〜久しぶりにインド「子どもの憩いの村」を訪ねて〜

 2018.3.284.7 ブルタイス 彩也香(東京都府中市在住)

今回で5回目になる「憩いの村」の訪問でしたが、これまでの旅になかった感覚が心に残っています。それは、「まるで実家に帰ってきた時のような」感覚です。初めてここを訪れたのは私が中学校3年生の時で、それから約11年の年月が経ち、その間にも何度か「憩いの村」には訪れていました。でもこの旅で気づいたことは、長く関わっていなければおそらく知ることのなかった憩いの村の「家族」、すなわち「ホーム」であるという姿です。私が毎回訪れる度に、学校・グラウンド・宿舎など、子どもたちのためにより良い設備が整い、前進・変化し続けている「憩いの村」です。しかし、私が関わり続けた11年の年月で、一切変わらないことが一つあります。それは、「みんながいつでも帰って来られるホームである」ということです。11年前のことですが、私は今でもはっきりと、ローズさんが話されたこの言葉を覚えています。「私たちは家族なのです。そして『憩いの村』は、だれでも帰ってきたいときに来て、休みたいときに休める宿り木のような場所となることを望んでいます。」

 私は今回の滞在中、夏休みで宿舎に戻っている大学生と木陰でおしゃべりし、年の近い女の子たちと一緒に寝泊まりして夜遅くまで語らい、食事を共に作って食べ、ローズさんのお孫さんをあやし、ニューホープのスタッフの家族を紹介してもらって近況を話し合う…ということにも時間をかけることができました。(もちろん、現地の様子を視察する任務も忘れずにしていましたが。)でもよく考えてみると、私が今回「憩いの村」で経験したこのようなことは、自分の実家や家族において普通にすることでもあります。11年の年月を経た今、私は「憩いの村」が本当にその目指す所の「ホーム」を全うしていることを実感することができたのだ、と思いました。

 そしてこれは私個人だけでなく、子どもたちも感じていることです。女の子たちと寝泊まりした時、とある話の中で他の孤児院に住んでいたことのある子がこのように話しました。「この『憩いの村』は特別だよ。ほかの孤児院はね、チルドレンズ・ジェイル(子どもたちの監獄)みたいなの。厳しいばっかりで、怒られてぶたれたりすることもある。でもね、ここはチルドレンズ・ホーム。本当の家族だよ。ローズさんも、ルースさんも、スタッフのみなさんも、本当に優しくて、一度だって私たちのことをぶったりしない。もちろん、叱られることはあるけどね。でもそれは私たちを愛してくれてるからだって、わかるもん。だからここは私たちの本当のホームなんだって思う。」

 片桐さんご夫妻、ローズさんご夫妻の、想像を絶する苦労の上にあるホーム。このホームで、子どもたちが今日もまた安心して目覚め、笑い、学び、眠ることができるのです。これからも私は、この子どもたち、いえ、私の家族の成長を一緒に喜び、支え合い続けたい、と心から思っています。

(筆者は、20063月、中学3年生の時、新潟県国際交流協会主催の中・高生インドスタディツアーに参加。新潟国際情報高校、国際基督教大学を卒業。現在、東京のインターナショナルスクールの教師)