ミロカミュ 愛の十二進法
アルデバランとの会話
「久しぶりだな、ミロ!」
「やあ、アルデバラン!」
「お前、日本で乗馬の訓練をしたというではないか、どうだった?」
「ああ、なかなか面白かったな、なんとか乗れるようになったぜ。」
「実は来週から俺とアイオリアも日本の牧場で乗馬の訓練をすることになってな。」
「なに?! お前たちもか?」
「ああ、驚いたがアテナのご命令は絶対だ。謹んでいかせてもらう。」
「………で、お前たち、どこに泊まるのだ?」
「牧場の部屋が用意されていると言うから、もちろんそこに泊まる。金牛宮もそうだが、職住接近が理想的だからな。」
「うむ、それがいい!」
隠れ宿のことは内緒にしておこう。どうころんでも、アルデバランとアイオリアが一緒に風呂に入ることはあり得ない。
とすれば、牧場の部屋と風呂で十分だろう。
俺とカミュが一緒に露天風呂に入ったなんてことをわざわざ知られる必要はないからな、と強く思ったミロだった。
ムウとの会話
「やあ、ムウ!」
「おや、ミロ、これはいいところで。」
「どうせ、お前も温泉の話なんだろう?」
「え?それはなんのことでしょう?貴鬼のことでちょっと困ったことが。私には姉などいないのに、貴鬼が、私の甥ではないかと疑っているようなのです。」
「ふうん、そういえばこの間は俺のところに来て、カミュ様の御世話でなにか必要なことがあったら言ってくださいって言ったぜ。」
「え?貴鬼がそんなことを?」
「ああ。もっとも、カミュは自分のことは自分で出来るし、どうしても誰かの助けが要るときは俺が手伝うから大丈夫だ、と言っておいたがな。」
「そんなことがあったとは…」
「あいつ、現実と虚構の区別はついてるのか?そのへんの教育はどうなってるんだ?」
「ミロ、その言葉はそっくりそのまま貴方に返上したいのですが。」
「え……」
さすがはムウ!クリスタル・ウォール並みの鮮やかさである!
思わずたじろいだミロだった。

アフロディーテとの会話
「やあ、ミロ! 日本はどうだった?」
「あ……ああ、アフロディーテか、うん、なかなかよかったぜ。」
「そうだろうな、こっちはこっちでオリンピックのせいで人が多すぎて街に出るのも大変だった。」
「なるほど、じゃぁ、またな!」
「おい、ちょっと待たないか、水くさいな。で、どうだった?」
「どうだったって………なんのことだ?」
「決まっているだろう?カミュとの首尾だ、うまく言ったんだろうな?」
「え……首尾って………」
「金曜日に間に合うようにバラをクール便で発送したのは私だ。黄金の入浴には双魚宮のバラでなくては美しさのバランスが取れぬからな。」
「なにっっ??!!」
「で、どうだ、カミュとはうまくいったんだろうな?」
「そ…そんなことは、俺は知らんっ!」
「そうか、ではカミュに聞いてみるとしよう。」
「よ、よせっ!!!!」
立ち往生したミロだった。

アイオリアとの会話
「やあ、ミロ!」
「やあ、アイオリア!」
「今度、私とアルデバランも乗馬の習得のために日本に行くことになった。」
「ほう!お前たちもか。馬は初めてだったが、けっこう面白いぜ。」
「そうらしいな、だが、一つ気になることがある。」
「馬のことなら何でも聞いてくれ、自信がある!」
「いや、そうではない。アルデバランはいびきがすごいらしいのだが、牧場ではまさか二人一部屋ではあるまいな?お前たちのときはどうだった?」
「……え?そ、それは………」
「なにしろ、あの体格だ、同じ部屋でいびきなどかかれた日には、とても眠れんだろう。一人一部屋だったんだろうな?」
「お、俺たちは……そのぅ……」
「詳しく部屋割りを聞かせて欲しい。それから日本では、フトンというもので寝ると聞くが寝心地はよいのか?」
「ね、寝心地っっ!!!」
「どうした?具合でも悪いのか?」
「い、いや、なんでもない…」
もうだめだ、と思ったミロだった……。
サガとの会話
「ミロ、戻ったようだな」
「やあ、サガ!」
「実は相談がある」
「俺に?」
「日本では温泉に入ったのか?」
「……あ、ああ……入ったことは入ったが、それがなにか…?」
「教皇の間に大浴場があることは知っているか?」
「ああ、噂には聞いたことがある」
「アテナの思し召しで、それを改装して一般の聖闘士にも開放することになった」
「なにっ??!!」
「日本では特徴的な入浴方法があると聞くが、工事のためにその種類を具体的に知りたい、との仰せだ」
「アテナが……しかし、アテナはもともと日本の…」
「それが、温泉には一度も足をお運びにならなかったと聞いている」
「……いや、俺もあまり詳しくはなくて…」
「そうか、ではカミュに聞くとしよう!」
「えっっ!!!」
「どうかしたのか?」
「………いや……別に…」
お前だけが大浴場を独占したままでも俺は一向にかまわんっ、いや、ぜひそうしてくれ!と思ったミロだった。

老師との会話
「ミロではないか。」
「これは、老師、お変わりなくて何よりです。」
「乗馬のほうはどうじゃったかな?」
「はい、完全に習得いたしました。」
「うむ、で、そのほかはどうじゃった?」
「は?そのほかといいますと?」
「乗ったのは馬だけではあるまい、そのことじゃよ。」
「……は?……このミロ、な、なんのことやら一向にわかりませんが……」
「ほっほっほっ、まあよい。向こうからカミュがやってくる。ちょうどよい機会じゃから、カミュにも聞いてみようかの。」

……え?…ま、まさかっ、老師っ、「乗る」って……!!!
年寄りになるとそんなことに興味を持つのかっっ?????
カミュっ、お前、誘導尋問に引っかかるなよ!!
ああ………連れてかれた……大丈夫か……?
いや……だ、だめかもしれん、年の功には勝てんからな……
頼むっ、余計なことはしゃべるなよ!!

蒼白になったミロだった

デスマスクとの会話
「やあ、ミロ!」
気がつかない振りをしていたミロをデスマスクが呼び止めた。
「……ああ、デスか」
「で、どうだった?」
「どうだったって………」
「しらばっくれるなよ、この色男♪」
「なっ、なにが色男だっっ!お前の言ってることはさっぱりわからんっ!!」
「ふふふ、耳まで赤くしてる奴が何を言う。
 あれだよ、例の 『新・婚・旅・行』♪」
「よ、よせっっ!そんな大声でっ!!人に聞こえるっ!!」
「気にするなよ、で、感想は?聞かせろよ、離れに泊まったんだって?」
「な、なぜそれをっ??」
「言いたくなきゃいいんだぜ。ちょうどいいことに向こうからカミュが来るから、カミュに聞こうか♪」
「や、やめろっ、このばか者っ!!」
「全部言えとは言わないぜ。どうだ?バラとカミュとどっちがよかった?」
「そ、それは………カミュだ……」
「よし!正直のこうべに神宿るってことだ。じゃあな!」
ギリギリと唇を噛んだミロだった。

シュラとの会話
「やあ、シュラ!浮かない顔をしてどうした?」
「ミロか……実は、デスマスクに気になることを言われてな」
「ほう、いったい何を言われたんだ?」
「招涼伝にも副読本にも俺はまだ出ていない。副読本で一回だけ名前が引き合いに出されただけだ。もしかしたら忘れられてるんじゃないか、影が薄いぜ!と奴は言ったのだ。」
「え……そ、そうか、すまん、気付かなくて。」
「いや、かまわん。お前は他に考えることが山ほどあるからな」
「え……そ、そんなことより…そうだ!サガはまだ出てないぜ!もう一人残ってるじゃないか!」
「いや、さっきカミュに聞いてみたら、この先の回でサガはやたら重々しい役で登場するらしい。」
「え?そうなのか?ふうん……」
サガの役って何だ???
「それから腕の古傷が痛むのだが、お前の行った温泉を紹介してくれないか。少し湯治に行ったほうがいいらしい。」
「……え?」
困惑するミロだった。

シャカとの会話
「シャカ、瞑想中すまんが通らせてもらうぞ。」
「ミロか、最近日本へ行ってきたそうだな?」
「ああ、一昨日帰ってきた。」
「で、どうだった?」
どうして皆そればかり聞くんだ?!と思ったミロだが、ここはおとなしく答えておいたほうが無難だと考えた。
「乗馬は完璧に習得したぜ。」
「私が聞きたいのはそのことではない。」
(やっぱりな……シャカでも他人のことに興味があるのか……。)
「京都の寺社仏閣は見事だと聞くが、どの寺へ参詣したのかね?」
「え?俺たちはそんなところへは行ってないぜ?」
「では、乗馬以外では何をしていたのだ?」
「なにって……それは……」
「………ほう!そういうわけか………よくわかった。」
「ひ、一人で納得しないでもらおうっ!!」
「なにか問題でも?それとも君が説明してくれるのかね?」
「い、いや、別に……」
真っ赤になったミロだった。

魔鈴&シャイナとの会話
「ミロ、ちょっと話があるんだけど!」
「ん?魔鈴か、なんの用だ?」
「何の用、じゃないわよ!どうしてあたしが雌獅子にならなきゃいけないの?」
「えっ?」
「おまけにあれはなに?楊柳青でベッドの上のアイオリアにのしかかってるけど、おかげで白銀仲間にからかわれて困るのよ。」
「いや、その…俺は……」
「ともかく迷惑してるんだから……アイオリアにも顔向けできないし……ほんと困るのよ……どうしよう…」
顔を赤くしているらしい魔鈴を唖然として見ているミロだった。

「待ちな、ミロ!」
「ん?シャイナか」
「シャイナか、じゃないだろっ!副将軍っていったって、あれじゃ男か女かわかんないじゃないかっ!あたしはれっきとした女なんだから、そこんとこをしっかり書いてもらわないと邪武や市に『やっぱり男勝りだ!』とか言われて頭にくるのさ!何とかしてもらおうじゃないかっ!」
「え?え?」
シャイナの剣幕に呆然とするミロだった。

カミュの語る
日本では様々な経験をした。
氷河から話は聞いていたものの、やはり百聞は一見にしかずだ。
日本の習慣は欧州とは異なる点が多く、聖闘士としての視野を広げるのに寄与すること大だった。
もっとも感銘を受けたのは 「お辞儀」 だ。
会う時も別れるときも謝辞を述べるときも食事をするときも、ともかく日本人と「お辞儀」は不即不離の関係にあるのだ。
この国では、始終頭を上げ下げしているように見える。
ミロは日本人の「お辞儀」が気に入ったようで、『欧州の握手よりも慎み深くて品がいい。ギリシャでも普及させるべきだ!』と力説していたが、そんなものだろうか?

私個人は 「箸」 が気に入った。
出発前に文献で知り、シュラに類似の品を作ってもらい写真を見ながら訓練したところすぐに習得できた。
演繹法で使用法を類推しただけだが、箸に苦闘していたミロに大袈裟に感心された。
今後、宝瓶宮でも使ってみようと考えている。

ミロの語る
日本は本当によかったぜ!
いろいろと感心したことは多かったが、なんといっても温泉だ!
この世にあんなにいいものはないと断言できる!
聖域にいたらカミュと一緒に入浴するなどということはあるはずがない。
それがどうだ! 日本人が他人と一緒に入浴するという類稀な習慣をもっているおかげで、俺はついにカミュと一緒に入浴できたのだからな。
日本人は、そうした入浴に下心など持たないので、俺も 「郷に入っては郷に従え」 と唱えながら正々堂々とカミュを誘い、論理的に理解したカミュも温泉でくつろぐことができたのだ。
バラ風呂も露天風呂も打たせ湯も最高だった!

ここではっきりと言っておくが、俺は温泉旅行をこの一回だけで終わらせる気など毛頭ない!
どんな手を使ってでも、また温泉に行くことをここに宣言しておこう。
むろんカミュも一緒にだ、そうでなくてはなんの意味もないからな。
下心はないが湯心を共に満喫したいのだ。
次は湯布院あたりがいいかもしれん、楽しみだっ♪♪

今回初めて気付きました。
十二宮は職住接近、というより
住居=職場(?)です。
二十四時間聖闘士の彼らには、
一般社会での通念は通用しません。
ほんと、温泉で息抜きさせてあげたいです。

湯治なら、
「ランプの宿」とかの、地元の人が
鍋釜持って一ヶ月長逗留するような古びた
ところの方が向いてるかも?
でも、そこまでの知識はないミロ様、
やっぱり紹介しちゃうのか?
性格が素直だから、しちゃうわね、あ〜あ…。

あのバラの出所が双魚宮……!
ミロ様、
ローズの衝撃です、
すると「カジュアル落花」のも??!!
そ、そんなぁ〜〜!知らなかったよ(汗)。
………自分で書いて、驚いている私。

いびきは確かに安眠をさまたげます、
アイオリアの心配はもっともでしょう。
ちなみにカミュ様は、
いびきなどとは無縁の方です、寝息だけ!
ミロ様は、ちょっとかきます、
でも可愛くて、
カミュ様が微笑んでしまうようなのです♪

サガと入浴は切っても切り離せません。
たとえエクスカリバーでも不可能です。
もし、大浴場を開放しても、
大勢でわいわい騒ぎながら入るのは、
星矢たち青銅だけでしょうね。
あとは、予約制の時間貸し?

カミュ様、逃げられないでしょうね………。
目上の人を振り切って逃げるような
無作法な真似はできないし。

「ほっほっほっ、若い者はいいのぅ♪」
「…………」

目にみえるわよ………。

つ、ついに白状してしまったミロ様っ!!
デスのたたみかけるような質問がうまいなぁ!
実はアフロとデスは、
バラとカミュとどっちが綺麗だとミロが思うか、
賭けをしてます。
自分のバラに絶対の自信を持つアフロは、
もちろんバラだ!と言ったのです。
さて、勝ったデスは、
賞品として何を貰うのでしょう?

弟子思いなのはカミュ様だけではありません。
ムウ様の頭の中には温泉はないんです。

それにしても、現実と虚構。
招涼伝と聖域と私たちのいる現在の日本。
三つ巴の舞台が展開している当サイトです。

シャカには野次馬感覚はないですが、
結果として話はそちらの方向に。
これもみなミロ様の人徳か?
成田を発つ前に、
成田山新勝寺にでも
行っておけばよかったのに…。

ミロ様、女性パワーにたじたじです(笑)。
ほら、黄金らしくシャンとしてっ!

シャイナさんの口調、いつも通りにしました。
怒り狂ってるシャイナさんには、
黄金も青銅も関係ないんです。
※当サイトでは、
  魔鈴さんとアイオリアを応援しています♪

カミュ様、温泉の感想はっっ???
お辞儀と箸だけじゃ嫌ですっ!
夜明けの露天風呂はっ?
バラのお風呂はっ?
ミ、ミロ様と一緒に入ったでしょっ??!!

あ、そういう話題は閨中で語られるのね……。

万事において素直なミロ様、
そんなにまで喜んでいただけて、
感動ですっ!!!!!
湯布院いいわねぇ〜♪
取材旅行に行こうっと!

「ミロカミュ 占い小説」 第二弾です。
今回は 「温泉旅行始末記」 ということで。

楽しかった温泉から帰ってみればミロ様、みんなの好奇心の餌食にされてます。
蠍が餌食になってどうするんです、ミロ様っ!!
でも 「楽あれば苦あり」、やむを得ませんか。
さあ、次回はめでたく湯布院行きとなりますかどうか?

「当たり前だ!俺は絶対に行くっ!」
「ノーコメント」
「カミュ、お前ね、もう少し素直になれよ。」
「私は、これで十分に素直なつもりなのだが?」
「そういうのは素直って言わないぜ、まったくしょうがないな……」
「あ…………」
「どう?カミュ……また温泉に行きたいだろ?」
「……その……私は………」
「………これなら、どう?」
「……あ……その……行きたいと思う……」
「よしっ、決まったな! 聞いての通りだ、よろしく頼むぜ♪♪」

あ、………は、はい、確かに承りました。



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