いつのことだか思い出してごらん あんなこと こんなことあったでしょう
       嬉しかったこと 面白かったこと  いつになっても忘れない

                                            「 思い出のアルバム 」   作詞 : 増子 とし



初めてカミュに会ってからもう15年にはなるだろう。
その間、はるか遠くに離れていた時期もあったし、それこそ生死が俺たちを隔てていたときもある。
でも俺たちの心はずっと一つで今後もそれは変わることがない。

「お前もそう思うだろう? うん、そう思うに違いない、俺たちはなにものにも切り離されることなく強く結びついているんだよ。」
「……酔っているのか?」
何杯目かのワインを傾けながらそう言ったら、カミュが首をかしげて訊いてきた。
「ああ、酔っている。 ………いや、そうでもない。 」
「おかしなことを言う。」
少し笑ったカミュがほんの少し頬を染めた。 それがワインのせいなのか、それとも俺が言った言葉のせいなのか、はっきりとしない。
「酔っていたとしても、俺はお前にいつも本当のことを言っている。 愛しているよ、お前のなにもかも。 髪も声も頬も唇も、素直な感じやすい心もいつも俺を見ている眼差しも、なにもかも全部だ。」
「ミロ……」
困ったようにうつむいたカミュがそっと溜め息をつく。
「そんなことを言われては、なんと答えていいのかわからないが。」
「いいんだよ、なにも言わなくても。 ただ俺を見てそっと微笑んでくれれば。」
「そんな女のような真似を……」
「もちろんいいぜ、情熱的に俺を引き寄せて 私も同じだ、って言って熱烈なキスをくれても。」
真っ赤になったカミュがますます答えを探してうろたえるのが予想通りで俺はくすくす笑ってしまう。
「でも、それはお前には似合わない。 少なくとも今のお前には。」
「今の私?」
「ああ、そうだ。 今生きている俺たちはこの通りだが、でもそれだけじゃない。 この世にある俺たちの物語の数だけ、俺たちの人生があるんだよ。」
「……え?」
ますます困ったらしいカミュが可愛くてたまらない。
「だって、そうだろ♪」
距離をせばめて引き寄せた。
「2300年前の中国にも1000年前の日本にも俺たちはいる。 400年前のフランスにいた覚えはないか? トゥールーズの丘陵で燕の広野で馬を駆った記憶はないか? 未来世界にも想像上の王国にも俺たちの軌跡はある。」
「そのどれもが……真実だと?」
「あれ? 俺の言うことを信じないの? 」
カミュの目をのぞきこむ。 きれいな蒼い目がまぶしそうに俺を見た。

   ほんとにきれいだ………!
   きっとどの世界の俺もこの目に魅了されたに違いない
   繰り返し繰り返しめぐり合って惹かれあって分かち合って………

「今は聖闘士として生まれているだけで、この生が終わったらまたどこかで巡り会うんだよ。 ほんとうだ、保証する。」
「やっぱり酔っているだろう?」
「うん、酔っている。 お前の美しさに。 お前をこの手に抱ける喜びに。 お前を歓ばせられる幸せに………」
「あ……」

そうして俺はカミュを抱いた。 ふたたび巡り会えた嬉しさをこの手と唇とで伝えてやった。
幾百の思い出が去来して幾千の未来が微笑みかける。
「愛しているよ………」
「私もだ…」
素直な気持ちを言葉で伝え、それを正しく受け取ってもらえる幸せを俺は心ゆくまで噛みしめていた。





                なんとも可愛い壁紙です。
                どうしても使いたくなってこの歌を選びました。

                最後の一行に常日頃の思いが出てきました、これはほんとに難しいのです。
                自然にそれができるミロ様カミュ様は本当にお幸せな方々です。