忍ぶれど色にいでにけりわが恋は ものや思ふと人の問ふまで |
平 兼盛 百人一首より
【歌の大意】 私の恋をひた隠しに隠してきたが顔や雰囲気に出てしまったのだろうか
恋をしているのでは、と人からたずねられるほどになってしまったことだ
………あれ? あそこにいるのは?
カミュが訓練を終えて宝瓶宮へと戻っていく途中、ふと前方を見ると、双児宮から出てきたサガが一足先に自宮へと上っていくミロになにか話しかけている様子だ。
最初はごく普通にしていたミロが、だんだん近づいていくうちに困ったように赤い顔をしてうつむいたり足をもじもじさせて妙に落ち着かないように見えてきた。
どうしたんだろう? いつものミロらしくないけど…………
不思議に思いながらカミュがすぐ近くまで来ると、はっと振り返ったミロがさらに顔を赤くして
「急ぎますので、これで!」
と言うが早いか、階段を駆け上っていってしまった。
「ミロはどうかしたのでしょうか?」
「さて、私にもよくわからぬのだが……カミュ、君に何か心当たりはないかね?
このごろ何か思いつめて悩んでいるような気がするのだが。」
「さあ……?」
カミュと一緒にいるときのミロは、いつも快活でおしゃべり好きである。
ミロの話はいつもカミュを笑わせようと用意されているようで、カミュにはそれが待ち遠しくてならないのだ。
現に、今日の訓練中もカミュはミロの冗談や話題に楽しい時を過ごしたのだった。
「私には、そんなふうにはみえないのですが。」
「ふむ、気のせいかな? まあ、もう少し様子を見ていることにしよう。 引き止めてすまなかった。」
「いいえ、では、失礼します。」
カミュには、ミロが悩んでいるようには思えない。
友達の少ないカミュには、ミロは一番親しい友人なのだった。
全然気が付かなかったけれど、何か悩みでもあるのだろうか……
サガはさすがに年上だから、自分などには見えないものも見えているのかも知れない……
ミロのことを一番よく知っているのは自分だと思い込んでいたのに、自分には見えなかったミロの別の一面をサガに見つけられていたことに、何かしら嫉妬めいたものを覚えたカミュだったが、自分ではまだ嫉妬だとは気付いていない。
ただなんとなく不安と焦燥にかられてカミュは天蠍宮に寄る気になっていた。
「ミロ!……いるの?」
とっくに戻っているはずなのに、灯りのついていないのにはなにか理由でもあるのだろうか?
カミュが暗い廊下の奥に呼びかけるとミロが驚いた様子で顔を出した。
「あれ?………カミュ!」
「さっきサガと何か話してたから、ちょっと気になって……灯りもつけないでどうかしたの?」
ミロがあわてて首を振る。
「ううん、なんでもないっ! ほんとになんでもないから、大丈夫だから。」
「そう? それならいいんだけど……じゃぁ、また明日ね!朝に寄るから一緒に訓練場に行こう。明日は負けないから!」
ミロが太陽のような笑顔を見せた。
「俺も負けない! 明日待ってるから!」
玄関までカミュを送ってきたミロが、ちょっと考えた様子をしてから、カミュに手を差し出した。
え………?
訓練以外でミロと手を触れ合うことなど初めてなのだ。
ちょっと不思議に思いながらカミュが差し出した白い手を、ミロがそっと握ってきた。
ミロの手って暖かい………
「また明日ね!」
「うん、俺、待ってるから!」
夕暮れの外は少し風が冷たい。
なんとなく暖かい気持ちになってカミュは宝瓶宮へと帰っていく。
カミュ………俺………いつになったらお前と、もっともっと友達になれるのかな……?
小さい後ろ姿が消えるまで見送っていたミロがそっと扉を閉めた。
さて、これは何歳くらいの話なのかしら?
言葉使いからすると、かなり小さそう。
ここはひとつ皆様の御想像にお任せするとして(笑)。
さて、カミュ様はいったい幾つくらいから、
「○○かもしれぬ」とか「○○なのではないのか?」
のような話し方をするようになったのでしょう?
ううむ、これはかなり難しい問題です。
1.本の影響
2.身近な誰かの話し方が、いつの間にか身についた
3.テレビの影響(←あ、有り得ない……)
やはり、「2」でしょうか、
とすると年長者で尊敬の対象になっていた
サガとアイオリアからの影響と考えられます。
では、なぜミロ様にはその影響が見られないのか?
……A型(カミュ様)とB型(ミロ様)の違いかもしれない(笑)。
ちなみに管理人はAB型、サガとシャカと同じです。
ふうん………そうなんだ。
まあ、AB型なら、ミロ様カミュ様、どちらとも縁があるということで。
めでたし、めでたし♪♪
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