「 ガブリエル・バーンの誕生日 」

                            ※ 映画「仮面の男」関連の話です。 わからない方、ごめんなさい。


「今日5月12日は、ガブリエル・バーンの誕生日だ。」
「………なんだか、ワイバーンのラダマンティスを思い起こさせるな…」
「いや、まったく関係ない。 アイルランドの俳優で、先日我々が見た 『 仮面の男 』 のダルタニャン役をやっている。」
「あーっ! あれか!あれは面白かった。ああいうのは好きだな。」
「お前はルイ14世にだいぶ怒っていたな。」
「そりゃそうだよ、なんだあれは?!自己中心的で人の迷惑かえりみず我儘のし放題! なんであれで通るんだ? 昭王なんか、あんなにまわりに気を使って遠慮して自己抑制してるんだぜ!それに比べて、あんな王は最低だな!」
「私もあのような王は好まない。不愉快だ。」
「その点、ダルタニャンはよかったな。いいとこ取りだぜ、あの映画では。ストイックだし、腕は立つし、馬には乗るし、部下には慕われるし、言うことなしだな。」
「ずいぶんなほれ込みようだが。」
「ああ、そうだ、男は、ああでなくてはならん。そうだ!お前がダルタニャン、俺がアラミスで、ポルトスがアルデバラン、アトスはそうだな……真面目そうだからサガにして、四銃士をやらないか?数々の冒険をこなしながら俺とお前が憎からず思うようになるってやつ。中世フランスの話だからお前にも向いているだろう。」
「…えっ……その配役はどうだろうか?アラミスは聖職者ゆえ、シャカがふさわしくはないか?」
「え?すると俺はどうなる?」
「お前はやはり王が良かろう、ただし我儘な暴君などではなく、昭王のような良き王だ。」
「するとお前は?」
「ううむ……ダルタニャンだろうか?そして、ポルトスをデスマスクにして、アトスはやはりサガにする。」
「お前、シャカ、デスマスク、サガで四銃士か?う〜ん、普通は考えられん組み合わせだ。 それだとデスは冗談を言う相手がいなくて困るんじゃないのか?」
「……それは言える。」
「俺は俺で、立場上、一緒に行動できないからお前が何をしているかわからなくて不安すぎる。おまけにサガがいるだろう?世間ではお前ととかくの噂があるから、展開に不安が残る。」
「えっっ、そんな、まさかっ!」
「いや、わからんぞ?なにしろやつには伝説の幻朧魔皇拳がある!」
「どこかで聞いたような台詞だな。ああ、そうだ、十二夜のサガ篇にある。お前の発想はいつもそれだ。」
「だって、お前のことが心配でならないんだよ。そうだ!お前の従者に貴鬼をつけよう!いつも子供と一緒なら、サガといえどもお前には手が出せんだろう。」
「手を出すって………」
「そうだ!そんなことより、俺が暴れん坊将軍みたいに王宮を抜け出して、銃士の一員になってお前達と一緒に行動する。 で、いよいよとなったとき、絶対無敵の王権をかざして国内に潜む悪の芽を摘むのだ!よし、これがいい!」
「で、テーマソングがマツケンサンバとか?」
「お前も世俗のことになかなか詳しいな。どう思う?王と四銃士、素晴らしい顔合わせだ!で、その中で俺とお前がひそかに恋をする。最高だな。」
「ええと、私としては…」
「王宮でのアバンチュールだぜ、それもお前の故郷フランスだ!おもいっきりフランス語をしゃべらせてやるよ、もちろん、閨中でも好きなだけ言っていいぜ、俺もぜひ聞きたい。王が私的な内密の時間を持つための秘密の塔の小部屋に案内してやるよ、誰にも邪魔はさせはしない!燕とは倫理観が違うからな、誰に遠慮がいるものか!絶対王政の強権を発動させてもらおうじゃないか。」
「あの……」
「いいから、いいから♪」