「 エリック・サティの誕生日」


「今日5月17日はエリック・サティの誕生日だ。」
「ふふふ、サティならよく知っている♪1866年生まれのフランスの作曲家だ。 なにしろ俺が唯一ちゃんと弾ける曲の作者だからな♪ 詳しくは古典読本の76を見てもらおうか。」
「あれはよかった♪ まさかお前がピアノを弾けるとは思わなかったのだから。」
「お前に聞かせる曲くらいはこなせなきゃ、黄金聖闘士とは言えん!」
「すると、私もなにかお前に聞かせられないと、黄金聖闘士とはいえないということになるのか?」
「えっ?」
「論理的にいうとそういうことになる。」
「ええっと………閨中で俺になにか聞かせてくれてもいいんだぜ♪」
「ばかものっ!」
「あっ、カミュ、どこへ?」
「れいこ先生のところだ。 お前だけにゴールドピアニストの名称をほしいままにさせてはおけぬ。 私もドヴィッシーかショパンあたりを教わってくる!」
「え?どちらかというと、お前にはバッハの平均律なんかの方が向いていると思うが…!………あ〜あ、もう行っちゃったぜ。 意外と直情径行型なのかな………しかし、ゴールドピアニストって初めて聞いたが、ちょっといいじゃないか♪」
くすくす笑ったミロがピアノ室に足を向けたところを見ると、どうやらもう一度サティを弾いてみる気になったらしい。
そろそろバラの咲き始める五月の午後である。