・・・)
その後、配役の割り振り。
登場人物は秋月弓之助の娘、深雪。
深雪が恋する若侍の宮城阿曽次郎。
実は深雪の本当の父親で宿屋の主人の徳右衛門。
岩代。
女中のお鍋。
なんと、深雪(朝顔)役。(^_^)
でも、うまいとかじゃなくてただ時間が取れそうだからだとぉぉぉ・・・(-_-;)イイケドサ〜
三人遣いなので主使いは5代目がやるだろうから、左手か足遣いのどちらかだろうな。。。
琴を弾く場面もあるので左手も大変。
毎週金・日が正規の練習日。それ以外でも使えるからと、、、プレッシャーを与えられる。。。(>_<)間に合うか。。。

2005.9.4
今夜の練習はまずビデオ鑑賞。。 とにかく物語を覚えなくてはね。
人形を出して動かしてみる。。 ・・・7月の練習は半分忘れてる。。。(>_<)
あれ?あれ?あっれ〜??
人形自体も八王子のものとは少し違うのでやりずらい。 人形の扱いのビデオも見直した。
その後、人形で実際にビデオを見ながら動きを真似てみる。

4代目が顔を出した。 一緒に見る画面に涙してる。 病気をしたため体も言葉も思うようにならない。 もどかしさと寂しさがあるんだろうな〜

画像は深雪の手。 女人形は柔らかな動きが出来るよう指先まで曲がる。
本番ではちゃんとしたものを使うが今回はとりあえずの頭。
人形の髪は人毛・・・伸びたりしないんかな〜(^_^;)

2005.9.9
今夜もまずはビデオ鑑賞から。。
その後、朝顔は3人揃ってるので実際に人形を動かす。
左手遣いに決まった。主遣いは5代目。 ビデオを見ながら真似てみる。
手のひらに軸を当て、紐を指で引いて人形の指を動かすのだが、僅か30分で手のひらが真っ赤。
指に紐が食いここんだ(>_<)イタイッ はっ〜左手も大変。 公演までにはタコになるかな。。
目の見えない朝顔ゆえ、左手で探るように歩く。 どうも滑らかには動かない。。。

休憩後、大阪文楽のビデオを見る。 やっぱプロだよね。 動きに色気がある。
僅かな動きであっても表現がすごい。 主遣いの人は人形と一体化。 同じように動いてる。
琴を弾く場面では大きな見せ場。 拍手が起こる。 すごい。
プロにはなれないけど頑張るしかないよね。

2005.9.16
顔を出すと一番乗り。 5代目が1人で練習していた。
その後、もう1人・・・ 今夜はこれだけ。 同じ部落で不幸があったため僅か3人。。。
自分と5代目でビデオを見ながら動きを真似てみる。 大阪文楽を参考に動きのある遣いをする予定。
その後、いつものように昭和62年山中湖公演のビデオ鑑賞。 とにかく動きを覚えるしかない。
2度、見終わった後、更に古いおそらく20数年前の練習風景のビデオを見た。 現在、保存会に残っているおっちゃんたちももちろん若い。 50代かな。。4代目も、もちろん元気。 既に亡くなっている人もいる。 人形も今よりは衣装がきれい。
もしかしたら11月公演は3月にに変更になるかもしれないと言われた。 右左口(うばぐち)の方達と白楽座の3つの保存会合同公演の可能性があるそう。 会議室ではなく大ホールで・・・ 10月上旬の会議で決定する。
右左口人形は今日の新聞記事で、古い人形は県立博物館へ寄贈されたことを知った。公演は新しい人形で行う。
こちらも、もし来年まで延びれば新しい頭と衣装が間に合うかもしれない。
日曜の練習はお祭りがあるため中止。

200.9.23
今夜は13人も集まった。休日だけはある。 既に大月CATVのカメラがきていた。
因みに、この地域では一軒も入ってなかったりする・・・(^_^;)

ビデオを見ながら一通り5体の人形を動かした。 まだまだぎこちない。
初めてやる人もいるわけだから・・・
朝顔(深雪)の琴用の腕を初めて見た。
指がチョキになっていて動かせる。 練習用の琴もそれなりに・・・
その後、さんばそう(字が分からん)の人形を動かしてみた。掛け声が面白い。
公演前のお払いの意味もあるそうだ。 振り付けは簡単なもの。 これも覚えたい。
公演が3月18日に延期になった。 義太夫さんの都合と合同公演の白楽座が大ホールでやりたいと言い出したため。 ホールの空いていたのがその日だけ。 それまでにはもっともっとうまくなっているだろ。。(^_^;)タブン

2005.9.25
YBS(山梨放送)の取材は来週。。。 --->のちにUTYと判明(^_^;)
今夜もビデオを見ながら動かし方の練習。
4代目が顔を出した。 人形を一緒になって動かそうとするが腰が悪いため支えられない。 その時の表情は悔しそうにも、情けなさそうにも見えた。(>_<)
公演が延びたため、練習は週一回、日曜だけとなった。

2005.10.2
夕飯をかき込んで、人形遣いの練習へ。
既に、UTYがきていた。 アナウンサーの大西かやさんも同席。 やっぱきれいだわさっ。
いつもの練習では使わない大事な頭が出してあった。
画像は目の見えない朝顔。
一通りやって見せた。 前回より柔らかい手の使いが出来たかな〜 熱が入ってくると体も人形に合わせて動いちゃうもんだ。 収録は1時間半。インタビューも含める。

2005.10.9
練習前に10/6放送の"ウッティな木曜日"の録画を見る。当初1分程度と聞いていたが結構たくさん映してくれた。

今夜は大阪文楽の動きを真似てみる。公演はホールになったためこのくらいの動きにしたい。
一通りののち今度は自分のところの公演を見る。
やはり動きが少なく、小さいところならともかく大きなホールではわからないだろな〜
観客を引き込むくらい、うまく動かしてみたい。


2005.10.16
今夜はまず基本の型のビデオを見る。 その後公演ビデオを見ながら一通り行う。 手のひらの痛みはだんだん薄くなってきたのが分かる。

一息入れた後、三番叟を習った。 会社のイベント、公演前のお祓いに使う。
どっこいこーら、どっこいこーら
どっこいどっこいどっこいこーら
ぴゅ〜ぴゅ〜ぴゅ〜
など文楽の三番叟とはだいぶ違う。 文楽の方はタンタンタンとリズムがあってカッコいいんだけどな〜こちらのは笑いを取るの?(^_^;) まっ昔の宿場の娯楽だからやっこいんだろうね〜。。。

2005.10.30
顔出したのは8人だけ・・・(ーー;) まずは三番叟開始。
おーさいや、おーさいやの掛け声。 どんな意味なん?

その後補助金申請の事などの話し合い。 朝顔を一通り遣って終了。既に10時半近い。。。

2005.11.6
中学生が先生と説明を受けに来ていてびっくり。 授業の一環なんだろうか・・・ 女の子3人。
いずれも地元の子だけに見たことある。 三番叟を遣って見せ、人形を触らせる。 手が小さい分うまく支えられていない。
こう遣るといいな〜んておっちゃんは知ったかぶりをする(^_^;)
練習は長く遣っているんですか?
の質問に言葉が詰まるが3か月足らず・・・・と答える(^_^;)
30分程度の説明で終了。 その後、いつものようにビデオを見ながらの練習。

途中、腰が痛すぎて机で支えていないと辛くなってきた。 一通り終わったところでお茶を断ってすぐ帰宅。 ちと気持ち悪くなっていた。


2005.11.26
短大の地域ゼミの一環として"大月学を後世に伝える会"第1回の講座が開かれた。
その中で人形の三番叟を披露。

仕事を抜け出しての参加(^_^;)
途中呼び出しでセンターと会社を往復、、、疲れた。。。(>_<)

2006.2.6
午後、人形遣いの自主練習。 いよいよ来月は公演です。 自信、、、、ありません。。。
主(おも)遣いではなく、左手遣いが自分の役なんですが動きが激しすぎてなかなか操り切りません。。。
画像は“朝顔”と“次郎左衛門”の新旧の頭(かしら)です。
夜は皆と一通りの練習です。
こちらも中々全員が揃うことが出来ず大変です。


2006.2.16
取れちゃった(><)
そらく追分人形の過去の歴史にないくらい激しく動かすので腕が外れてしまった…
一昨日の夜は夢にまで見てしまいました。 語りが分からなくなって動きが止まったところで目が開いたんです。 その後は中々寝付けず、語りが頭の中でリフレイン(--;) 昨日は少し寝不足でした。。

夕べは大阪文楽と地元のものを交互に見て、動き、語り、三味線のテンポの違いを比べる。 チャカチャンチャン…とテンポのいい大阪に比べ地元の三味線はなんかな〜語りの早さも違い合わせるのが難しい。(>_<) 30分も続けてやると柄が当たる手のひらは真っ赤です。。。

2006.2.20
真木の小俣さんから足が届く。
かなり軽く出来ていた。

2006.2.26
NHK・山梨日日新聞の取材を受ける。
放送は3/2と3/6。新聞掲載は3/4。
取材は3時から始まったそう。
自分は消防団の旅行があったためいつもの時間に保存会へ。
一通り動かし、単独インタビューも受けた。
相変わらずビデオを見ながらなら動かせるものの見ないと分からなくなってしまう。まずいっっっ(>_<)

2006.3.3
今夜は徳右衛門も本番用の頭に替えた。
大阪文楽から追分のビデオに替えると語りが違うためどこをやっているのか分からなくなってしまう・・・

2006.3.5
6日の打ち合わせも兼ねNHKのディレクターが訪れる。
動きは細かいとこは飛ぶものの形にはなっているような・・・

2006.3.6
2時過ぎ、甲府へ向かう。
NHK、始めて見た。
随分と奥まったところにあるのね・・・

アナウンサーとの打ち合わせの後、30分待って4時からリハ。
一通り行う。
アナウンサー、いつもはテレビの画面の中の人。
目の前で生で動いてるのが変な感じ。
そしてまた30分待ち。
5時、スタジオ入り。

5時10分、番組スタート。
黒子の衣装だが頭巾はかっこ悪いので被らなくてもいい事に(^^ゞ
緊張、、、、やっぱり動きを飛ばした。
5代目も動きがおかしいぞ〜(^_^;)
紹介のタイミングが早くて焦る。。。
顔が火照った(^_^;)

出番は僅か2分足らず。。。
後は5代目とアナウンサーとの対談。
先日の取材で練習風景とインタビューでいっぱい映った、、恥ずかしい(>_<)ヘンナオカ、ヘンナシャべリ。。

2006.3.17
昼過ぎ会場の市民会館へ。
背景の幕張他、遣い以外の作業が大変…
7時過ぎてやっと舞台上で練習開始。
二度、通しで遣るもののやっぱり動きが抜けたf^_^;
わからないわからないの言葉でちと気持ち的には楽になったかな。。。(^_^;)

2006.3.18 いよいよ本番
10時、市民会館へ。 開場準備。 今回の公演、ほとんどは自分達で舞台を造った。
記録をお願いしたデジ研のメンバーも到着。 自分の事だけで手一杯なのにそちらの接待も、、、、更に余裕なんて全くない状態で今にもはちきれそうだった。

子供歌舞伎のリハの後、11時から太夫さんと合わせ。 生は違う。 言葉ははっきり聞き取れるけどテンポが早い。(>_<)

2時、幕が開く。。
まずは、子供の三番叟から。 三味線と太鼓のリズムがいい感じ。 幕が下りセット換え。

幕が開く。 花道から登場、白波五人男。
子供達もちゃんとお化粧してかつら被ってなかなかの出で立ち。 緊張のせいかリハの時より口上の声が小さめ。

幕下りる。

セットをかたつけいよいよ出番。 三番叟から。 これ、ほとんど練習していない。
前日の打ち合わせと午前中のリハで動きを確認。 気持ち悪くなるくらいに緊張。試合より緊張する。 なんとか間違えずに終えた。
ここの三番叟はかなり変わっているらしい。
遣ってる方は意識していないのだけど貴重とのこと。

幕が下り、セット造り。 緊張しながらも作業を手分けして造り終える。

口上が終わり幕は上がった。
がっ、、、、、緊張のため出るのが早くなってしまった。(>_<)
語りがそこへ到達しない前に、よろけと座りをしてしまう。 後はじっと座って語りを待つ(>_<)

ここからが見せ場。 琴を弾き終えるまでは何とか完了。 この後が一番練習して、結局できるようにならなかったところ。。。
左手使いの見せ場。 太夫が変わるとやっぱり間の取り方、語りのテンポが違い、動きが足りなくなってしまった。
んで、いつもより一回余分に動かしといた(^_^;) 主遣いも間違えたので右と左、動きがバラけた。
それでも何とか“宿屋の段”前半をやり遂げる。

スポットライトを浴びて汗だく。。
全部終わっちゃないのに達成感でこみ上げるもの(ゲロジャナイカラ)をライトを見上げて止めた。
けれど浸ってはいられない。 舞台裏を通って、反対側へ。出立の合図の鐘、、、、、間違えた(>_<)ヒエ〜
そして、大勢引き連れ部分のその他御付きの人形を持ってまた舞台へ。 袖に引っ込むと持ってた人形をあずけ、また舞台へ。

今度は徳右衛門とのからみでの見せ場。 着物がほどけ、髪を振り乱しまでを左手がサポート。
帯をはずし、かんざしを抜いて髪を落とす。 その一連の作業を左手を動かしつつ更に激しくからみあう間に行う。
無事舞台袖に引っ込む。 帯を左手でたくし上げきることには失敗。(-_-)
幕が下りる。

あっやばっ。
また、じぃぃぃ〜んとなった(;_;) 足遣い、舞台が大きい分中腰での移動はかなりの重労働。
足元にへばっていた(>_<)ダヨネ〜

大井川へ舞台換え。
朝顔の一人舞台。長丁場。

幕が上がる。
こけつまろびつでばっちり登場。 途中焦りながらも頑張った。 主遣い、、、、動き飛ばした。。。(^_^;)
んで、同じ事二度遣ることに。。。皆緊張するよねっ。
最後のクライマックス。 大井川の道標にしがみつくところで決めポーズ。
やっばっまた(;_;)
幕が下りた。

またまた浸る間もなく、子供歌舞伎用にセット換え。 そして最後のオーラス。ここでは顔出し。(^_^;)b
深深く頭を下げる。 何度も幕が下りたり上がったり。。。(^_^;)オイオイ

子供達が記念写真を撮ってる横でせっせとかたつけ。

会場は一杯にならなかったけど感動してもらえたし、左手遣いとしてお褒めの言葉もたくさん頂いた。
7月から始まった練習。
結局完璧には出来なかったけれど、それはそれでここの一座のやり方として記録に残った。
次の演目は安達ヶ原(字あってるかな・・・)。 遠く、大分の別府大学の教授が見にきていた。
相模原の同じ人形芝居の方たちも。 近所の人もちらほら。
小学校、中学校へ見せに行っているのにそこの子供達は?って感じに子供の観覧は少なかった。
がっかり。。。