弁済供託

弁済供託とは、本来弁済を受け取る人が何らかの理由で
受け取らない場合に、供託所にその金銭を供託して、弁済
した事実を明らかにしておくためになされる手続きです。

要件(次のいずれかに該当すればよい)
@債権者が受け取りを拒んだ場合(受領拒否)
A債権者が受け取らないことが明白である場合(不受領意
 思明確))
B正確な債権者が分からず、誰に弁済したらよいのか不明
 の場合(債権者不確知)
C債権者が受領できない状態のため弁済ができない場合
 (受領不能)

代表的な例として、家賃(地代)等の弁済供託を挙げます
と、供託所に提出する家賃相当額についてですが、従来
の家賃と同額かそれ以上であることが必要となります。
家賃相当額を供託しながら賃貸人との家賃交渉を行い、
結果として従来の家賃より高い金額で決着した場合、差額
および遅延損害金を合計した額を賃貸人に支払わなければ
なりません。
逆に、従来の家賃よりも高額ではあるが、賃貸人の主張する額には満たない金額を供託していた場合に、従来の家賃でよいとの決着がついた場合には、払い過ぎた金額については、当然取り戻すことができます。
 留意していただきたいことは、家賃を供託する前に原則として賃貸人には弁済の提供をしなければならないということです。現実に賃貸人の家まで家賃を持っていって断られた後でなければ、供託はできないのです。(*1)


注意点
賃貸借契約中に賃料を増額しない旨の特約がなく、長期に
渡り家賃値上げの更新がない場合において、前回に決めた
家賃が、周囲の相場価格に比べて不当に安い場合は、大
家からの一方的な通知による家賃値上げも正当と解されて
いるので注意が必要です。

供託する場所

供託所は、一般的には国の機関である法務局・地方法務局・支局・法務大臣の指定する出張所がこれに当てられています。「弁済供託」を行う場合、債務履行地に所在する供託所で手続きを行います。



供託手続きに必要な書類
@供託書
A供託通知書
B印鑑
C資格証明書
D供託金
E封筒
F郵便切手
G賃貸借契約書
などです。
その他、必要書類については、問い合わせの上、ご来所
下さい。









*1
賃貸人があらかじめ値上げ後の家賃でなければ受け取らないと明言している場合や、支払いの形態が、賃貸人が集金に来ることになっている場合には、口頭の提供で足ります。
また、賃貸人が明け渡し請求訴訟を提起している場合には、口頭の提供さえ不要となりますので、直接供託しても差し支えありません。