松浦の民話
◎鬼の岩屋◎
石盛山に岩屋を作って住みつきたい壱岐の鬼が、麓の彦四郎に何度となく頼み
に来ます。困り果てた彦四郎は「明日の朝、一番鳥が鳴くまでに岩屋ば作りあげき
るなら」と答えてしまいました。
許しをもらった鬼は、仲間と一緒に落合の滝の岩をかつぎ出し、みるみるうちに
岩を積み上げていきます。このままでは夜のうちに出来あがってしまいます。また
また困り果てた彦四郎は、はたと手を打ち、鳥小屋に入って一羽の雄鶏をつかま
えると、ふところで温めました。
朝と勘違いした雄鶏は一声高く「コケコッコー」と鳴きました。
これを聞いた鬼たちは「約束ば守りきれん」と一目散に壱岐へと逃げ出しました。
今福沖の飛島近くにある二つの小島は、あわてた鬼がその時捨てた岩で、石盛山
頂上には作りかけの大きな「鬼の岩屋」があります。⇒ 二島
石盛山と鷹島には大またぎで逃げた鬼の「ふんぱげ」と呼ばれる足跡も残っていま
す。
鬼をうまくだました彦四郎の墓は、落合の滝の近くにあるそうです。
⇒ 落合の滝・石盛山