干し柿


「カミュ、これがなんだかわかるか?」
「…………これは……なにかの食べ物か……?」
「ふふふ、さすがのお前もわからんだろう! こいつは柿だそうだ。」
「柿? ああ、それなら、中国原産で、日本をはじめ広く東南アジアで栽培されている。そのほか、アメリカ太平洋岸、ブラジル、
 イスラエル、ニュージーランドなどでも栽培が盛んだ。 しかし、これは私の知っている柿とは、かなり形状が違っている。 ドライ
 フルーツにしたのだろうか?」
「ん? お前の知ってる柿は生で食べるのか?」
「もちろんだ。 私は食べたことがないが、艶のあるオレンジ色の果物で、熟するとたいへんに甘いそうだ。 ヨーロッパでもカキの名称で通用する。」
「さすがに詳しいな! これは美穂が持ってきてくれたのだが、俺は名前だけしか聞かなかったぜ。」
「お前は英語がわからぬから、名前だけ教えるにとどめたのだろう。なんの匂いもしないが、このままで食べられそうだな。」
「幹についてた短い枝みたいなのが、そのまま持ち手になってるみたいでえらく便利じゃないか♪」

見かけはパッとしないが、ドライフルーツといえば甘いと相場が決まっている。
ミロが迷わず一噛みし、相好を崩した。
「ふうん♪ 確かに甘いぜ! 生じゃ日持ちがしないから、乾燥して保存食にするってわけだ。」
「なるほど、これは甘い!」
初めて食べた干し柿は、二人のお気に入りになった。

その後、京都の郊外を歩いていたときに柿の木を見つけたのはミロだ。 雑木林の南の端にあるその木には燦燦と日が当たり、オレンジ色の実がたわわになっている。
誰が取ってもよさそうだったので、手の届くところにある二つをミロがさっそくもいできた。
「ほら、これが柿だろ? 店で買わないで、こういうところで食べるのが風流なんだぜ♪」
「ほう! 先の方がちょっと尖っていて珍しい形をしているのだな♪」
こうして、秋の一日 (ひとひ) を楽しんでいた二人の散策は、ちょっとしたイベントを迎えたのである。

………その夜、珍しいことに、ミロはカミュにキスをせず、カミュもそれを当然と考えた。
世の中には予想外の椿事が起こるものである。

干し柿を90個干しました。
さっき食べたら、甘くてとってもおいしいっ♪
こ〜んなおいしいものをミロ様カミュ様にも食べさせてさしあげたいっ!!!!

で、こうなります、よくあるパターンです。
ほんとに渋いんですよ、渋柿……。

この話を書く契機となったカキコをさせてくださったハスノさん、
よろしければ、この話、もらってやってください。
渋くはないと思うんですが。
でも、ちっとも甘くはないわね(笑)。