あゝをとうとよ 君を泣く    君死にたまふことなかれ
   末に生まれし君なれば    親のなさけはまさりしも
   親は刃(やいば)をにぎらせて   人を殺せとをしへしや
   人を殺して死ねよとて     二十四までをそだてしや
                                        与謝野晶子  「君 死にたまふことなかれ」より


            
アクエリアスよ 君を泣く      君死にたまふことなかれ
            冬に生まれし君なれば       氷の技はまさりしも
            たれがその手をみちびいて     弟子をほふれとをしへしや
            弟子をほふりて死なむとて     はたちの日まで過ぐしてや







                           
明治37年に与謝野晶子が「明星」誌上に発表した
                           「君死にたまふことなかれ」です。

                           1年程前の私は、
                           カミュ様が十二宮戦半ばで死んでしまうことが非常に不満で毎日嘆いていました。
                           そんな或る日、ふとした弾みでこの詩を作った途端、
                           それまでの恨みつらみが消えていったのです。
                           不思議なほど透明な気持ちになり、
                           与謝野晶子のおかげでカミュ様の死を昇華することができました。

                           レクイエムというのがありますね、鎮魂曲のことです。
                           死者が天国へ迎えられるよう神に祈る曲ですが、
                           死者のためだけでなく、残された者の魂をも慰めるように思います。

                           ミロ様の鎮魂は………当事者でありすぎるだけに難しいでしょう。
                           そのあたりの心理は、次回にて。
                           ふたたび、和泉式部が登場します。

                           






                    君 死にたまふことなかれ