いく世へてのちかわすれむ ちりぬべき野辺の秋萩みがく月夜を |
清原深養父
( きよはらのふかやぶ ) 「 後撰集 」 より
【 歌の大意 】 何年経ってのち 忘れるのだろうか、いや、忘れることなどありはしない。
いずれは散る定めのの野辺の秋萩を、
冴え冴えとした光で磨きあげるように色美しく見せるこの月夜を。
「行くべきか、行かざるべきか?」
与えられた任務が思いのほか早く片付き、予定より一日早く聖域に帰還してきたミロは思案した。
カミュから先月借りた詩集を返すと約束した日は、今日だ。
数日前に使命を受けて急遽任地に向けて出発したミロは、カミュにそのことを伝える暇のなかったのがいささか心残りだったのだが、いかに人交わりを好まぬカミュとはいえ、人の噂でこの不在のことを知るだろうと思い、後ろ髪を引かれながら聖域を後にしたのである。
今まで一度としてカミュとの約束を破ったことのないミロにしてみれば、日付の変わらぬうちに本を手渡したいのは山々なのだが、問題は、すでに日が落ちて夜になっていることだ。
聖域に帰り着いたときにはまだ西の空に茜の色が残っていたのだが、秋の日は釣瓶落としとはよく云ったもので、空の色はもう暮色などというものを通り越し、誰がどう見ても夜、正真正銘の星空を仰ぎ見る夜である。
とはいっても、空の大部分は流れる雲で覆われ、雲の切れ間から数えるほどの星が見え隠れしているのだが。
こんな時間になってから本を返しに行くというのは、どう考えても不自然ではなかろうか?
それのどこが問題なのだ?
昼も夜も朝も、時刻・状況を問わず、ミロは宝瓶宮に入り浸っているではないか?
むしろ 「 本を返しに行く 」 という口実のほうが不自然で、素直に 「 抱きに行く
」 と云ったらどうなのだ?
まあ、待たれよ。
読者諸氏がそうお思いになるのも当然だが、それは後のミロのことであり、今ここで悩んでいるミロは、いまだカミュとの付き合い方を暗中模索している若きミロなのである。
物堅いカミュに合わせて、互いの宮を訪問するのも辞去するのも明るいうちに済ませてきたミロにとっては、この時刻に訪問して驚かせるのではないか、悪印象をもたれてしまうのではないか、とそれが気がかりでならないのである。なにしろ、暗くなるのが心配で、夕食など一緒に食べたことがない。
むろん、朝食も食べたことがないのは当然で、以前、「 一緒に食べたら楽しいんじゃないか? 」 とちょっとほのめかしてみたら 「 なぜ、そんな早い時間にお前がここにいるのだ?」 と怪訝な顔で聞き返されて返答に困ったことがある。 云われてみれば、一緒に食事をしたかったら昼にゆっくりと食べればいいわけで、なぜ?と聞かれたミロは、 「 夜を二人で過ごし、夜明けの珈琲をたしなむ 」 といった一連の情景をつい脳裏に思い浮かべてしまい、おおいにうろたえてカミュに不審顔をされたのだ。 「 朝の散歩がてら宝瓶宮を訪問し、共に朝食を摂りながらおしゃべりをする 」 程度のことを夢想していたのに、それ以来ミロの脳裏には 「 朝食 = 夜のお泊り 」 という図式が出来上がってしまい、やっかいなことこのうえない。 朝食という言葉を聞くたびに赤面していたのでは、日常生活にも差しさわりがあろうというものである。 かくて、 カミュとの付き合いは、たまに一緒に昼食を摂り、午後のお茶を楽しむ、という線に落ち着いた。
しかし、やっとかち得たこのささやかな路線も、時々闖入者に乱される。
すぐ上の双魚宮の主 アフロディーテが、紅茶だのマフィンだのを携えて現われ、それをまたカミュが嬉々として受け取り、当たり前のことだが答礼にと午後のお茶に誘うのである。
こうして、楽しみにしていた 「 Tea for two 」 はアフロを交えた鼎談となり、ミロには面白くないことこの上ない。
アフロディーテは、話の腰を折ったり、カミュとだけ話をするといったような無作法はしないのだが、どうも、赤くなったり舌がもつれたりするミロを面白そうに見ているふしがある。
マフィンは確かに美味しいのだが、邪魔なものは邪魔なのだ。 しかし、困ったことに一方のカミュはアフロディーテの訪問を歓迎しているのだから、ミロにはどうしようもないのだった。
そして、お茶が終わると、ほどのよいところで辞去する運びとなるのがいつものことだ。なにしろ、夕方までいるのは無作法だ、とカミュが考えているらしいので、ミロとしては夕食のことなどおくびにも出せぬのである。
そんな調子で過ごしてきたことを考えると、いくら約束の日だからといって、暗くなってから本を返しに行くというのはいかがなものか、とミロが躊躇するのも無理はない。
「 やはり、よそう 」 と思う反面、いい加減で何とかしないと関係の改善は望めない、という気持ちもあり、どうしたものかと悩むのだ。
それにまた、暗くなってからカミュに会うという冒険のシチュエーションにも心惹かれるものがある。
急に行ったら驚くかな?
暗くなったのは任務があったからで、俺のせいじゃないし、この時刻ならまさかまだ寝てないよな?
会うといっても、戸口で本を渡すだけなんだから迷惑というほどのこともないと思うんだが、
もしかして………もしかして、遠くから帰ってきた俺をねぎらってお茶を出してくれたりして?
いろいろ考えた末に、ミロは薄い詩集をかかえて宝瓶宮へと向かったのである。 ミロに詩集が似つかわしいかというと、シャカあたりに冷笑されそうだが、もとはといえば、詩集を借りたのも宝瓶宮を訪ねる機会を増やすための口実なのだから気にすることはない。
それに、行き当たりばったりに借りた詩集はハイネのもので、開いてみれば全編これ甘美な愛の言葉で埋め尽くされていたではないか!
……ほぅ、これは素晴らしい!
まるで俺とカミュの未来を暗示しているようで、ドキドキするな♪
はすの花は 燃えさかる太陽を恐れて
うなじを垂れて夜を待つ 夢見心地に
月こそ はすの恋人
その光に はすは目覚め
いそいそとヴェールを脱いで
つつましい顔をあらわす
花開き 燃え立ち 光を放ち
はすは言葉もなく空を見上げる
はすは匂い はすは泣き
はすはおののく
愛と愛の切なさゆえに
ふふふ………俺が月で、カミュがはすの花で……ああっ、早くそんなふうになりたい!
一番のお気に入りの詩を心の中で暗唱しながら魔羯宮を抜けてさらに石段を登ると、目指す宝瓶宮が見えてくる。
昼間には通り慣れているこの道だが、東から昇ってきた月が照らすにはまだ早過ぎたし、ただでさえ雲の多い今夜は星明りさえ望めない。
慣れない夜道の足元を気にしながら急な石段を登り詰めると、横手の窓に柔らかい灯りの色が見え、ミロをほっとさせた。
よかった、まだ起きている!
暗くなってから訪問したことなどなかったミロにとっては、暗い夜空に浮かび上がる宝瓶宮の丸屋根のシルエットさえ胸を高鳴らせる要因だ。
以前から思ってはいたのだが、水瓶座の聖衣の肩パーツの美しい曲線と、この宝瓶宮の丸屋根の曲線とは相通ずるものがあるとしか思えない。
十二宮建築の中で、曲線が使われているのはここだけだからな!
このカーブの柔和な美しさは、カミュの持っている……ええっと、なんて言えばいいんだ?
そう、強いて言えば女性的柔らかさに通じるものがある!
むろん、こんなことはカミュには云えないが、俺にはそうとしか思えない!
この宝瓶宮こそが、カミュにふさわしい場所なんだよ♪
どきどきしながら近付いた正面の扉は固く閉ざされていてミロの気力を少々そいだが、ここまできて戻るわけには行かないと、何分か胸の動悸をおさめたところでノッカーを三度鳴らしてみた。
低い音が中に響いてゆき、広いホールに少し反響したようだ。
心臓が締め付けられる思いではらはらしながら待っていると、やがて中から規則正しい足音と、よく知っている小宇宙の気配が近付いてきた。
「……だれ? ミロ…?」
すこし怪訝そうなカミュの声がして、すぐに扉が半分ほど開かれた。
あ……!
「…あ……あの…俺だけど…」
ミロが口ごもったのも無理はない。
今の今まで、夜になってからカミュがどんなものを着ているかなど考えたこともなかったのだが、なんとそれは、ギリシャでも最近は滅多に見なくなった長衣ではなかったか!
しなやかそうな白い絹地が身体に添って、長めのゆったりした袖口からは白い腕が見えている。
襟まわりは幅広の濃い色で縁取られ、なにやら刺繍がされているようだがなにしろ暗いのでよくわからない。
ウエストには細めのサッシュを軽く締めて、一見無造作なようでいていかにも趣味がいいのだった。
トラキアの村にいた時分、こんな格好でくつろぐ年寄りもいたように思うのだが、なんとなく昔風だと思っただけでとくに感心などしなかった。 ところがカミュが着てみると、これはどうだ!
着る人間によって、こんなにも違うとはね!
やっぱり、今夜 本を返しに来てよかったな、
それにしても、夜はいつもこんな格好をしてるのか?
いやもうまったく、目の保養、心の保養だぜ!
天蠍宮と同じく、ホールあたりには照明がないので、手にはこれだけは今風のガラスの燭台を持っていた。
蝋燭の火が外からの風に吹かれて揺らぎ、案じたカミュが手で覆う。 炎の色が白い胸のあたりをほんのりと照らし、ミロにはまるでカミュのやさしい心の表れにも見えるのだ。
「明日 戻るはずでは? こんな時間に、なにかあったのか?」
ぼーっと見惚れていたミロははっと我に返り、慌てて台詞を探さねばならなかった。
「……いや、そうじゃなくて…予定より一日早く帰ってこれたから、借りていた本を返そうと思って。
ほら、今日が約束の日だったし。」
なんとか必要なことを言って、かかえていた本を差し出した。
「ああ、明日でもよかったのに。 ありがとう。」
カミュの頭には 「遠くから帰ってきたミロをねぎらう 」 といったことは浮かばなかったらしくそれきり話が途絶え、本来なら
「 じゃあ、これで。」 「 おやすみ、ミロ。」 という会話で別れを告げるはずなのだが、ここでミロの冒険心が顔を出した。
「あの……月がいいから、ちょっとその辺を歩かないか? 夜の空気もなかなかいいぜ。」
自分で言ってびっくりしたミロだが、せっかくのチャンスなのだ、外に連れ出して話ができたらこんなに嬉しいことはない。
「……月?」
カミュが東の空を見た。 ミロが慌てたことには、上りかけの満月はまだ低い空にあって半ば雲に隠れており、色も白というよりは鈍い橙色にしか見えないのだ。
もっと高い位置に来ないと、お世辞にもいい月とはいえないだろう。
「………えっと、そのうちいい月になるってこと!」
わざと明るく言って、外に誘うように道を空けると、外向きの服装でないことにちょっとためらいがあったらしいが、自分の宮の範囲内だけなら、と思ったのか、詩集と燭台を内側の壁付けのテーブルに置いて、カミュが外に出てきたものだ。
ほぅ……!
夜になってからカミュを見たのは久しぶりのことで、それも、昼間とは全然違うこの衣装ではミロの頭に血が上るのは当然だ。
これは服装というよりは、衣装と形容するほうが当たっているだろう。
それとも、いっそのこと装束でもいいかも知れんっ!
ギリシャ政府はカミュを無形文化財に指定するべきだな!
艶やかな髪は緩やかに背にかかり、ゆったりとした白い衣がいかにもギリシャ彫刻の神々を思わせて美しい。
全体にたっぷりととられた柔らかいドレープが微妙な陰影を生みだして、カミュが歩を進めるたびにさざなみのような効果を出している。
月の光がないのが残念だが、白い肌にこの白い長衣はなんと似つかわしいことだろう!
お前、自分がどんなふうに見えるのか、考えたことがあるのか?
ほとんど 「 神々しい 」 といっても過言じゃないぜ!
間違っても、こんな格好で俺以外の奴の前には出て欲しくないものだな……
外に出てきたところをみると、寝衣じゃなくて部屋着かもしれんが、とても俺の口からは聞けたもんじゃない!
高鳴る胸を抑えてあれこれと話題を見つけながら宮の中庭のほうに回っていくと、それほど面積は広くないものの花壇があって何種類もの花が咲いている。
乾燥した聖域ではあるものの、そこはさすがにアクエリアスで水の管理はお手の物なのだろう。
「ふうん、うまくいっているじゃないか。」
「アフロディーテから時々苗をもらうので、ここに植えてみた。 世話をすると、なかなか可愛いものだ。」
カミュの口から、可愛い、などという言葉を聞いたのは初めてで、思わず顔を見る。
俺の視線を感じたのか、一つ咳払いをしたカミュは話題を変えたくなったらしかった。
「それで、あの詩集はどうだったろうか? 好きな詩はあったのか?」
いきなり話を振られてドキッとしたが、これは絶好のチャンスかもしれなかった。
「ああ、いいのがあったよ。 なんなら暗唱して聞かせてやろうか?」
自分の口からはまだとても言えないが、詩を読んで聞かせることならできるではないか。
なるほどね、詩の効用っていうのは案外こんなところにあるのかもしれん
自分が作らなくても、暗唱すれば想いを伝えられるんじゃないのか?
そこで庭の中ほどに立ったミロは、大きく息を吸うと例のハイネを暗唱したものである。
はすの花は 燃えさかる太陽を恐れて
うなじを垂れて夜を待つ 夢見心地に
月こそ はすの恋人
その光に はすは目覚め
いそいそとヴェールを脱いで
つつましい顔をあらわす
ちょうどそのとき雲が切れて月の光が差し込んできた。 隣りにいるカミュを意識して、ただでさえどきどきしながら暗唱していたミロは、詩の通りに月の光がさしてきたのにドキッとして、少しうつむいているカミュがこちらを見ていないのを幸い、そっと盗み見してみたものだ。
驚いたことには、ただの濃い色だと思っていた襟回りの縁取りは、鮮やかな瑠璃色に銀色で細やかなオリーブの葉の刺繍がほどこしてあり、ただそれだけがアクセントのこの衣装はいかにもカミュに似つかわしい。 月の光が白い肌をさらに冴えさせて、襟周りの瑠璃色との対比が目を奪う。
うつむいたまつげの長さに見とれていると、詩の続きがないのを不思議に思ったらしいカミュと目が合ってしまい、いっそうどぎまぎしたミロは急いで先を続けることにした。
花開き 燃え立ち 光を放ち
はすは言葉もなく空を見上げる
はすは匂い はすは泣き
はすはおののく
愛と愛の切なさゆえに
自分でもカミュのことを賛美している詩としか思えなくて、どうしても声が震えてしまう。
もともとミロは声がいい。 自分ではとくになんとも思っていないのだが、張りのある深い声は普段から人に好印象を与えているのだった。
そのミロが月光の下で朗誦するハイネがカミュに深い印象を与え、それに加えて月の光を散らす金髪のあまりの美しさに息を呑んだことなどミロには知る由もないのだけれど。
「どう……かな?」
「あ………なかなか…そう……いいではないか。」
ちょっと頬を染めているカミュが珍しくて、ミロはもう一言 云ってみる気になった
「はすって、どんな花か知ってる?」
「はすは……東洋の花で水辺に咲くことは知っているが、色形などはわからぬ。」
知らないことが悔しそうなカミュが吹いてきた風に乱れた髪を手で抑え、そんなちょっとした仕草もミロには優雅に思えるのだ。
「この詩の様子だと、きっときれいな神秘的な花じゃないのかな………ちょっとお前に似てたりして…」
ミロもずいぶんと思い切って云ってみたものだ。 云った途端に心臓が早鐘を打ち、かっと全身が熱くなる。
こんなこと言って…怒るかな?
この詩が俺の気持ちだって、わかってくれないかな?
「さ、さあ………私にはわからぬ…」
呟くように言うカミュはなんだかとても恥ずかしげに見えて、わけもなくミロを満足させたのだ。
抱きしめられたらいいんだが……
そしてキスできたら、どんなにいいだろう!
こんなに こんなにきれいなカミュを いつか俺のものにできたなら!
「俺……この詩が好きだな…はすの花って、いいと思う…」
詩が好き ⇒ はすが好き ⇒ カミュは、はす似ている ⇒ 俺はカミュが好き
こうなると思うんだが、カミュにわかるかな?
「私も……よい詩だと思う。」
ポツリポツリと話していると、いつの間にか中庭を抜け、宝瓶宮を一回りして正面に戻ってきていた。
「………それじゃ、これで……遅くにすまなかった。」
「いや……ミロの詩を聞けて…楽しかったし………夜の散策もなかなか良いと思う。」
「あ………ああ、これで。」
なんとなくぎくしゃくした会話を交わして、ミロは宝瓶宮をあとにした。
石段を2,3歩降りたところでなんとなく振り返ってみると、戻ってゆく白い後ろ姿が見えた。
片手を頬に当て、少し首をかしげている仕草が、ミロにものを思わせる。
もしかして、俺のことを考えてて赤くなったりしてくれないかな……?
その考えが当たっていたことをミロが知るには、いま少し時間が必要なのだ。
次の時には夜の散歩を約束しよう!
そのときにはなんとかして、あの衣装を着てもらおう!
ささやかな、しかし、今のミロにはとても重要な希望を抱いてミロは石段を降りていった。
22222をゲットした、ようこ様からのキリリクです。
「 両思いになったけれど、次なる一歩が踏み出せない二人… 」 というリクエスト。
ハイネの功徳によって、カミュ様の心が少し動いたようにもみえるこの夜、
なんとかご希望に添えましたでしょうか?
ミロ様が降りていった石段は、離れていくようでいて、恋の成就へと一歩一歩近付いているようです。
「そういえば、お前のあの衣装、どこで誂えたんだ? 珍しすぎるぜ?」
「あれは私ではなく、アフロディーテが誂えたものだ。」
「なにっ? どうしてアフロが!!」
「私には、お前の叔母のようにいろいろとものを送ってくれる親戚がいなかったので、
見るに見かねたアフロディーテがいろいろ世話をしてくれた。」
「ああ、それは知っている。」
「日常の衣服については自分のものを仕立てるついでに私の分も誂えてくれて、
あの衣装もそのうちの一つなのだ。」
「あれが日常の衣服ねぇ………絹だし、刺繍は豪華だし、俺の目には素晴らしい贅沢なものに見えたがな。」
「あれは普通だ。もらった中には総刺繍のものもあって、重くてとても着られたものではなかった。」
「なにっっっ!!!!! 総刺繍だと?!」
「うむ、アフロディーテは華やかな柄が好きなのでパーティー用に作ったらしいのだが、私には向かぬ。」
「カミュ………頼みがあるんだが、一度それを着てみてくれないか?」
「あれを?」
「ああ、ぜひ、見てみたい!」
そして、その夜、ミロは目をみはることになったのだが、それはまた別の話。
◆ 「はすの花」 ハイネ作詞 シューマン作曲
こちらの名曲スケッチからはいれます。左側の曲名リストから 「はすの花」 をおさがしください。