拾遺和歌集より

                           和泉式部 ( いずみしきぶ )


カミュが逝ったあとの俺は無明(むみょう)の闇の底にいる
脱け出す道を知るすべもなく無為の日々を送るばかりだ

ようやく立ち直ろうとした時 信じがたい知らせを耳にした
誰よりも愛したお前が闇の衣を纏ってやってくるという
これ以上の残酷な仕打ちがあるというのか
俺はさらなる闇に落ち込んでいくばかりだ

誰より先にお前に逢って
この目で この腕で その真意を確かめたいのに
それすら今は叶わない

聖域を 地上を 隈なく照らす月よ
全てを見通して 俺に行くべき道を指し示してくれ
その一筋の道を俺は辿ろう

無限の闇の彼方にかすかな光明がほのみえる
同じものを目指すお前に必ず逢ってみせよう
闇の中でもお前が俺を見分けられるように
月が俺の姿を照らし出してくれるだろう

最後の逢瀬となる夜が始まろうとしている

この歌を思い浮かべたとたん、このシーンしかない、と。

幾たびも夜を重ねた十二宮、その最後の逢瀬はあまりにも過酷です。
考えれば考えるほど涙が出てきます。
こんな二人だからこそ幸せにしてあげたいのです。

      暗きより暗き道にぞ入りぬべき 遥かに照らせ山の端(は)の月