「………どう?カミュ……そろそろ教えてくれてもいいだろう?こっちを向けよ。」
「あ………ミロ……」
「………ふふっ」
「お前は……いつもそんな………」
「ほら、もうすぐ夜が明けるぜ……そんなに待たせるなよ♪」
「……Nihili est qui nihil amat. Si vis amari, ama.」
「え………?なんて言った??」
「ニヒリー・エスト・クウィー・ニヒル・アマット。 シー・ウィース・アマーリー・アマー。 『何も愛さない者は、何の値打ちもない。愛されることを望むなら、自分から愛せよ。』 という意味だ。 私が書いたのはこの言葉だ。」
「でも、それは願い事じゃないぜ、格言みたいだが。それに、あとのほうはキケロだろう?」
聖闘士の必須履修科目としてラテン語の習得を人並みに果たしたミロだが、何年もたてば覚えているのは格言集の中の印象的な名言が多い。
キケロのこの言葉は、まだカミュに自分の気持ちを伝えることのできなかったその当時のミロの心境をよく代弁しており、サガやアイオリアにラテン語の手ほどきを受けながらちらちらとカミュの方を盗み見ていたころのことをまざまざと思い起こさせた。