自己破産 借金の返済が不可能である場合、免責を得ることによって 借金を帳消しにしてもらう手続きです。破産手続きは、本来 裁判所が選任した破産管財人に破産者の資産を管理し、債 権者に破産者の資産の分配を命じるものですが、破産者の 財産が少なく破産管財人の費用もままならない場合は、破 産宣告と同時に破産廃止の決定がなされます。いわゆるド ウハイと言われているものです。個人の破産の場合は、多く がこのドウハイに該当します。 借金を帳消しにしてもらうためには、破産宣告を受けた後、 免責(法的な責任を免れる)申立てをします。(裁判所によっ ては、破産申立てと同時に免責申立てをします)破産宣告 だけでは、公的に支払不能であることを認められただけで 借金が帳消しになるわけではないのです。 要件 @免責不許可事由(*1)がないこと A支払不能の状態(*2)であること 特徴 @「官報」に掲載されます。(「官報」を見る人はほとんどいま せん) A不動産や一定の価値以上の自動車、有価証券等の財産 を失います。 B戸籍や住民票に記載されることはありません。 C選挙権を失うことはありません。 D一定期間、ローンやクレジットカードの利用ができなく なります。 E信用情報センターの事故情報〈ブラックリスト)に載り ます。 F仕事を辞める必要はありません。(*3) 注意点 ・保証人が付いている債務がある場合は、債務者が破産 することによって、保証人に支払請求がいくことになる ので、事前に事情を保証人に説明しておく方がよいで しょう。 ・自己破産申立てから免責の決定までは、裁判所にも よりますが、4ヶ月から6ヶ月位はかかるとみておきま しょう。 ・申立人(破産者)の財産を全て財産目録に記載する ことになりますが、名義を変更して申立人が所有して いないことにして申立てをしますと、免責不許可事由 となり、借金が帳消しにならないばかりか、詐欺とし て刑事告訴される可能性があります。 自己破産手続きの流れ 破産・免責の申立て ↓(約1ヶ月後) 破産者審問(裁判官から債権額、支払不能 になった状況、免責不許可事 由の有無などの質問を受け ます) ↓ 破産者とする決定 破産廃止決定(同時廃止決定) ↓ 免責の審尋(裁判官から免責不許可事由 について質問を受けます) ↓ 免責決定 ↓(官報掲載後、2週間経過) 免責確定 自己破産手続きでご来所の際、用意していただく書類等 @戸籍謄本(発行後3ヶ月以内) A申立人〈破産者)の印鑑 B世帯全員の記載がある住民票の写し(発行後3ヶ月以内) その他の必要書類は、申立人によって異なります。 |
*1 免責不許可事由 @浪費やギャンブルなどで著しく財産を減少 させたり、過大な債務を負担したとき A破産財団に属する財産を隠したり、壊した り、債権者に不利益に処分したとき B破産財団の負担を虚偽に多くしたとき C破産の原因があるのに、特定の債権者に 特別の利益を与える目的で担保を提供し たり、弁済期前に債務を弁済したとき Dすでに、返済不能の状態なのに、そうでな いように偽り、債権者を信用させてさらに金 銭を借り入れたり、クレジットを利用して商 品を購入したとき E虚偽の債権者名簿を裁判所に提出したとき F免責の申立ての前10年以内に免責を受け ていたとき G破産法の定める破産者の義務に違反したと き *2 申立人の収入から最低限の生活費を引いた 額で、借金を3年以内に支払えない場合は 支払不能の状態といえます。 *3 破産によって資格を失う職業(司法書士・弁護 士・税理士・公認会計士・保険外交員・警備員 等)に携わっている人は辞めることになりますが、免責によって復権し、仕事を再開できます。 |