「 どう? もう、満足した?」
                            「 ………そんなことを聞くな……」
                            「 ふふふ………すまん、つい……」
                            もう一度口付けしてから、ミロは真面目な顔になった。
                            「 それで、どうなってるんだ? 昭王とお前は?」
                            
                            澄んだ青い目がまぶしくて、カミュが目をそらせた。
                            「 そんな………そんなことは私にはとても云えぬ………」
                            「 でも、俺たちのことだぜ? お前、知りたくない? 
                             どこまで許しあって、どこまで愛し合ったんだろう?」
                            その言葉を投げかけながら、ミロの手がカミュの髪の一房を取り、白い喉から胸へと
                            くすぐるように撫で下ろしてゆく。
                            「 あ…………ミロ………」
                            「 ふふふ………ほんとにお前の髪はきれいで……きっと今も昔も変わらなくて……」
                            ミロの手が艶やかな髪を掬い上げては、指の間からさらさらと落としてゆくと、
                            白い肩を胸を、それは緩やかなラインを描きながら包んでゆくのだ。
                            「 きっと昭王もこうして愛でたに違いない……
                             他ならぬ俺がそう言うんだから、間違いはない。」
                            「 ミロ………ああ………ミロ……」

                            かがみ込んだミロが、耳元に息を吹きかけながらささやきかける。
                            「 昭王は初めて触れるお前に夢中になって、時の経つのも忘れたに違いあるまい………
                             こんなにすべらかで愛しいものだとは予想もしなかっただろう……
                             たった一晩だけ、お前は昭王のものになり、そしてその想いは永遠に続いてゆく。
                             その道の中ほどに俺たちはいる。
                             カミュ………お前は昭王をどのくらい愛したのだろう?
                             俺に対するのと同じように、熱い吐息を与えたのか?
                             しなやかな腕で抱いてやったのか?」

                            与えられる言葉一つ一つに頬を紅潮させ、首を振り、かすかにあえぐカミュの姿が
                            ミロを楽しませ、徐々に熱を帯びてゆく馴染んだ身体が心を絡めとってゆく。
                            「 ミロ………私のミロ………もっと…もっと……」
                            「 もっと………なに?」
                            返事のかわりに、白い腕が伸ばされる。

                               昭王のように私を抱いて…………
                               銀と翡翠の代わりに、黄金の髪で私に触れて…………
                            
                            「 次の満月の夜にお前を抱こう………
                             花の香りで包んでやろう………
                             風の音を聞き 星を眺め ともに生きて
ゆこう……
                             愛している………俺のカミュ…………」

                            遥かなときを隔て、一途な愛がカミュを包んでいった。