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  ★「ねむの木」を作った動機とその背景 2 ★

「ねむの木」代表 小島 敏郎 

2002年(平成15年)4月 5日


  北海道と子守唄、その特殊事情について

北海道は、ご承知のように、開拓は明治からであり歴史は浅い。
しかし道内を分析すれば、函館、江差などの道南地区には、豊臣秀吉の時代から勢力を広げ、 徳川家康の時代に姓を蠣崎から松前に変えた、松前慶広が、松前藩を確立している。
北海道の文化がこの道南地区から始まったのは当然のことである。
その名が示すように、江差追分という素晴らしい民謡が道南地域に育ち、今は全国的に広められ、 人々に愛唱されている。
ところで、子守唄についてはどうなのか?
北海道教育委員会が、民謡緊急調査報告書と銘打って、「北海道の民謡」という本を、 平成元年3月に発行している。230頁に及ぶものである。
この民謡の緊急調査は、文化庁の保助を受けて、北海道教育委員会が、昭和62年度と、 63年度の2ヵ年にわたり、実施したものであるが、調査にあたっては、北海道を14管内にに分け、 管内ごとに設けられた調査員が、伝承の状況や、演唱者などを調査し、また歌声を録音するなど、 まことに大がかりなものである。
その調査にもとづく結論として、子守唄については、次のように述べている。
「北海道の子守唄は、さすがに古い土地柄である道南の函館、江差、厚沢部地方に多く見ることが出来る」として、 その主なものとして
函館市【子守唄】【湯の川の子守唄】
江差町【鰊待ち子守唄】【津花の子守唄】【すずめの子守唄】 【からすの子守唄】【茂尻の子守唄】【次郎坊、太郎坊】 【鴨コ、鴨コ】
厚沢部町【館村の子守唄】
そのほか、道北には
、 富良野市の【子守唄】、東川町の【明治のオール子守唄】等があるとして、曲名と歌詞が報告されているが、 曲譜は全く掲載されていない。また、音源も不明であるが、調査は全道を対象に、組織的に行い、 埋もれていたものを発掘したことは評価されるべきである。
しかし、調査報告書で発表したのみで、一般には余り知られていない。


私達の「ねむの木」の会則に、北海道内の子守唄の収集、保存、伝承をあげているが、 上記のように、北海道には未開拓の分野が多いのである。
埋もれている子守唄を掘り起こし、広く道民に知らせるよう、会員の皆さんから、情報の提供を期待するものである。
 
ところで現在、十勝地方または帯広地方の子守唄として、一部に報道されている「赤い山、青い山」については、前記のとおり、 北海道教育委員会で、大々的に調査したのにかかわらず、全く対象にされていないのは、不思議とも言えるが、 このことに関しては、北海道人にとって特に興味深い、大きな問題を抱えているので、別稿に譲ることにしたい。


童謡と唱歌の問題について
会報第1号で紹介した「世界に響け日本の童謡」にあるように、一外国人が、 「日本の童謡は美しい。世界に誇れる歌だと思う。
それに気付いていないのは日本人自身ではないだろうか」と書いている。
また、「童謡、唱歌、校門を出ず」と言われるように、世界に誇る素晴らしい歌が、 学校内で歌われるだけであることに、識者は嘆いている。
しかし、最近は、歌手の由紀さおり氏が、童謡を「世代をつなぐ歌」と言い、姉さんと共に、 C・Dを出すなど、童謡や子守唄を歌い広めることに熱心である。地域においても、歌うグループ作りが、 各所に見られるようになっている。
なお、会報第1号によって紹介しているが、沼津市で行われた第13回子守唄サミットでは、 子守唄に合わせて童謡を歌うこととし、この催しを、全国子守唄と童謡フェスティバルとして開催している。


読売新聞社が、平成11年8月「唱歌・童謡ものがたり」という本を発行している。
これは平成8年6月から新聞の日曜版に連載した「うた物語一唱歌・童謡」の記事をまとめて発行したものであるが、 この連載記事は、2年10ヶ月続き、平成11年3月末に終わっている。
読者のまとめて読みたいとの要望が多いので発行したものであるが、なお、連載の再回を望む者がある、とのことである。(註、同書のまえがきによる)


そのような読者の声に答えたのか、平成12年5月から、同じ日曜版に「うた物語、名曲を訪ねて」と題し、連載を続け、平成14年11月に、この特集記事は終わっている。  また、前号から取り上げている産経新聞「教科書から消えた唱歌。童謡」の記事は、平成13年の12月中に、24回にわたって連載し、 心のふるさととして愛され、国民共通の文化財である唱歌・童謡が、教科書に掲載されているのは、 ほんの一部にすぎないとして、文化の喪失を憂える問題意識から、戦後の軌跡を追ったものである。
 このように、大新聞が、唱歌・童謡の文化的価値を高く評価し、その伝承、普及に力を尽くしている事は喜ばしいことである。
この貴重な企画の思典を、読者だけでなく、一人でも多くの国民に知らせ、なおかつ、歌として歌われ、 世界に誇る「文化財産」として、より強く生かすことが必要と思われる。このような観点から、 可能な限り遂次本誌で紹介し、普及の一助になればと念願するものである。


「ねむの木」の歌う会は、第2日曜日であるが、第3日曜日は、 「道民家庭の日」となっている。一家団らんの中に、子守唄や童謡・唱歌の歌声が、明るく響く家庭こそ理想的と言える。
 私達、「ねむの木」のグループが、家庭や、地域に、歌声が燃えあがるための「小さな炎」となれば幸いである。






  
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