山を見よ山に日は照る 海を見よ海に日は照る いざ唇を君 |
若山牧水 歌集「海の聲(こえ)」より
【歌の大意】
山も海も 一点の曇りもなく日に照らされている
その中で 私は君の唇を求めよう
天蠍宮に篭っていた俺がそのことを知ったのは、よく晴れた日の午後だった。
カミュが戻ってきている
俺は耳を疑い、次に十二宮を暖かく包み込むアテナの小宇宙により奇跡が行なわれたことを知ったのだった。
日も射さぬ暗い部屋から久しぶりに出た戸外は日の光に満ち溢れ、俺を思わずよろめかせた。
宝瓶宮へと向かう道がこれほど遠いと思ったことはなく、空の青さがこれほど目に沁みたことも初めてだった。
近づくにつれ、俺の心に不安と疑念が湧いてくる。
もしも、夢だったら……
俺の腕からまたすり抜けていってしまったら……
数え切れない眠れぬ夜と語りきれない後悔が記憶の底からよみがえる恐怖と闘いながら宝瓶宮をみあげた俺の目に映ったものは何だっただろう。
懐かしい姿が俺を待っていた。
なにも変わってはいない、俺のカミュだ!
少しはにかむように手を広げて俺を迎えているのは、ああ、確かにカミュなのだ。
笑っていいのか泣いていいのかわからなかった。
何も言わずに近寄って抱きしめた。
間違いない、俺のカミュだ!
山も海も祝福するがいい、俺のカミュがこの手に帰ってきた。
まぶしい光の中で俺はカミュに唇を重ねていった。
再びまみえるはずのなかった人に会えたとき、
いったい人はどう思うのでしょう?
天地が二人を祝福し、すべてのものが輝かしく見えるのです。
誰が見ていようとかまうものか!俺はカミュにキスをするっ!
ミロ様の断固たる決意が白日の下で行動を起こさせます。
燃える口付けですね。
最高のお二人に最高の幸せを!
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