恋ひ恋ひて 逢へる時だにうつくしき 言(こと)尽くしてよ 長くと思はば

                               坂上郎女(さかのうえのいらつめ)    万葉集より

                     【歌の大意】

                     こんなにも恋焦がれてやっと逢えたのだから、
                     そのときには、言葉を尽くして愛してるといって欲しい。
                     いつまでもずっと通ってくるお気持ちなのでしょうから。


            ミロの語る

            どれほどこの日を待ったろう
            ぜひお前にわかって欲しい
            つのる想いに身を焦がし はやる心を抑えつつ
            お前の歩く地面を拝むくらいに憧れていたんだからな

            頼むからもっとなにか云ってくれ
            俺に抱かれて嬉しい と
            もっと深く愛して欲しい と
            有明の月を見たくない と

            なんでもいいから俺が歓ぶことを云ってくれ
            でないと 俺はどうすればいいかわからなくなる
            明日も来ていいのか?
            もう一度抱かれてくれるか?
            その熱い吐息で迎えてくれるか?
 
            カミュ、まさか怒ってないよな?
            頼むから こっちを向いて 俺が歓ぶことを云ってくれないか


                              
カミュの語る                   

                              お前がいつも私を見ていることは知っていた
                              私の方はまっすぐお前を見られなかったというのに

                              お前は眩しいほどに明るい存在で 皆にどれほど好かれていることか
                              私は クールで人を寄せ付けないと思われているというのに

                              頼むから・・・もっと・・・・・・愛していると言って欲しい・・・・・・
                              ・・・・・・優しい仕草だけでなく言葉でも・・・・・・
                              
                              お前にとって必要な存在なのだと
                              もう孤閨を過ごさなくてよいのだと
                              私が強く確信できるように
                              いつまでもお前に愛をそそぎかえせるように
 




しゃも様からの古典読本へのキリリクです。
たいそう愛情表現にあふれている、万葉集のこの歌は、
記念すべき、黄表紙創刊のきっかけとなりました。

幾つかの切り口を思いついたのですが、
出来上がってみれば、これは「相聞歌」。
いかにも万葉集らしい結果となっています。

※「相聞歌」・・・・・・恋慕や親愛の情を述べた贈答歌