「ケーキ」


「アフロに教わってケーキを焼いてみた♪」
「ほぅ! なかなかうまくできているではないか。」
「ああ、このくらいは軽いさ!まあ、食べてみてくれ。」
「ふむ………ドライフルーツがふんだんに入っていて…しっとりとした生地が……ミロ……なんだか気分が…」
「え…?あっ、カミュ!」

「気が付いた?」
「………あ……ミロ…」
「心配したぜ、急に倒れるんだから…」
「すまぬ……いったいなにが?」
「う〜ん、まさかと思うがドライフルーツに染み込ませておいたラム酒のせいとか??」
「ラム酒?きっとそれのせいだ。」
「でも100グラムのフルーツに対しておおさじ一杯だぜ?」
「ラム酒は船乗りの飲む酒だからきついのではないだろうか?」
「そんなもんかな?子供でも食べそうなケーキだがな?」
「それはそうだが、まだ酒が残っている気がする…」
「えっ?そうなのか?それはいけないな………どれ、残量を俺が調べてやるよ♪」
ミロの手に引き寄せられたカミュが息を飲む。
「あっ、ミロ、なにを……!」
「だからアルコールがおまえの身体のどこに残っているか調べるんだよ、ほんのお詫びのしるしだ♪」
詫びと言いながら明らかにミロの目は笑っており、もはや確信犯だとしか思えぬではないか。
「そんな……そんなこと………ミロ……や…やめて……」
胸元に差し入れられた指は苦もなく秘められた蕾をさぐりあて、その一方で熱い唇は色濃く染まった耳朶を口中に含みやわらかくまろばせている。
「ここかな………それとも……♪」
緩急を心得たミロの指にまさぐられてゆく肌はたちまち朱に染まり、思わぬ仕打ちに身悶える身体にほんのりと残っていた酔いが抑えられていた想いに火をつける。
それでもなお、おのれの乱れ染めるのを恐れるカミュは身をそらし、丹念な愛撫を与えてくれるミロの指から逃れようとせずにはいられない。
「だめだよ、カミュ……もっとこっちへ……俺に……されたくないの?」
「……あの…ミロ………」
続く言葉が言えなくてカミュは唇を噛む。 胸のうちに湧き上がる想いを伝えるすべを持たぬ身がなんとも恨めしいのだ。
その間にもミロの唇がくびすじから胸に伝いおり、その熱さが身体の奥底に潜んでいる狂おしい想いを引き出そうとしているのだった。
「ああ、ミロ!…………いや……やめて……」

   違う………言いたいのはそんなことではないのに……!
   私は………ミロ………………私は…

「ほんとに?………そしたらこれは?」
紅く染まった耳朶を軽く噛まれた上に、ふっと息を吹き込まれたカミュが小さな悲鳴を上げた。
逃れようもなく身をよじることしかできぬカミュのささやかなあらがいにはかまわずふっくらとしたそれを楽しむように口中で転がしていたミロの手がいつのまにか伸ばされて、 やわらかく触れられたカミュがびくりと身を震わせる。
冷徹にスカーレットニードルを撃つその同じ指が、かくも繊細な甘やかな動きをしようとはとても信じられぬことだった。
「あっ……そんなっ………ミロ、ミロ………だめだから……」
「ほんとにだめかな? とてもそうとは見えないが♪」
カミュの反応を確かめながらミロはさらに手を進めるのだ。やがて、恥じらい震えていたカミュが甘い溜息をついて身体を押し付けてくるのは目に見えている。
「もっと…て言って……カミュ……お前が歓ぶならなんでもしてやろう……ほら、こんなことも…」
「……あっ、い……いやっ、そんなこと…いや………いやだから………」
訴える声はすぐにか細く弱くなり、甘くせつなく震えを帯びる。
「ほんとに嫌ならやめてもいいんだぜ………」

   ………え…………そんな…そんなこと……

甘い愛撫を施していた手が引かれた瞬間、白い手が伸ばされてそっと引き止める。
「あの……ミロ…………やめないで……もっと……」
それはそれはひそやかな声が漏らされ、ミロの満足感をくすぐるのだ。
「お前が望むなら何度でも………どんなことでもしてやろう……」
笑みを含んだ瞳で見つめられ、恥じらいのあまり顔をそむけたカミュが目を閉じた。
「それなら………頼むから、ミロ……」
熱い想いが闇を震わせていった。




     
たしか携帯に書いたのです、これを。
     私の携帯にはいろいろなものが入っていて、官憲の調べが入ったりしたらた〜いへん!
     絶対に見られちゃいけないわ!!