「 本居宣長 ( もとおりのりなが ) の誕生日 」


「今日5月7日は本居宣長の誕生日だ。」
「知らんな。」
「1730年生まれの江戸時代の国学者で、源氏物語や古事記の研究で名高い。」
「ああ、源氏物語ならよく知っている! 絶世の美男子、光源氏の物語だからな♪」
「その♪は、なんだ?」
「だって、あれを参考にして俺は落窪に登場してるんだぜ、♪がついて当たり前だろう!」
「え? そうなのか?」
「当然だよ。 あの風情、格式の高さ、優雅な振る舞い、どれをとっても当代一の呼び声の高かった源氏を見習ったからこそ、貴公子、少将は存在するのだ。」
「しかし、源氏は恋の猟色家という説もあるが。」
「……え?」
「大きな声では言えないが、実父の帝の中宮であった年若い藤壺の宮と密通し不義の子を生ませているが、これは義理の母と関係を持ったということだ。 そして、その父がなくなったあとには、実の兄である新帝に入内することが決まっていた姫君と契りを結んでもいる。 かと思えば、四十を越えてからその兄帝の姫をあらたに妻に迎えている。 ちなみに、そのときの彼女の年齢は十五歳ほどだ。」
「え………そ、そういうことは俺には関係ないっっ! 俺が言いたいのは、もののあわれを解するのは大事だ、ということだ。 誤解するなよっ、俺がいつでもお前一筋なのは、わかっているだろう? 源氏の女関係は気にしないことにして、情緒や優雅さを少将に受け継いでもらっているということだ。」
「それならよい。 このあと、少将が愛人を抱えたらどうしようと思っていた。」
「そんなことをこの俺がするはずはなかろう? ………ほら……こうして…♪」
「あ………ミロ…!」
「お前のことだけを………カミュ…」
「ん……」
「こんなに、こんなに愛してる……」

「………」