「コナン・ドイルの誕生日」

「今日5月22日はコナン・ドイルの誕生日だ。」
「知っている。 大英帝国が世界に誇る名探偵、シャーロック・ホームズを世に送り出した偉大な作家だ。」
「ほほぅ、なかなかの賛辞だな!」
「ああ、宿の娯楽室の大画面で、NHKが放送していたイギリス・グラナダテレビの 『 名探偵シャーロック・ホームズ 』 を全話鑑賞させてもらったからな♪ ホームズに関してはちょっと自信がある!]
「なに! あそこのライブラリーにそんなものが!」
「大学の図書館並みに充実してるぜ、こんど見てみるといい。 ところで、シャーロッキアンって知ってる?」
「え?」
「ホームズの事績の研究や資料の調査など、シャーロック・ホームズを熱烈に愛するファンのことをシャーロッキアンっていうんだよ。 彼らは、コナン・ドイルの書いた原作を 『 聖典 』 と称してその内容には一点の疑義もはさまない。 原作の年齢や時系列の記述に誤りがあっても、全てを正しいものと考えて、なんとかして理屈をつけてそれを正当化しようとするほどに原作を尊重し崇め奉る態度は見上げたものだ。 世界中にシャーロッキアンの支部があり、すべてのファンはいつの日かベイカーストリート221Bに巡礼することを夢見るのだ。」
「ベイカーストリート221Bとは?」
「ロンドンのホームズの住まいだよ、有名だぜ? あそこに相棒のワトスンと住んでいたんだからな、世界でいちばん有名な住所だと思うが。 今でも事件の調査依頼の手紙が世界中から届くことでも知られている。」
「住所までそらんじているとは、ずいぶん詳しいではないか。」
「しかし、この住居で一番注目すべき点は、ホームズがワトスンと二人で暮していたということに尽きる♪」
「え?」
「考えてもみろよ、社会的にしっかりした地位と名声のある男二人が一緒に暮してるんだぜ、実に羨ましいね! 誰にも文句は言わせない!人目など気にしなくていいんだから理想だよ、この住まいは♪」
「ちょっと待て! 言っている意味がよくわからないが?」
「あれ?そう? 俺はこんな状況でお前と暮したいね。 十二宮を行き来するのはそれなりに人目につくし、かといって籠もり切りでもお前が外聞を気にするし。」
「え……それは …あの…」
「だから一つ所に住めば一挙に解決だろ? 朝から晩まで、そして晩から朝まで、たっぷりと可愛がってやるよ♪♪」
「……」 (←絶句)
「ふふふ……いいから、いいから♪」