「カミュ……まだ起きてる?」
「……ん……」
「お前さ、もしも動物に生まれ変わるとしたらなんになる?」
「え……?」
「お前はね、絶対に白い猫。 しっぽが長くて、艶々した毛並みで、目は吸い込まれそうな青なんだよ。」
「………私が…猫に……ミロ……もっとこっちに………」
「それで夜になって俺が部屋に帰ると、小さい声でにゃあんって鳴いて足元に寄って来る。」
「………」
「俺はお前の胸の下に手を入れてすいっと抱き上げるんだよ」
「…ん……」
「俺がベッドに入るとお前は俺の胸の上に乗ってじっと俺を見る。 青い目がきれいできれいでどきどきするんだ。」
「……ふぅん……」
「あんまり可愛いもんだから、我慢できなくなってベッドの中に連れ込んで……」
「あ……ミロ………ミロ…」
「カミュ……俺の猫になって………もっとしなやかに……もっとやわらかく…」
「そんな……そんなこと……」
「俺が抱いたら抱かれるままに………背をなぜたら俺にすり寄って……」
「あ…」
「頼むからカミュ、俺の白い猫になって……俺だけを信じて身体中の力を抜いて俺に抱かれて……」
「ミロ…ミロ……」
「ん? なに? カミュ…」
「もっと……もっと強くやさしく私を抱いて…………」
「このくらいか? カミュ」
「それではまだ足りぬ……もっと…こんなふうに」
「あ……カミュ……!」
「猫は気まぐれゆえ……油断していると逃げてしまうかも知れぬぞ、ほら、こんなふうに」
「そうはさせない!」
「あっ!」
「一度抱いたらもう逃がしはしない、忘れたのか?俺はスコーピオンなんだぜ。」
「ああ……ミロ…」
「ふふふ……朝まで猫っ可愛がりしてやるよ、カミュ……俺の可愛い白い猫…」
「……にゃあん」
「えっっ!」
「驚くことはあるまい。 今宵はお前の望み通りに猫になってやろうというのだ。」
「ふふふ、そいつは嬉しいね、それなら俺の猫にマタタビをやろう。」
「マタタビ?」
「猫の好む植物だ。 猫にとっては媚薬ともいえるな。」
「え……媚薬って…あの……私はそういうのは………」
「安心しろ、お前の媚薬は俺のキス。 心ゆくまで酔わせてやるよ」
「それならよい………ミロ……」
「ふふふ…カミュ、愛してる……」