たった五日といわれるかもしれないが、ミロにとっては久しぶりのカミュだった。
限界まで小宇宙を高めたあとの身体にはその余韻が残るのだろうか、感覚がさらに鋭敏になっていたようで、今夜のカミュはほんの少し触れるだけでも全身で反応を返してきたのがいとおしく思われた。

   小宇宙こそいつも通りに戻っているようだが、心の中はどうだろう?
   苛烈な闘いのなごりが神経を波立たせ、心に傷を残してはいないだろうか?

「 カミュ………すぐに眠りたいか?」
「 ………いや…無理なようだ……」
「 もう少し抱いていても……いい?」
返事の代わりにカミュが身を寄せてきた。
「 いつでも俺のところに戻ってくればいい。親鳥のようにお前を抱いて癒してやるよ。」
「 ミロ………親鳥ではいやだ……つがいの双鳥がいい………」
「 それは比翼の鳥か?こいつは一本取られたな。」
くすくすと笑ったミロが白い額に口付ける。
「 見事な切り返しだぜ、カミュ………褒美にもう少し可愛がってやろうか?」
カミュがあっと思ったときには、もうミロの力強い腕に引き寄せられている。
「 ミロ!………そんなことを……」
「 比翼の鳥がなにを言う?俺たちは永遠のつがいだ……そうだろう?」
しかし、返事をする前にカミュの唇はふさがれた。

カミュの返事は、聞かなくともミロにはよくわかっていたのだ。
首に絡みつかせたしなやかな腕が、ひそやかに熱を帯びた肌が、闇の中でさながら命を持った言葉の如くにミロに語りかけてくる。

   愛している………私のミロ………

想いを込めた夜が音もなく更けていった。