「 マリア・テレジアの誕生日 」


「今日5月13日はマリア・テレジアの誕生日だ。」
「あっ、知ってるっっ!!神聖ローマ帝国、現在のオーストリアの偉大な女帝にして、当時のヨーロッパ政界の重鎮、多くの子女をなし、その子はヨーロッパの各王室に入り一大強国を築き上げたハプスブルグ家の女傑だろう!そして、もっとも肝心なのは一番可愛がっていた末っ子のマリー・アントワネットがフランス王室ルイ16世に嫁し、フランス革命の遠因となったことだ!」
「ほほぅ、よく知っているな!私が解説する必要が無くなった。」
「当たり前だ!『 ベルサイユのバラ 』 には詳しいからな♪宿の娯楽室に愛蔵版があるのをお前も知っているだろう!アフロに薦められていたから、俺はお前が留守だったときに一晩で読破したのだ!」
「えっ、娯楽室にそんな物が?」
「えっ?知らなかったのか? ほかに 『 ポーの一族 』 とか 『 ドラゴンボール 』 とか、いろいろあるぜ♪」
「さすがは娯楽室だな……そういえば日本はアニメ大国だった。」
「それはともかく、オスカル、あれは実に個性的なキャラだ。 女に生まれながら男として育てられ腕が立つ。 王と王妃の信任も篤い。 それにオスカル様、と呼ばれているところもいいし、豪奢な金髪も、ふふふ、いいじゃないか♪」
「……お前好みなのか?」
「いや、俺好みっていうのとは違うな。 俺の好みはお前だけ! そんなことは、わかってるだろう♪ そうだ!お前、逆オスカルになれっ!」
「えっ?逆オスカルって…?」
「男に生まれたのに女として育てられるんだよ!これを逆オスカルっていうのを知らないのか? で、社交界一の美貌でありながら、言い寄る男を当たり前だが相手にしない。 ところが、それをものともしない近衛隊長の青年貴族がある夜お前の寝室に忍び入り、ついにお前を我が物に!で、その場で男であることが発覚し、お前は窮地に陥るんだが、なんと驚いたことにその男はお前に恋をする。うん、男でもかまわないから自分のものになってくれとこいねがうのさ! で、お前の方も男の真摯な恋心にほだされて、今まで誰にも許すまいと思っていた白磁の肌をその男に与えるのだ! そして、それはそれはめくるめく甘美な恋の一夜が…♪ どうだ、素晴らしいストーリーだろう♪」
「……ミロ、念のために訊くが、その男というのは…」
「もちろん、俺♪ なにか異存でもある??」
「いや、あの……べつに…」
「そうだろう、そうだろう♪ で、俺は、姫が男でもいいからと、渋るお前の両親を説得し、ついに正式に結ばれる。 お前の親もやがて俺の真摯な愛情を理解して心からの祝福を贈り、俺たちは外見的には普通の夫婦としていついつまでも幸せに暮らすというわけだ。 どう?満足してくれた?」
「………ミロ、フランス革命は?」
「あ………」