※ 途中で色艶の濃い箇所があります。


「 茶 室 」
                                                 みきこ さま より


城戸邸の広大な敷地の中の日本庭園内にある茶室に、藍下黒に藍の伊達衿を合わせた着物に袴を纏ったミロと、深紫に淡紫の伊達衿に袴を合わせた姿のカミュはいた。
精神修業の一環で沙織が導入した茶道だが、他の黄金聖闘士達はそつなく基本を修得して聖域に帰ってしまったのに対し、ミロは興味のないものには労力をかけない性分の為、一向にに上達の気配が見えず、それを見咎めたカミュが稽古の相手を勤める事になっていたのだ。

茶室に入り、杓を構え、青竹の杓置きに涼やかな音を立て、杓を置き、点前開始の合図とすると、ミロは袱紗を捌き始めたその所作を正客の位置からカミュが見つめる。 昨日の稽古ではお点前の手順すら覚束ず、正座をするのも億劫とばかりにすぐに足を崩してしまったのに、今日のミロは違っていた。
流れるような所作で棗、茶尺を清め、カミュに茶菓子をすすめると、見事な手捌きで茶を立て終えてカミュに差し出す。
「お点前 頂戴いたします」
カミュは覚悟を決めて、ミロの立てた茶を口に含む。 今までの経験でミロの茶がお世辞にも美味しいと言えるものでない事を知っていたからだ。
しかし、予想に反して、それはお茶本来の香を醸しだし、非常に甘くふくよかなものだった。
「おふく加減は如何でしょう」
自信たっぷりと言わんばかりの笑みを浮かべたミロが手順にのっとり尋ねる。
「大変…結構でございます…。驚いたぞ、ミロ。 何故今まで…?」
「面倒だったからな。 だが、お前に稽古を付けられて上達しなければ、お前まで悪く言われる。 それだけは納得出来ないからな」
そう言いながら茶碗を清め、おしまいの挨拶をすると、ミロは一端水屋にさがった。
改めて茶室内に戻ると、稽古を付けてくれた先生に当たるカミュに、感謝の口上を述べ、これで一連の稽古が終了となる。
「これなら後で稽古の成果を見においでの女神も御納得なさるだろう。 ミロ、女神がおいでになるまで大分間があるから、今度は私が」
「それは有り難い」
「支度をしてくるから、待っていてく…」
横を通り抜けようとしたカミュの腕を引き寄せたミロはカミュを腕の中に納める。
「ミロ! 何を…っ」
抗議の声を飲み込まれ、カミュはミロの肩に腕を突っぱねる。 やっと唇を開放されたカミュがミロに抗議しようとした瞬間、視界がぐるりと回り、仰向けに倒されたカミュの上に当然の様にミロがのしかかる。
「何って…お前を頂戴できるんだろう?」
「ばっ、馬鹿者! そんな事いつ…あっ…」
カミュの抗議を聞き流し、ミロはカミュの着物の衿から手を差し入れて、胸の突起を摘んで抵抗を封じる。
(日本の着物は脱がせやすいとは聞いていたが、これほどとは…)
気を良くしたミロはそのまま衿を開けさせ、あらわになったカミュの桜色の乳首を口に含む。
「やめろ、ミロ…後で、女神がおいでになるんだぞ!」
そう言って身をよじりミロの下から脱出を試みたカミュをミロが制する。
「迂闊に動くなよ。 炉を切ってあるんだ。 今日はちゃんと中に炭を起こしてある。 下手に動けば髪が焼けるぞ。 じっとしてろ。 それに、着物の着付けもマスターしてる。 ちゃんと後で着付けるから案ずるな」
「そんな事ばかり…ああっ」
形を変え始めた己を握りこまれたカミュが声を上げ背を反らせた瞬間、ミロはカミュの袴の帯を解き、一息に下半身をあらわにさせた。
既に肘に袖を通すのみの上半身は、固くなった桜色の乳首が晒され、下肢には熱く息づき始めたカミュ自身を満足気に見つめると、ミロはそっと手を添え、唇を寄せていく。
「頂戴…致します…」
優しく呟くとミロはカミュを口に含んだ。


「大変結構なお点前でした、ミロ。 たった一日でこんなに上達するなんて、カミュの教え方が上手なのね」
ミロのお点前が終わり、半東役のカミュと揃って手をつく二人に沙織が満足気に言う。
「恐れ入ります」
「身に余るお言葉です」
畏まる二人に沙織は艶やかに微笑むと、更に続けた。
「でも、ミロ。 着付けはまだまだね。 綺麗に着付けているけど、カミュの衿が逆よ。 それでは死に装束になってしまうわ。 片付けは誰かに任せて、早くミロに脱がせてもらいなさい、カミュ」
ミロは昨日沙織から 『 茶道をするなら自分で着物を着れるようになりたい 』 と言って、着付けの本と沙織付きのスタイリストを借りているのだ。
沙織の一言に胆を冷やしたミロはこの後、カミュに先に一人で聖域に帰られ、一週間口を聞いてもらえなかったという。





         
みきこさんからいただいたのは秘密の茶事のお話です。
         あらまあ、万事に応用の効くミロ様です、どうやら女神には知られずに済んだようですが。
         実は中間部にさらに色濃いシーンがあるのですがカミュ様の要請により、とりあえず割愛してあります。
         いつかお目にかけられるといいのですが。

         みきこさん、風雅(♪)な話をどうもありがとうございました!

            半東 ( はんとう )………茶会での亭主の補佐役。水屋における雑事諸用などを取り仕切る。