「ペパーミント・キャンディー」 より   歌 : チェリッシュ


「カミュ………お前さ……媚薬って知ってる?」
カミュのきれいな眉がピクリと動いた。
「大辞林によると、媚薬とは、 @ ○○を催させる薬。催淫剤。 A 恋情を起こさせる薬。惚れ薬。 の意だ。」
「わかってるじゃないか! で、その○○って?」
「ここに述べるのはふさわしくないゆえ、自粛させてもらった。」
「ふうん……かえって気になるが。」
「気になるなら自分で調べるがいい。」
「あとで、そうさせてもらうぜ。で、催淫剤ってなに?」
カミュが切れ長の目をかすかに細めた。
「同じく大辞林によると、○○を催させ●●●の機能を高めるために用いる薬剤。催淫薬。催春薬。 の意だ。」
「ん? その●●●って?」
「やはりここに述べるにはふさわしくない。よって、カットさせてもらった。」
「じゃ、催春薬って?」
カミュが愁眉を開いた。
「大辞林に載っていないので、わからぬ。」
「へぇ〜、お前にもわからないことがあるの???アクエリアスのカミュにわからないことが???ふ〜ん、そうなんだ!」
カミュがちらとミロを見た。
「春、とは、 @四季の一つ。 A正月。新春。B勢いの盛んな時期。 C青春期。 思春期。 性的な感情をいだき始める年頃。 
 D色情。春情。 の意だ。」
「おっ、踏み込んだな!」
カミュに睨まれたミロが首をすくめる。
「よって、催春薬とは、Dを催させる薬、と解釈するのがもっとも妥当だろう。」
「うんっ、俺もそんな気がする♪」
「色情・春情とは、簡単に言うと人を恋する感情のことだ。 お前もそう思わぬか?」
「ああ、その通りだな♪」
「よって、催春薬とは、人に恋心を起こさせる薬ということになる。」
「ふふふ、当たってるよ♪」
「つまり、ペパーミント・キャンディーのことだ。」
「……え?……なにが??」
「チェリッシュが1975年に発表した楽曲 『 ペパーミント・キャンディー  』 に、
♪ いつも大事なときには頼ってしまう 私の私の秘密の薬 とくに恋にはよく効くの〜
という歌詞がある。ゆえに、媚薬=催春薬=ペパーミント・キャンディーだ。 スコーピオンのミロともあろう者が知らなかったのか?」
「知らんっ、そんな古い歌を俺が知るわけはなかろう!」
「古い? 昭王が生きたのは2300年前だ。私たちはあの時代のことを手に取るように知っている。たかだか30年前のことなど、ほんの最近のことではないのか?」
「そ、それは確かに……」
「では、なんの問題もなかろう。媚薬とはペパーミント・キャンディーのことだ。」
「…あ……ああ、わかった………いいさ、それならそれで俺にも考えがある
「それから、言っておくが、私はキャンディーは好まない。」
「えっっっ???!!!」
「どうかしたか?」
「いや……なんでもない…」
ミロが肩を落とし、カミュは読みかけの本に手を伸ばしたのだった。





                     
以前の日記で見つけました。
                     ふ〜ん、このまま古典読本になるじゃない♪
                     で、ここに登場です、壁紙も可愛いでしょ♪



  いつも大事な時には頼ってしまう 私の私の秘密の薬 とくに恋にはよく効くの