「そっとそっと」
目が覚めたときすぐ前にカミュのきれいな髪が見えた。
少し乱れているが艶があってやっぱりきれいなことには変わりない。 そっと顔を寄せてみる。
深く息を吸い込むと甘い いい匂いがするのもいつもと同じで俺は満足せずにはいられない。
………まだ寝てるかな? 少しくらいは触ってもいいかな?
俺に背を向けているカミュの規則正しい寝息が静かに聞こえ、起こさないように注意しながら髪を梳いてみた。
指の間からさらさらとこぼれる髪はどこまでもまっすぐで、まるでカミュの性格をそのまま現しているかのようだ。
そっと手を伸ばしてみた。 カミュの両手は顔の近くに置かれているらしく、俺の手の動きをさまたげるものは何も無い。
そっとそっと、ゆっくりやさしく………。
カミュが溜め息をついて少し身動きした。 手を休める。 大丈夫だ、気付かれてはいない。
やわらかく、しのびやかに、気付かれぬように………。
無防備に横たわっていた身体に震えが走る。 今度は俺も休まない。
そっとそっと想いを込めて………。
「あ…」
声があがったところで後ろから含み笑いを聞かせてやる。
「ミロ………」
「ん………どうしたの?」
返事をしながら手は休めない。
「あぁ………」
溜め息とも吐息ともつかぬ声が洩れ、カミュの手がこちらに伸びてきた。
「愛してる………」
「私も……」
相変わらず向こうを向いたままの白い首筋に俺は唇を寄せていった。