虫 歯 予 防 デー

「今日、6月4日は虫歯予防デーだ。」
「いや、それは違うな!」
「なにっ?!」
ミロの自信たっぷりの否定にカミュが眉をあげた。
「あいにくだが、現代日本に虫歯予防デーなるものは存在しない。 」
「しかし、今日は何処に行っても虫歯予防デーだという話題が出ていたが?」
「俺も最初はそうだと思ってたよ、ところがだ…」

ミロの語るところによると、昭和3年から13年までの間は確かに虫歯予防デーがあったのだという。
日本歯科医師会が6と4にちなんで虫歯予防デーを実施していた歴史があり、これを戦後に復活させる形で6月4日から6月10日までを 『 歯の衛生週間 』 としているのだそうだ。
「だから、虫歯予防デーっていうのは昔にあった名前なんだよ。 語呂がいいし、子供にもわかりやすいから一般的にいわれてるだけみたいだぜ。」
「ほぅ、それは知らなかった!」
「俺の思うに、日本人は語呂合わせが好きな民族だと思う。」
「それは私も考えたことがある。」
「だろ♪ 1192年 = いい国作ろう鎌倉幕府、とか♪」
「√3 = 1.7320508 は、人並みにおごれや、と覚えるのが良い。」
「伊東に行くならハトヤ 電話は良い風呂 4126 とか♪」
「常用対数の log 10 3 = 0.4771213 死なない兄さん、だ。」
「………はぁ? 何のことだかわからんが、そいつは一輝のことだろう。」
「………あ、そういえば…」
「他にも重要なのがあるぜ! 3月6日はミロの日、4月17日は、よいな、の日。 そして、来たる6月16日は和菓子の日だ。」
「和菓子の日は語呂合わせではなくて、平安時代の848年頃に疫病が流行ったことから時の仁明天皇が元号を嘉祥に改めて、6月16日に16の数にちなんだ餅や菓子を神前に供えて吉事を祈った故事に由来している筈だが。」
「いいんだよ、そんなことは。 俺には和菓子の日、すなわちお前の日があるということが重要なんだから♪ 16日は和菓子バイキングとしゃれ込まないか?」
「そのあとで歯の衛生週間を思い出す必要がありそうだな。」
「うん、食後は明眸皓歯のお前を堪能させてもらう♪ 楽しみに待ってろよ♪」
「え………」
「いいから、いから♪」





             今日が虫歯予防デーなのを思い出して、突然の見聞録です。
                それにしても、ほんとは存在しないなんて知らなかったわ………