もつと澤山逢いにゐらして下さい・・・さう口走つた君

                                  椎名林檎             「ポルターガイスト」 より



初めてのとき    そうだ あれは初めてのときだ
まるで夢のようで とても信じられなくて   涙が出るほど嬉しかったのを覚えている

この手の中に君がいる   長い間あこがれて 手が届かぬ人と思い定めていた君が
ひどく夢中になって  震える手で抱きしめた
それ以上に震える君に 望まぬことなどできるわけもなく  ひとつひとつ許しを求めていったのだ
恥らって口もきけぬ君は 
頬を染めかすかに頷き 唇を噛んで首を振り 
そのわずかなしるしを 息をのんでみきわめた

かすかな星明り 風も吹かぬ静かな夜 
想いを込めたやわらかな気配が闇に包まれる

夜が明けるとき 抱きしめていた君の震えがようやくおさまった
少し乱れた髪をそっとかきやり 耳元でささやいてみた
「 今夜も………来てもよい?」
いとしい君が身を縮め ひそやかに息をのむ  
胸の鼓動が一つになって 闇の中で響き出す
「 どう……かな?」
すこし自信をなくして 力をゆるめたときだ
「 ……もっと………逢いにきて………」

それは 初めて聞いた君の声
しのびやかにこたえた君が嬉しくて 涙が滲んだ





                           ミロ様が来る、ということは平安時代の妻問い婚の名残りですね、
                           だから、やっぱりミロ様の婿入りです。       
                           ミロ様、なにがあっても三日間は通い続けてくださいね。

                           「 言われなくとも、それがわからぬ俺ではない。」
                           「 三日どころではなかったはずだが?」
                           「 ……え?」