「 きんさん ぎんさんの誕生日 」



「今日8月1日は、きんさんぎんさん (1892〜2000と2001) の誕生日だ。」
「え?今なんて言った?金砂銀砂?」」
「そうではない。 成田きん、蟹江ぎんという名前の日本でもっとも有名な双子の姉妹で、残念なことに先年相次いで亡くなったが、百歳になる直前に、その存在が広く世間に知られることとなり、二人の名前がめでたいことと、百歳になるというのに健康で歩いて外出もできるということが極めて珍しいと、一挙に日本中で有名になったのだそうだ。」
「百歳もたしかに長寿だが、お前の台詞の長さにも驚いた。」
「そうか?ともかく、世界一の長寿国である日本でも、百歳ともなると入院していたり認知症だったりする例が多いものだが、この二人はマスコミのインタビューなどにも立派に答え、その健在ぶりが理想の老後として注目され、また日本中のお年寄りの希望の星となったのだ。」
「ふうん!」
「めでたいというので日本中からお呼びがかかり、各地のイベントなどに二人そろって出席する姿がしばしばニュースで流れ、かわいいおばあちゃんだというのでますます人気者になった。台湾からの招待で生まれて初めて海外旅行をし、金銀婆婆と呼ばれて大歓迎を受けたこともある。」
「近頃はいやなニュースが多すぎるからな、きんさんぎんさんがいた時代が羨ましいよ。ところで、聖域で双子といえばなんといってもサガとカノンだが、そろって100まで生きるかというと、ちょっとわからんな。」
「うむ、我々聖闘士は健康面にはなんら問題はないが、聖戦が勃発する可能性は常にある。」
「100までは期待しない。そういうのは時の運だし、俺とお前が100歳同士っていうのも絵的にどんなものだろう?」
「え?私たちが100歳……100歳のミロと私…?」
「そんなこと、真剣に考えるのはよせよ、 単なる言葉のあやだ。 俺は二十歳の春を存分に謳歌しているから今の自分に十分に満足してる♪」
「お前ほど謳歌している者も珍しいと思うが。」
「そうか?老師も十分に謳歌してるぜ、この間 登別に来たときも、馬には乗るわ、キャアキャア言う若い子に手を振るわ、ジンギスカンに舌鼓を打つわ、俺達よりも精力的に動き回ってたぜ!童虎のわりには、酒を飲むときだけは、わしはもう未成年ではない、とかいってぐいぐい飲んで俺の方が早く酔いつぶれたこともある。」
「あのときは18歳の童虎になっておられて、久しぶりの青春を楽しまれたのだと思う。」
「それは261歳の身体よりは、どれほどいいかしれん!老師の体格では小柄すぎてどうしようもない。」
「うむ、いくら黄金聖闘士といえども、ある程度の身長体重がないと敵を前にした実戦では不利になる。」
「いや、俺の言いたいのはそういうことじゃなくてさ、身長があると……」
「……え?」
「こんなふうに♪」
「あっ!」
「お前を抱き上げられるし♪」
「よ、よせっ!」
「ほらほら、騒がない♪俎板の鯉っていうのを知らないのか?魚心あれば水心ともいうだろう♪」
「でも、あの……」
「そこの紐を引いて電気を消して」
「………ん…」
「OK♪ これからは黄金と黄金の話♪二十歳の素晴らしさを教えてやるよ。」
「ミロ…」
「いいから、いいから♪」