天麩羅

「天麩羅というのは、魚・貝・野菜などに、小麦粉を卵と水で溶いた衣をつけて油で揚げた料理のことだ。室町時代に南蛮から伝わったが、民間には江戸中期以降に普及したとされる。」
「ふうん、なんだか変な名前だな。」
「調理を意味するポルトガル語に tempero という語があり、それが語源とも言われるが、むろん確証はない。」

ミロは揚げたての天麩羅の盛り合わせに箸を伸ばした。
衣で包まれているので、なにを揚げているのかわからないところがクイズみたいで面白いと考えているのだ。
「私のはどうやらキスらしい。」
「ふうん♪………そいつはけっこうだね、熱いキスがやっぱりお前には似合うってことだ♪」
「ミロ……なにか勘違いをしていないか?」
「えっ?そうかな?」
くすくす笑ったミロが、天麩羅を口に放り込んだ。


「カミュ……」
「あ……」
灯りを落とした部屋に低い声が響く。
床に入る前にさっと湯を浴びてきたカミュを立ったまま後ろから抱きしめたミロが首筋に唇を押し当ててゆくと、頭をのけぞらせたカミュが甘い喘ぎを洩らす。
「ほんとにお前の肌は最高だ………俺に抱かれるために生まれてきてくれたんだろう?」
「あ……ミロ……そんなこと……」
「困るの?」
「あの……それは…」
ミロの的確な手に翻弄されるカミュは、もう返事もできぬ。 息を詰め、身をそらせて必死に耐えているところへ 「困るか?」 などと訊かれても、そのほうがもっと困惑しようというものだが、ミロの方もそんなことを斟酌するほど甘くはないのだ。

   少しは楽しませてもらわなきゃな♪
   ふうん……もう立っていられないみたいだ…反応の良さも黄金位ってことか♪

崩れそうになる身体を抱きとめて、そっとしとねに横たえてゆくと顔をそむけて重い吐息をつくのがいとおしい。
「中身は……なにかな♪」
「………え?」
襟元に手を掛けたときにつぶやいた言葉をカミュが聞きとがめたようだ。
「この感じだと、中身はとろりと脂ののった白身だと思うんだけどな………衣がついてるからよくわからなくて困るんだよ♪」
含み笑いをしながら、慣れた手つきで浴衣を肩からすべり落とさせたミロが唇を落としてゆくと、あとはもう秘めた想いを解き放つしかないカミュなのだ。
「愛してる……もっと自分のしたいようにしていいんだよ………俺のカミュ……」
「ん………」
甘い濃密な夜が始まっていった。





       
日記の中から突然に思いついた見聞録です。
       早く仕上げたつもりですが、ここまでで1時間、
       これからリンクを貼るので、もう少しかかるんですね、ふうん…。

       そんなことより、やたら黄表紙なんですけど、これ。
       ミロ様が今までにない姿勢でスタートしてますし、
       内心の呟きもかなり大胆です、ミロ様、どうしました?
       (いえ、書いたのは私なんですが……)

       このタイプの壁紙を初めて使ってみましたが、
       短い作品にはよさそうです。
       また、やってみようっと♪