「ミロ………もうだめだから……」
「まだだよ、カミュ………俺の熱をもっとお前に伝えなきゃ、夕立で冷えた身体は元へは戻らない………」
「ああ………そんな………もう十分に熱くなって………ミロ………ミ……ロ…」
かろうじて洩らされる言葉の終わりは息づかいとなんら変わることがない。
ついに耐え切れなくなったカミュが俺の手を押しのけようと伸ばしてきたその手をこちらからつかんで動きを封じると、切ない吐息を洩らすカミュは観念したように目を閉じてしまう。
「もっと……もっと………俺の腕の中で融けてしまっていいから………自分の感覚に素直になって……」
耳元に甘い言葉を注ぎ込みながらさらに手を進めてゆけば、あとは乱れるばかりのカミュなのだ。
「ミロ………いや……助けて…」
か細い声はやがて絹を裂くような細い悲鳴に変わり、押さえつけている手に一瞬力が加わった。
「つらかった………?」
目覚めたカミュにささやくと、
「すこし………」
溜め息とともにかすれた声で答えるカミュが俺の胸に顔を伏せた。
「ごめん…………もう………しないほうがいいか?」
「ん……」
一瞬の間が俺の心を波立たせる。
「ミロ………」
俺の背に回されたしなやかな手が少し爪を立てた。
「愛している…」
その言葉に俺はやさしく唇を重ねていった。