Q 登記簿謄本を見たところ、明治時代に設定された抵当権が残っています。たしか、このような抵当 権を抹消するには特別な手続きがあって、供託を経てからでないと、抹消できないと聞きましたが その時の供託とはどのようなものでしょうか。 |
A 抵当権者が行方不明で、債権の弁済期からすでに20年以上経過している場合(これを休眠担 保権といいます)には、債権額・利息・損害金を供託することによって、不動産の所有者が単独で 抵当権の抹消登記をすることができます。明治時代から残っている抵当権が担保されている債 権は、今となってはその債権者は存命しているとも思えませんし、その方の相続人も探しようが ありません。そうすると、その不動産の所有者は、債務を弁済して抵当権を抹消してもらいたくて も、肝心な弁済ができないまま抵当権を抹消できないという不利益を抱え続けることになるので す。そこで、「弁済したいが、債権者が行方不明で受け取ることができない」(債権者不確知)と いう弁済供託をすることで、不動産の所有者が単独で抹消登記をすることができます。供託方法 は債権額・利息・遅延損害金の合計額を算出して、それを一度に供託します。「明治時代の○○ 円は、現在の貨幣価値に換算すると大変な額になる」などという懸念は無用です。額面のまま計 算して供託すればよいのです。 |